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傀儡


「殿下〜旦那〜〜来ましたよー!これ、姫さんによると魔道具による傀儡じゃないかって話です!」


切っても切ってもやってくる不死者達は、もはやグロテスクで誰もが目を背けたくなる絵面になっている。

騎士達もさすがに怖気付くことはないがドン引きしながら戦っているくらいだ。


「シュウか!傀儡の魔道具って厄介な…」


フィルが眉をしかめながら向かってくる敵をなぎ倒す。


「元を断つしかないだろうけど姉上は何か」


「敵さんは塔の上に隠れちゃってるみたいなんで、とりあえずここ押さえましょうか!」



しゅるり、と懐から取り出したのは紐のようなもの。



「ジャジャーン!ながいひもー」



先に鉤爪のようなものがついた縄で、グロい敵達をどんどん縛り上げていく。


それにならってフィルも闇の力を鞭のようにしならせ拘束する。


不死者達はバタバタカクカク暴れはするものの力が強いわけでも縄を解く複雑な動きができるわけでもないようで、そのまま捕縛され、風のような速さで無力化されていく。



「よ…っ。こんなもんかなー」


「相変わらず小回りがきくな」


「フィルの旦那、それ褒めてる?」


「珍しく褒めてるだろ」


「塔の上の魔導師!傀儡で操る死者は封じた!!大人しく投降し…」


いつものやりとりを尻目にエドがそこまで言いかけた時、ざわり、と森が蠢いた。



「な…んだ?」


異様な空気に騎士達も周囲に目をやる。



木々の奥からのそり、と大きな熊が現れると、次から次へと獣や独特の魔力を纏った魔獣達が近づいてくる。



「ッ、操るのは死者だけじゃなかったのか…⁉︎」



「きゃあぁー!?」


甲高い女性の悲鳴ーーソフィーヌ姫だ。


「まずい!姉上達の方にも…!」



エドが戻ろうとする中、フィルは塔の上を見据えた。


「殿下、自分は上の奴を叩いてきますのでこちらの指揮をお任せします。シュウ、手を貸してくれ」


「りょーかい」


ティア達の方を振り向きもせず2人は塔へと駆け寄っていった。



その背中を見送り

「……まだまだ、ということか」




フィルだって本当なら今すぐにティアの側に行きたいはずだ。


そうしないのはロードに全幅の信頼を寄せているから。

仲間を信じる、一言で言うと簡単だけれど…



自分はまだ家族以外を心より信じられていないのかもしれない。



ふるりと、一度だけ頭を振り、戸惑う騎士達に声を張る。



「傀儡の元を断つまで凌ぐぞ!獣達よりもまず魔獣から2人がかりで組んでいけ!!くれぐれも背中は無防備にするな!」



「「はい!」」



エドの指揮に従い皆が即座に構える。


魔物の掃討作戦のフィルの姿を思い出しながら、エドは先陣を切って掃討を開始した。


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