断末魔
お待たせしました!
エド達が魔物や獣と戦い始めた頃。
フィルとシュウは塔の側へ来ていた。
「フィルの旦那、どうするつもり?」
「塔の階段を上る時間も惜しい、壁を走る。短刀か楔のようなものを打ち込んでくれ」
「お安い御用!旦那だと上まで7本ありゃいいかな、せーーーのっ」
即座に意を汲んで構えたシュウの掛け声に合わせ、フィルが塔の壁に沿ってその自慢の脚力で跳躍する。
フィルの跳躍の上昇スピードが落ちて来る頃、足元の位置にトトン!と突き刺さる楔。
そこに足をかけ再び跳躍するのを繰り返し、見る見る間に塔の頂上付近に到達する。
音もなく最上階の窓から部屋へ進入すると、箱を抱えて虚ろな表情をする魔導師らしき男が、宝や怪しげな道具に囲まれて立っていた。
ぶつぶつと呟く様は、正気を失っているようにも見える。
これは……
「魔道具の闇に飲まれたか」
使用者自身の魔力と生命力を吸い取りながら、傀儡の魔道具は動き続ける。
死者や動物、魔物など、力の及ぶ範囲の物を操りやすい順に取り込んでいく。
既に魔導師は力を吸い取られすぎたようだ。
魔道具から発されている禍々しい気は、己の意思を持つかのようにうねり、フィルへと向かう。
「ふーん、俺のこと操ろうってことかなぁ。言っとくけど、闇の力比べなら負けないよ?」
ヒュッ!
解放した右腕の闇の力を正確に狙ってしならせ、男の持つ魔道具へ走らせる。
バチッバチバチィィッ!!!!
黒い雷が部屋中で激しく暴れまわるが、フィルはそれを避けるでもなく、ただ一点、冷めた目で 魔道具の奥の闇だけを見つめている。
そして闇の精霊王の力を纏う片腕をかざしたまま、目の前の闇に告げる。
「爆ぜろ」
耳をつんざく女でも老人でも大男でもあるような雄叫びを上げ、傀儡の魔道具は、四散した。
こうして、国境を荒らし回る盗賊団による騒ぎは幕を閉じたのだった。
人間業じゃない2人。
物理的に絶対無理だろ、と言う自分と
いやぁだって物語なんだからそれくらいしないと、と言う自分の闘い、後者が勝ちました(笑)
数話書きためたので、
また早めにあげます




