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側妃 レオナ・シヴァ・セレスティナ

引き続き側妃のお話です。

貴族の中でも身分が高いほうで、幼い頃から常に人々が傅き、チヤホヤされるのが当たり前だった。



そのうち自由奔放と我儘の区別がつかなくなり、歳の近い令嬢たちが自分を遠巻きにしだしたのに気づいた時には、すでに1人になっていた。



父母からの愛情はもちろんなくはなかったが、その年ならではの友人との会話もできずに引きこもりがちになっていった。



そんななか、渋々参加した王宮での王太子…今の国王陛下の誕生パーティーで、ティアの母親であるカレンと出会った。



「ねぇ、キレイなドレスね!夜の星みたいだわ」



みんなに嫌われていた自分に、ためらいもなく話しかけてきたものだから、その時はビックリして無視してしまったけど、そのパーティーの間、あちこちついて来てあれが美味しい、あの人がカッコイイとはしゃぐカレン。



後から聞けば、「なんか仲良くなれるって、ピンときたのよね!」と言っていた。



それからお互いの家を行き来したりお茶をしたり、物心ついてから初めての友達。


そのカレンがまさかの王妃になると知った時も、陰ながら支えになれればと思ったものだ。


王妃となってからはなかなか会うこともままならなかったが、

手紙のやりとりをしたり、時折息抜きに遊びに来たりして交友関係は続いていた。



そんな時、戦争が起こったのである。



直接連絡は取れないものの王妃の隠れ家に火が放たれたことを噂に聞き、現場まで行ってみたりもした。


焼け跡からは王妃と姫の遺体は発見されなかったものの音沙汰もないまま時が過ぎ、2人の生存が絶望視され始めた頃、カレンから届いた一通の手紙。



自分とティアの無事、ティアの身を守るために素質がある精霊魔法を学ばせること、

自分にもしものことがあった時のために、打診があればぜひ私に王宮で国を支えてほしいことが綴られていた。


正直なところ、カレンに代わる王妃としての打診はあったが、断っていた。

カレンの帰ってくる場所を奪いたくなかったから。彼女こそが国民に王妃と敬われる存在だと思うから。



しかし、カレンの力になれるのならと、王妃ではなく側妃として話を受け王宮に身を置くことにした。


なんとか側妃として役割をこなしながら暮らしていたが、国王陛下との間にエドが生まれたことで、少しずつ周りの視線が変化していった。


貴族たちからは次期国王の母として媚を売られることも増えたが、

本当に信頼できる人はなかなか現れない。


カレンには国王陛下がいたが、私には誰もいない。陛下のことは嫌いではないが、どこか私は孤独だった。



それどころか、エドを傷つけられたくなければ、国王へ即位した際に自分へ政権を渡すように仕向けろと脅してくる官僚まで現れ始める始末。


彼らはエドがいなくなれば自らや息子が政権に近づけるというほどの有力貴族で、最初は抵抗したものの、言うことを聞かなければエドも私も身が危ない。


陛下の手を煩わせるわけにもいかないと相談もできず、1人で悩む日々。


エドにも自分に依存させないために敢えて辛く当たるようにした。

あんな輩に政権をとられてはたまらないと、王座につけとも口を酸っぱくして話してきた。


親子関係がうまくいっていないと見せかけて、私に取りいっても仕方ないと思わせるためにも丁度よかった。


ただ、そうすることでエドも離れていき、私はますます独りになった。



そんな時、あの人に話しかけられたのだ。


貴族ではないけど優しくて、孤独に潰されそうな時にはさりげなく支えてくれた。


もちろん不貞を働いたことはないけれど、淡い初恋のようなものを抱いていた。


時折話をする程度で、私達の間には何もなかったが、それでも彼の存在が心のよりどころになっていた。



そのささやかな気持ちすらも打ち砕かれることになるとは、最初は思っていなかった。

お読み頂きありがとうございました!


シリアスを書いていると暗い気持ちになってしまいますね…(笑)

早くどうしようもない恋愛話オイに戻りたい…


もう1話くらいで側妃のお手紙は終わります。

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