エドのお相手(後)
出だしで速攻お相手ネタバレする仕様
「………はい?レオお兄様、もう一度言って下さる?」
「だから、婚約はどうかと言ってる。エドワード殿と。和平の意味もあるし、何よりお前を制御してくれる人を探す方が骨が折れるし」
「私も賛成です、ソフィーヌ様。エドワード殿下であれば、手腕、イケメンぶり、紳士さ、将来有望かつ国としてもセレスティナと繋がりができます。」
「おい、ウィンスレット、何故そんなに高評価なんだ?俺はお前にそんな風に言われたことないぞ」
レオお兄様の話が逸れたのをウィンスレットと2人スルーした。
「とにかく、ちょっと待ってちょうだい。そんな急に言われても」
どのみち、姫なんてどこかの有力貴族か国への政略結婚が常だと覚悟はしていたけど…
正直、ティア姫と騎士の公開プロポーズを見て、少し夢を持ってしまったのも事実。
ノック音がしたのは、その時だった。
こんな時間に誰かしら?
対応しに扉を開けたウィンスレットが「おぉ!」と珍しく声をあげ、レオお兄様に耳打ちすると「なんと!願っても無い」と歓喜の表情。
その後なんだかわからないけどニヤニヤした2人が部屋を出て、代わりに入ってきたのは……エドワード様だった。
えっえぇ⁉︎ちょっと待って!
男女を2人部屋に残すってどうなの⁉︎と戸惑うと「夜分にすみません。お2人は部屋の外にいらっしゃいますよ」とエドワード王子が微笑んだ。
思わずドキッとしたのは、緊張のせいだ。絶対そう。
「そ、それで、どうなさったのですか?」
「あなたに求婚しに」
…………………はぁ?
声に出ていたようだ。
「疑問はごもっともです。が、お互いに悪い話ではないと思います。」
エドワード様はそう言うとわたくしの手をとって、目線を合わせて少しかがむ。
奥まで見透かされそうな金の瞳に、光が当たると天使の輪が浮かぶ金の髪がさらりと揺れる。
えっ?なに??
そっと手の甲に口付けられ、わたくしは固まった。
「ソフィーヌ姫、私と結婚してくださいませんか?」
「ええええええっと、そんな、き、急に」
「元々そういう話はあったようですね、先程レオナルド殿にもそう聞きました」
「で、ですが…!」
「ーーー何か、問題でも?」
笑みを崩さずに首をかしげる様子は、天使のように優しげで綺麗だ。
「問題など……エドワード様はこんな礼儀知らずでさんざんティア様まで巻き込んで迷惑をかけた姫なんてお嫌なのでは…と、」
「そうですね、確かに多大なる迷惑をかけられたとは思っていますが」
ズキっと胸が痛む。事実だけど、事実なのだけれど。
「その件は、すでに謝罪を受けました。済んだことは別にもう気にしていません」
意外とあっけらかんとした声で返ってきて、驚きを隠せずギュッと添えられたままのエドワード様の手を握る。
「そ、そんなの…迷惑をかけた過去がなくなるわけではありませんわ」
「………過去はなくなりませんが、作っていく未来を変えることはできます」
少し遠くを見るようにしたことで、わかってしまった。
この人にも、何か辛い過去があるのだと。
ならばなおさら…
「作る未来に相応しい方が、貴方ならすぐ見つかるはずですわ、私などではなく」
真面目に考えてそう言ったのに、エドワード様の纏う空気がなんというか物騒な感じに変わってーーー
「うーん、私ではなにか不満ですか?」
な、なんか笑顔なのに怖い?なんですのコレ?
「えっ、いや、そ、そうでなく。それにわたくし、お兄様のような方と結婚したいなぁなんて夢もありましたし?」
「レオナルド殿のような王族は他国にいませんよ。いろんな意味で」
なんだろう、言外にバカにされた気がする。
さっきまでの真面目な思考を一旦捨てよう。
「お兄様は素晴らしい方ですわ!ティア様と結婚して欲しかったくらい…!」
「姉上こそ素晴らしい方ですから申し訳ありませんがレオナルド殿では無理です。」
「…………この件については話し合う必要がありそうですわね」
これが、ブラコンとシスコン、実は大いにお似合いなカップルが誕生した瞬間だった。
オチが馬鹿。そして意外にお似合い(笑)
えーそして、
新しい小説始めました。
「庭師になりたい令嬢と不器用な王子」
というまたベタなやつです。
ハーレム系ではなく一対一。
よければそちらもお付き合いくださいませ。