エドのお相手(前)
エドのターン!
ジャンル別月刊ランキングでTOP10に入ってました!知らぬ間に・・・
こんなに多くの方に見ていただけると思っていなかったので大変恐縮です。
駄文ですが、少しでもお楽しみいただけると幸いです。
姉上がフィリス・ディオルクと婚約した。
本当に幸せそうに微笑むのを見て、良かった、と胸がいっぱいになった。
出会ってからまだ短い間ではあるが、たくさんの愛情、強さをもらった義姉が離れてしまうようで少し寂しくもあるけれど。
その夜、父に呼び出されて私室へ向かうと、母もいた。2人で語らっていたようで、テーブルには空いたグラスが並んでいた。
仲良くしているのだな、と思うと色々あっただけになんだかホッとする。
「来たか、エドワード」
「はい」
「今日、ティアの婚約を発表したが……」
「……父上?」
そこで口ごもるところに、いつもの国王としての厳しさだけではない、父親としての感情が見え隠れし、内心やっぱりなとひとり頷く。
「次は、私の番というわけですね」
「ん、そう、そうだ…」
歯切れの悪い父に代わり母が言葉を続ける。
「陛下はなるべく貴方の意見も聞きたいと呼び出したのだけど、エド、貴方いま思い人はいて?」
命令すれば済む話なのに、わざわざ息子の意思を確認するなんて、我が親ながら甘い人だと思う。
しかし、そんな気持ちが嬉しいのは嘘じゃない。くす、と笑みが溢れた。
思い人と言われて浮かぶのはーーー
いや、あの人のことはもうヤツに任せた。エドの出番はない。
「そうですね。特にいないので余程ひどい女性でなければ、セレスティナとして有益などなたかで構いませんよ」
えー、せっかく恋愛結婚もいいって仰ってるのにーと母がなんだかブーブー言っているけど、無視。
「いい令嬢との出会いの場として夜会を設けてもいいが、どうだ?」
うーん、正直に言おう、面倒臭い。
もちろん挨拶やダンスでお相手させてもらったことはあるが、話していて楽しい人も……
あぁ、飽きなさそうなヤツならいるな。煩いけど。
「夜会は結構です。ただ、政略結婚ならこの人はどうかと思う人がいるんですが」
そこであげた名前に、両親は揃ってギョッとしたが、反対はしないようだ。
「では、ちょっと求婚してきますね。失礼します。」
口をあんぐり開けた国王夫婦なんて誰にも見せられないと思い、さっさと扉を閉めて歩き出した。
「なんだかエドワード、随分男らしくなったな…」
「それより我が子ながら二面性が怖いですわ」