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家族とは

いつの間にやらブックマーク150件…!

たくさんの方にチェックしてもらえて励みになります!

ありがとうございます。


広間を出て、部屋に戻る前に行きたいところがあったので言ってみた。


「あの…もし可能であれば母の部屋とかが残ってるなら、行って、みたいんですけど…」

何だか言いづらくて、最後の方が尻つぼみになってしまった。


ロードさんは爽やかに笑い一礼した。

「かしこまりました。ご案内します。」


そうして、私とエド、フィル、ロードさんの4人で母の遺した部屋へと向かう。


「ロードさん、やっぱり私も護身術以外に武器の扱いを学んだ方がいいでしょうか??」


「そのようなことはかえって危険ですから、必要ありません。

選び抜かれた護衛がつきます。心配はございません。」


「でも」


「…どうしても、というなら私が手取り足取り教えて差し上げますが…?」

そう言って怪しく目を光らせ顔を近づけてくる。


「…っいいです!」

この人はたまに妙な色っぽさを出すから本当に危ない!


息がかかりそうな距離に慌てて思いっきり目をそらすと、

反対側にいたフィルの冷たい目線で頭が冷えた。

…なんだかいつもよりさらに冷え込んだ視線なのは気のせい?


「…フィル、なんか怒ってる?」

恐る恐る尋ねたけど帰ってきたのはやっぱり絶対零度の声。


「私のようなものが姫様に怒るなど。有り得ませんよ」


にっこり。


目が笑ってません。夏なのに寒いよぅ…。

身を縮めた私の腕をエドがそっと引いた。


「姉上。姉上はなぜフィリスだけ呼び捨てなのです?」


「えーーーーー、と。」

何だかあの晩のことは言いづらくて、逡巡していると、代わりにフィルが答えてくれた。


「恐れながら私が申したのです。下の者に対して敬語を使うと姫様のためになりませんので、慣れるためにと。」


あ~そういうことだったのか~!

それでフィルは突然あんなこと言い出したのね。


うんうんと頷いた私を見てフィルは微妙な顔をした。なぜ?



「そういうことでしたら姫様、どうぞ私のことも呼び捨てにしていただけますか?」

お願い口調なのにそうは有無を言わさぬ感じのロードさん。


「はぁ…わかりました。敬語はちょっとやめられないかもですけど…。

でも他の人にもそうした方がいいってことかなぁ?年上に敬称もつけないなんてかなり失礼なことしてる気になるんだけど…」


「数人だけ特別扱いしているように感じますから揃えた呼び方にした方がいいのでは?…その方が僕としてもまだいいです。」


「ん?どういうこと?」


「こちらの話ですから姉上は気にしないでください。」


「?うん…と。」


「到着しました。こちらが王妃様の遺されたお部屋でございます。」


開いた扉の向こうには、落ち着いた色調の部屋。壁一面の大きな本棚には魔道書から歴史書、恋愛小説まで色々な本が並んでいる。


部屋に入ると、懐かしい気配がした気がした。



何年も、たってるのに。



「母、さん…」



目を閉じると母の姿が鮮やかに瞼の裏に浮かぶ。

母が愛用していたであろうソファに触れて、口から零れたおちた声は震えていたかもしれない。


私の様子を離れて見ていたエドがそばへやって来て、きゅ、と手をつなぐ。そのまま部屋を見渡してぽつりと言った。


「姉上は、本当に姉上のお母様のことがお好きなんですね。」


はっとする。


母親から愛されている実感がないであろうエドをこの部屋に連れて来たのは無神経だった。

自分のことで頭が一杯になって…最低だな、と後悔している私をエドが覗きこむ。


「僕は、正直母親の愛情って理解出来ないし、きっとする機会も今後はない。」


「……エド。」


「でも。姉上からの愛情はこれからもっともらえますよね?」


私より頭一つ分背の低いエドは、真剣な眼差しでこちらを見上げている。


「もちろん。大切な家族だからね」


間髪入れずにそう答えた。


「家族か…」


つぶやきが小さすぎて聞こえなかったので聞き返したけど、エドは「なんでもないです」と笑い、顔を近づけてきた。


何か話でもあるのかと思い少しかがむと、

柔らかいものが頬に一瞬だけ触れる。


それがエドの唇だと気づいた頃には、

「さ、次の講義に間に合わなくなりますよ。姉上。」とエドが扉に向かって行ったので、赤くなっているであろう頬を両手で抑えて俯きながら足早についくしかなった。



読んでいただきありがとうございます。


実はエドとロードは腹黒系で似ているんじゃないか…

そんなことを思う今日この頃です。


後書きで「次はこんな感じ~」って言ったものは大抵実現しませんね。

すみません。

次回もよければ…お楽しみに~!

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