あっけない結末
なかなか進まなくてすみません!
船外に出たところで、
ロードさんが目に入った。
「ひ…フィリス、先にでてきた大きい男は?」
姫、と言おうとして後ろからシュウが姿を現したのを見て一瞬口をつぐんだロードさんに、フィリスさんは簡単に説明した。
「海賊の首領だ。人身売買に関わっていた。地上の協力者のところへ逃がしたから追い詰めて一気にケリをつける。」
大体は予想通りだったようで、ひとつうなずき、
「女性達はポルナレフが宿で保護している。あの男は今ディエゴに後を追わせているところだ」
何にも説明しなくても瞬時に必要と思われることをする。
本当に頭が下がるくらい優秀な人たちがこの国を支えているんだな、
ちょっと嬉しくなった。
「あぁ、それなら大丈夫です。その辺にいた精霊を奴につけたので、我々はその精霊に案内してもらいます。
ディエゴさんには警護団との連絡をお願いできますか?ひょっとしたら…結構大事になるかもしれません。」
シュウは海賊の殲滅、そして首謀者のあぶりだしという、私達と同じ目的で動いているようだった。
それを指示したのはいったい誰なのか?
ちらりとシュウを見たけど、ニカッと笑っただけだった。
その後精霊に案内してもらって、私、フィリスさん、ロードさん、シュウは街の奥の大きな屋敷の傍までやってきた。
「ここね…。精霊の話によると、外にいる見張りは正面の奴等だけ。屋敷にいる人数は…」
屋敷の構図や人員配置、侵入経路を確認し、私達は制圧を開始した。
その屋敷を制圧するのに五分もかからなかった。
「つ…強すぎるっ、化け物だ…!」
いや、君らがチョロすぎるんです。
ガクブルでこちらを怯えた目で見ているのは海賊の親方と、人身売買を行っていた商人だ。
逃げたことで安心したのか屋敷の奥で談笑していたところをフィリスさんとロードさんが沈めた。
先に部屋に入っていった騎士2人は、私が続けて入室した時にはそれぞれを床に転がしていた。
というか、そこまでの道すがら、使用人達を無駄なく無力化していくシュウの手際の良さに一番驚いた。
私何にもしてないんですけど…
捕まえた2人はディエゴさん達に案内され駆けつけた地元の警護団に連れられて行った。
これからキツイおしおきと尋問が待っているそうな。ご愁傷様。
「さて…とりあえず、お疲れさまでした!フィリスさん、付き合ってくれてありがとうございます。シュウも。」
いや、と軽く返したフィリスさんに対して、シュウは物珍しげにこちらを眺めてから目を細めた。
「やっぱりティアは面白いな。」
「ん?なにか言った?」
聞こえなかったので顔を覗き込んで尋ねる。
「いんや、なんでもない」
私たちの間を通り抜ける清々しい風が、カラカラ笑うシュウの声を優しく運んでいった。
読んでいただきありがとうございます。
シュウは個人的に好きなキャラになりそうです。
皆様も気に入っていただけると幸いです。




