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望まぬ来客


「魔物だ!!!」


そう叫んだのは誰だったか。



ホールの中央に大人の男を軽く飲み込んでしまいそうな大きさの半透明の謎の生き物が現れていた。


ぶよぶよした体からは、魔物特有の魔気が発せられていて、魔力がなく特に鍛えているわけでもない貴族達は耐性がなく痺れるのか次々とうめきながらうずくまっていく。


オーウェン宰相見ると、驚きを隠せない表情。


「…違うのね?」


「もちろん違います!姫様はここにいてくだい。ロード殿、フィル殿達とともに姫様を陛下達の傍へ。」


心外だという感じでこちらを見た後、迷いなくロードとフィルに指示を出し、言われるのと同時にすっと私を囲むようにロードとフィルが動く。



魔物の方を見ると、他の騎士達が攻撃を加えているけど、ぶよぶよの体には、歯が、というか刃がたたない。

他の騎士達も取り囲んだはいいものの、どう攻めればいいか考えあぐねて手が出せないようだ。



「城の外の魔道師部隊が今こちらに向かっています!」



伝令役の騎士がそう叫び、事態は容易でないことを悟った。城の外側を警戒していた魔道師部隊がこちらにくるまで、結構な時間がかかる。


来るまでどうにか怪我人がでないようにしなくては――



思案していたそのとき、ビュッ!と魔物からのびた触手のようなものが、騎士達が護る王座付近にいたエドや父に向かう。



「陛下!!!!」


「殿下!!」


悲鳴のような声があがる。



すれすれのところで団長が剣圧で引きちぎるようにその触手を薙ぎ払ったが、触手はまた本体へ戻り元の形になってしまった。



特定の誰かを襲えるくらいの知能はなく、無差別に攻撃してくるタイプのようだ。


それでもよりによって……父とエドが狙われたということに怒りがふつふつと沸いている。


大事なものを傷つけるつもりなら、容赦はしない。


怒りを押し殺して私を護るように魔物と私の間に立つフィルに話しかける。



「フィル、あれを斬ることはできる?」


「……可能です。」


「そう、じゃあ合図したら細切れにして。おそらくアイツの中心部にあのぶよぶよをまとう核がある。

そこを抑えれば消滅するはずだから、あなたが核の周りをそぎ落としたところで元の形に戻る前にケリをつけるわ。ロードも力を貸してくれる?」


「それはもちろんですが何を…」


「あなたの槍は炎の精霊の加護を受けた特別なものよね?その力を強めるから力を解放したまま構えてて」



槍投げのように槍を構えさせたロードの手に自分の手を重ね、火の精霊の力を注ぎ込む。

髪とスカートの裾が魔力ではためく。



「蛇炎」



ゴォォッ!!



ロードの持つ槍が、蠢く炎をからませる。

私の怒りに合わせて今にも暴れだしそうなうねりと熱を持つそれを、

確かな意思で徐々に凝縮させていく。


「お客様にはお帰りいただきましょうか。」


極限まで魔力をつめこむ。……もういいかな。


「みんな、そいつから離れなさい!フィル、行って!」


ふ…っとフィルが視界から消える。


次の瞬間、右腕から湧き出る黒い光を衝撃派として操りつつ剣にも黒い光を纏わせ、他の騎士達が束になっても切りつけることが出来なかったぶよぶよを切り裂いていく。


ロードはあっという間に丸裸になった核に向かって槍を迷いなく投げた。


槍に絡んだ炎が像を残し、寸分の狂いなく小さな核に突き刺さる。



ゴゥッ!!


炎が強くなり、核とそれを覆っていたぶよぶよは、塵も残さずに燃え尽きた。



シン…とするホールの中で、身動きする人影。

魔力の残滓を確認し、そちらへ向かって小さな種に向かって空中で地の精霊魔法を発動。

逃げられると思うなよ。


「緑の手!」


種から急速に蔦が伸びで逃げようとした男の足に絡みつく。


「――動くな。」


「ひぃ…っ!」


その男の傍まで行ったフィルが即座に身柄を拘束し、魔物を召還したと思われる魔道師はお縄となった。



ご無沙汰しまして申し訳ありません……


読んでいただきありがとうございます。


次回からは早めに更新できるといいなぁと思ってはおります……。

よろしくお願いします!

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