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騎士団へご挨拶

たくさんのPV、そしてブックマーク、ありがとうございます!

あの後戻ったらエドにすごく心配された。


俯きがちだったエドがしっかりとこちらを見て

「姉上が傷つかないように僕もがんばります」と嬉しいことを言ってくれた。


結局、その日のお茶会は、お開きになったのでひとまず部屋に戻り一息ついている私に、

マリアがきびきびと明日からの予定を教えてくれる。


王侯貴族の振る舞いを学ぶマナー講座、歴史学、経済学、馬術、護身術、ダンス講座…



え、今の、一日の予定?


うわぁ…スケジュールがびっちり書き込んである…ドレスの採寸とかこれ数時間もかかるの?


「これを、数週間後の姫様をお披露目パーティーまでにだいたいのことを仕込むことになりますわ」


すぅ!?


「数週間で!?」

思いっきり顔が引きつった。


「姫様。王族というもの、思ったことを簡単に顔に出してはいけませんわ。」


「…はひ…。」


「今日このあとは空いておりますがいかがなさいますか??」


「う~ん、明日からその予定なら、城の中を見て周ることができるのって今日だけだよね」


「ええ…それに臣下の皆様には先ほど通達があったようですから、

明日には姫様のことを見にあちこちから人が集まるかもしれませんね。」


「見世物になるってこと?」


「いいえ。そうはさせませんのでご安心ください。それに、

念のため、人に見られそうなところでの立ち居振る舞いは今日中にわたくしがお教えしますわ。」


うーん、マリアの笑顔が段々恐ろしくなってきたぞ。


「んー。じゃあその前に、騎士団の訓練所にも行ってみたいな。ご挨拶もかねて」



膳は急げということで。早速、訓練所へ向かう。

ここでもう一人護衛を増やしてその後色々回ることにした。


「ここが騎士達の訓練所です。第一部隊から第5部隊まであり、それぞれ数十名所属しています。

ロードは第一部隊隊長で、ポルナレフは第一部隊所属。ディエゴは自分の隊、第二部隊の所属です。

皆、出は貴族だったり平民だったり色々ですが、セレスティナは実力主義なので実力順に入隊しています。」


フィリスさんは確か第二部隊の隊長じゃなかっただろうか。この若さで実はかなりすごいってこと??


「なるほど。フィリスさんのご出身は貴族のお家ですか?」

見るからに気品があるしな~フィリスさんもロードさんも。


「…そうです。では姫様、実技訓練見学の前に団長達に紹介させていただきますのでこちらへ。」


顔に一瞬陰がよぎったように見えたけど、気のせい…?

隣にいたフィリスさんを覗き込もうとしたところで後ろから野太い声がかかる。


「フィリス、俺ならここだ!アーノルドも連れてきたぞ。」


振り返ると、熊みたいな男と、その後ろに肩くらいまでのグレーの髪を持つ美女が立っていた。

動くたびにさらさらと揺れる髪に光が踊っている。


「姫様。私が団長のゼノン。こちらが副団長のアーノルドです。」

「お初にお目にかかります、姫様。以後お見知り置きください。」


そう言って礼をしたアーノルドさんとゼノンさん。

まるで美女と野獣だ。そう思ったら顔が笑ってたらしい。


姫様?とフィリスさんに呼ばれて、はっとした。


「あぁあごめんなさい。随分印象の違うお二人が騎士団をまとめていらっしゃるんだなって、驚いてしまったんです。」


「勘違いしてそうだから言っておきますが、副団長は男ですよ。」



えええええ!?!?



かろうじて声に出さずに堪えたけど、あまりの驚きに目を真ん丸くした自覚はある。


「…やだなぁフィリスさん!わか、わかってますって!

…………………アーノルド副団長、たいへん失礼致しました。」


慣れてるらしく、お気になさらず、と笑ってくれた。

うーむどう見ても美女が騎士服着てるようにしか見えない。


「あ!申し遅れました。私はティア・ウィリアムス・セレスティナといいます。

これからお世話になると思いますので、どうぞよろしくお願いします。」

ぺこりと頭を下げて、マリアに簡単に頭を下げるなと言われたのを思い出した。


…もう下げちゃったし。マリアも見てないしまだセーフってことでいっか!


