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義弟ができました

いつのまにかたくさんの方にブックマークしていただいてまして…

恐縮です。


チンタラしてますけどがんばります。


「ほら、姉上って呼んでごらん?」


「あ…あねうえ…」


「うふふふ~~可愛い~~~」


正直に言おう。


今私はかなりデレている。

ツンはないからデレデレだ。


もう自分には縁がないと思っていた兄弟。

しかも超絶可愛い。目に入れても痛くない。



ビバ・義弟!!



「…そんなに見つめたって撫でさせてあげませんよフィリスさん。」


「…違う」

睨まれた。


今私達は、談笑スペースでお茶をしていて、

入り口付近にはフィリスさん、傍にはオーウェン宰相も控えている。


マリアの淹れてくれるお茶は、これまで飲んだことが無いくらい美味しかった。

茶葉からして高級なんだろうな…


とと、いけない、つい遠い目をしてしまった…

エドが心配そうにこちらを見ている。


大丈夫、と言おうとしたとき廊下が騒がしくなった。


「お待ちください!」


焦ったような騎士の声にヒステリックな声が続いた。


「うるさいわね!どこにいるのよ!!」



バンッ!!と扉が開く。



立っていたのは、ごてごての飾りがついた重そうなドレスを身に纏った女性。

透き通った金色の髪はこれでもかと巻かれボリュームがすごい。


エドがその姿を見て固まり、フィリスさんは、頭を下げて扉の横に避ける。



「――これはこれは側妃様。いかがなさいました?」



「オーウェン!これはどういうことなの!?何故エドワルドがその女と話しているのよ!!」


「姫様とエドワルド様を会わせる事は国王陛下のご意思でございます。」


「フン!そんなもの!!」


王の言葉を、そんなもの。

あまりに不敬な言葉にくらくらした。

軽く眉間を押さえた私は、その次のセリフに完全に動きを止めた。


「来なさいエドワルド!私に断りも無く動くなんて…躾が必要なようね。」


…そう。この人がエドを…


「待ってください。側妃様。エドはまだ国王陛下に命じられたことを終えていません。今連れて行くと命に背いたことになりますよ。流石にそれは宜しくないのでは?」


冷静に言ったつもりだが声色と視線が少し刺々しかったかもしれない。


「…っこの小娘っ!誰に向かって口をきいているの!?」


「あなた様ですが?」


あらいやだ。頭だけじゃなくて耳もお悪いのかしら??


馬鹿にしたのが伝わったのか、顔を真っ赤にして鬼の形相でこちらに詰め寄ってくる。

手にしていた扇子を振り上げられるのも気にせず、その濁った金色を静かに見つめる。



バシィッ!!



扇子が頬に当たって、血が滴った。

口の中も切ったかな。


気にせずに視線を戻し、軽く首を傾げる。


「私には、あなた様にこそ躾が必要に感じますけれど。」

ついでに冷笑もくれてやる。


自分の攻撃をかわしもしなかった女に見据えられ、ようやく自分がマズイことをしたと思ったのか、「覚えてなさい!」と雑魚的なセリフを吐いて、ドタドタ出て行った。


「…あれが側妃?猪の間違いじゃないの?」


そうつぶやいたことで、呪縛が解けたかのように周囲が慌てて動き出した。


そもそもマリアやフィリスさん、オーウェン宰相は身分的に私達のやりとりに基本口をはさめないから黙っていたんだけど。

唯一私以外に口を開けたはずの1人を振り返る。


「エド。大丈夫??」


声をかけて頭を撫でると、青くなってまだ固まっていたエドがはっとする。

「あ、姉上。頬に傷が。」


「大丈夫よ、これくらいの体の傷は治癒魔法で治るもの。」

心の傷はそうもいかない―――

そう言って笑んだ私の肩をフィリスさんがガシっと掴む。


「…馬鹿か君はっ!!女が顔に傷を作るやつがあるか!」


フィリスさん、騎士様の仮面がはがれてる。


「治療師のところに連れて行く!」


そう言うと周りの返事も待たず、膝の下に腕を入れ、ふわっと抱きかかえる。フィリスさんのきれいな顔が一気に近づく。



こ、これは!世に言うお姫様抱っこ!!?

本当にお姫様になった必要なように時にやられると微妙な気持ちになりますね!


じゃなくって!

「おおおおお降ろしてフィリスさん!自分で歩けます!!」



私の言う事をキレイに無視してフィリスさんは駆け出した。

ちょ、早い早い!舌噛むから!!


+++++++++++++++++++++++++


…結局すぐに治療してもらって傷は跡形もなくなったんだけど、

その後のフィリスさんの機嫌は過去最悪だった。


ひとまず私達はエドたちのところに戻るべく、廊下を無言で歩いている。

空気が刺さるってこういうことを言うんだ…痛いよ…


「あの、フィリスさん、心配かけてごめんなさい。」


そういうとフィリスさんはピタッと足を止めた。


ゆるゆるとこちらを向いて視線が合ったかと思えば、次の瞬間、勢いよく肩を掴まれ、ぐいっと体を壁に押し付けられた。


「……っ」


壁とフィリスさんの間にホールドされて動けない。

デジャヴ…!


「――きちんと護らせてって言ったよね?」


「はいっ!言われましたごめんなさい!!」


「自分からわざと傷つきにいくなんてもっての他。」


「はいいっ!反省しますすみません!!」


はあ…と、ため息をついて顔を見下ろし、

フィリスは治療したばかりの頬を優しい手つきでなぞる。


「……っ」


憂いを帯びた瞳と思ったよりもずいぶん熱い手の体温に、心臓が跳ね上がる。


「…フィ、フィリスさん?」


「…次やったらお仕置きだね。」


かなりの至近距離でそれはそれは美しく妖艶に微笑む姿に私が縮みあがったのは言うまでもない。



読んでいただきありがとうございます。


続きは少々お待ちください。。

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