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鉱山の町での出会い

次の町に入りました。


そうこうしているうちに、ようやく次の町に入った。


キエムからヤエムまで、直線距離だとすごく近いんだけど、

地面にかなり大きめの亀裂が入っているせいで真っ直ぐ進めず、

迂回しなくちゃいけないから結構時間がかかってしまう。


「ティア様、ここは鉱山の町・ヤエムです。宝石などがよく採れることで有名ですね。」


「へぇ~そうなんですか。」


個人的に宝石の類はあまり興味がないけど、何でも屋のときに金品の加工などをやっていたのでどんな風に加工されているのかはちょっと見てみたい。


「ここで休憩して馬を変えて、一気に王都まで進みましょう。」


「わかりまし


た、という前に物凄い音で何かが転がってきた。

華麗に巻き込まれて一緒に転がった。


「わきゃぁぁあ!?」


め、目が!目が回る~!!


「おっと」


最後尾にいたシュウが軽々と片手で受け止めてくれ、

呆気にとられていたロードさんたちも慌ててこちらに駆け寄ってきた。


「お嬢さん、大丈夫かい?」

「…い、一体、何が…」


腕に抱く形になったモノを見下ろすと、それはかなり小さな女の子だった。

普通よりも少しだけ耳がピンととがっていて、腕が長い。肌がちょっとゴツゴツしている。


「えーと、大丈夫?」


「ふ……うぇぇええぇ〜ん!」


えぇーいきなりーーー!?

突然泣き出した少女に戸惑う私達は、次の言葉に固まった。


「ママぁ!」


私の服の裾をしっかりと掴みながらそんなことをほざ…失礼、のたま…いやいや、叫んだ。


私はぎぎ…っと音を立てながらフィリスさん達を振り返った。


「私のこと……ですかね?」


疑いの眼差しで見ないで!

子供どころか彼氏すらいたことないんですけど!


違うのに…憮然とした表情になりながらもその子を宥めていると、

「こら!ハノア!」


腕の中の少年よりは年が上であろう少年がやってきた。彼もかなり小柄で、おそらく私より少し年下。

肌が同じようにゴツゴツとしている。


その少年はハノアちゃんとやらが私達と一緒なのを見てハッと顔を引き締めた。


「あなた達は…旅の方…ですよね。妹が失礼しました。」


「………いえ…」

本当に失礼だったんだぞ、と思っていたせいか複雑な表情になってしまった。


すると何を勘違いしたのか、少年は

「すみません、気持ち悪いですよね、僕ら。」と言って顔を背けた。


…へ?何が?


チラリと視線をやると、どうやらロードさん達は事情がわかってるみたいだけど…

どういう意味かよくわからない。


「いや別に。ただママって呼ばれて16歳の私としてはちょっと複雑だったかなぁって。

えーと、ハノアちゃん?お兄ちゃん来たから行こうね~」


そう言って頭を撫でても、ハノアちゃんは私の服を掴んで話さないどころかむしろ抱きついている。


……ていうか…え、寝てる!?

寝てんの!?この状況で!?


ぐ…っ!寝てるくせに全然腕がほどけない!!

ていうかみんなも生暖かい目でみてないで手伝って!


「…っ仕方ない、お家はどこ?運びましょう。」


少年が恐縮して断ってくるけど、じゃあこの子の腕、離してみてよ!



そんな感じで街の外れ、鉱山の麓の小さな森にやってきた。

彼らが住んでいるのはツリーハウス。

ここで父親と妹と3人で暮らしているらしい。


「ふぉぉ~!!!す、すごい!初めて見た!これがツリーハウス!!

どうやって木に家固定してるの!?ていうかどうやって建てるの!?何人乗っても大丈夫なの!?」


腕にハノアちゃんを抱きながら鼻息を荒くして質問攻めにしながら

家の中をきょろきょろ見ていたら、家族の写真が飾られていた。

…これがお母さん…私、全然似てないよね?


私の興奮っぷりにちょっと引いている少年・ヒリエスが

彼が色々と事情を説明してくれた。


このツリーハウスに住んでいる一帯の集落は、ほとんどが土の精霊と人間のハーフだったり、祖先に持つ人だったりするそうだ。

そういう人達をノームアンセスタと呼ぶらしい。


土の精霊の中にも長く時を生きて術を学べば実体化して人間と恋をすることもあるとは聞いていたけど…

実際その子孫に会ったのは初めてだ。


ノームアンセスタはかなりの腕力があり土木建築や鍛治が得意な種族で、

ツリーハウスもほんの数人でできてしまう技術と力があるとのこと。それはすごい。



ただ、少し他の人と違う体だから、町の他の人達からは気味悪がられて嫌われているんです、と苦笑するヒリエス。

その姿からこれまで色々あったことがうかがえる。


「別に危害を加えてるわけでもないでしょ?」


「そんなことしません!みんな根が優しい人達ばかりです。

でも鉱山や鍛冶屋、土木建築の仕事も、町の人達が悪い噂を流してたりで、あまりうまくいってなくて。腕には自信があるんですけどね…」



ふーん…

ヤエムの町はほとんどの人が鉱山とか鍛治関連で生活してるらしいし、

商売仇だから種族のせいにして邪魔するってのもあるのかな。


とにかく見てみないことにはなんとも言えないか…



「ヒリエス君、鍛治場とか鉱山とか見てみたいなぁ。できる??」



にっこり笑ってそう言う私を見て、

ここでの滞在が長引くことを感じ取った騎士達は小さくため息をついた。


たくさんの方に読んでいただき感謝です。。


読みやすくなるように頑張ります~!

次、騎士視点で書いてみようかなと思ってます。

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