「これはこれは、随分気さくな姫様だな!」ゼノンさんは、がっはっは!と豪快に笑った。


「す、すみません。癖で…。でも、実力主義の騎士団でならいいですよね?だって力で言えば私が下ですし!」


キョトンとした3人の顔が面白くて笑ってしまった。


それから、団長達も実技訓練室まで着いて来てくれた。

団長の数々の伝説を聞かせてもらったんだけど、鬼のような強さらしい。闘い方も豪快なんだな~熊さ…ゼノン団長。

そんなに強い団長だけど、目が優しくて口にする言葉は裏表がなくて、何だか安心できる。


「着きましたよ姫様。皆に紹介しましょう。お手をどうぞ。」

アーノルド副団長が手をとって誘う。一人で歩けるけど…ハイ、おとなしく手を引かれます。


突然現れた私たちに訓練所はざわつくけど、そんな中、剣撃が響く。


音の出元は…ディエゴさんとポルナレフさんだ。


…すごい。

一緒に旅をしていたときに何度も2人の剣筋は見たけど、とても見切れない。


普段から無表情のポルナレフさんだけど、ディエゴさんが次々と繰り出す技を顔色も変えずにかわしていく。

素人目に見ても2人の動きは常人離れしていることがわかる。


魔法がなきゃ一瞬でやられるな…

私も一応護身術とか学んだ方がいいかなぁ。

そんなことを考えていたら、キイン!!と高い音がして、

ディエゴさんの持っていた模擬剣がはじかれて飛んできた。



…飛んできた?



すごい勢いで眼前に迫った模擬剣。


魔法を繰り出す暇もなく、思わず目を閉じた。

いつまでたっても衝撃はやってこない。


恐る恐る目を開けると、私の足元で砕けて燃えている。


…これは。物凄い早い打撃で私に当たる前に砕いて燃やした、ってこと?

模擬剣の残骸を見てから呆然と、それをやったであろう人達を見る。


柔和な笑みを浮かべているアーノルドさん。

そして。


「お怪我はありませんね?」

「ロードさん…。大丈夫、です。」


私の髪についた模擬剣の屑を優しい手つきで払いながら話しかけてきたロードさん。

この部屋の中でも私のいる反対側にいたと思うんだけど…どういう身体能力してるの?


「ひっ姫様!申し訳ありません!!!」


ディエゴさんが慌てて駆け寄ってきた。

ポルナレフさんも近寄ってきて「申し訳ありません。」と頭を下げた。


「謝ることなんてありませんよ!私が勝手にここに来たのだし。

逆に自分の身も護れず情けない気持ちはありますけどね…。

すばらしい実技訓練を見せていただいてありがとうございました。」


そういってにっこり笑いかけると、周りにいて様子を伺っていた騎士達が次々と話しかけてくる。


「姫様!はじめまして!」

「また練習を見に来られるのはいつですか??」

「自分の弓さばきもぜひ見ていただきたいです!」

「姫様!お飲み物をどうぞ!」


どっと人が押し寄せて「あ」「う」しか返せないでいると熊さんが吼えた。


「お前ら!この方を誰だと思っている!群がるな!!今すぐ隊列を整えろォ!!」


「「「「はっ!」」」」」」


先ほどまでの和気藹々とした空気が一気に引き締まった。

さすが王国随一の実力者の集まりだ。


「こちらの方は、セレスティナ王国の宝、ティア姫様である。」

そう言った後、ゼノン団長はこちらを振り返り、

「我々、セレスティナ王国騎士団、御身を命を賭して御守り致します!」

胸に手を当ててそう宣言した。


騎士達も一糸乱れぬ動きでそれに習い、ザッと胸に手をかざす。

…なんて気高い人達なんだろう。どんなもんなの?なんて軽い気持ちで見学に来た自分を恥じたい。


「私は、訳あって城での生活や王族として生きることにまだ不慣れで

多くの迷惑をかけるかもしれませんが…気高いあなた方にとって誇れる存在になれるよう、

この身を尽くしたいと思います。」


誠心誠意の誓いに対して、以前にもフィリスさんたちの前で言ったことを改めて、

自分の心にも誓った。


「やっぱり変わった姫さんだな」

ゼノンさんはそう言って深い笑みを見せた。



更新まで間が空きました…待っていてくださった方、すみません。

長文を読んでいただきありがとうございます!



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