表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/130

救出(フィル視点)

たいへんお待たせして申し訳ありません…


…まだか…!


フィルは焦る心を抑えきれず強く手綱を握る。




ハノアの案内で、ようやく遠くに塔が見えてきた。


「あの塔!最上階!!」



そう耳にした瞬間、もう待てなかった。

馬の腹を蹴り、さらにスピードを上げる。



「先に行きます!」


「ディオルク、待て!単独で突っ込むな!!」


制止を振り切り塔が大きく見えるくらいまで馬を走らせたフィルの目に飛び込んできたのは、信じ難い光景。



塔から落ちてくる二つの影。



ぱぁん!と大きな音がしたかと思うと影の一つが途中ふわりと浮いたように落下速度を落とし、もう一つは………



「ティア!!!!」



悲痛な叫びが夜空に響く。




全ての時がスローモーションに感じる。


必死に馬を走らせながら、無意識に右腕の闇の力を全開放する。



「ぉおぉッ!」



伸ばした右腕のその先まで腕に纏わせた闇を糸のようにティアへ向けて伸ばす。



闇の糸は音もなくティアの体に繭のように巻きついて落下の勢いを殺しながら、落下地点に着いたフィルの腕に飛び込んでくる。



隣では遅れてゆっくりと降りてくるソフィーヌ姫を殿下が受け止めていた。



それを横目に、安堵のままに、手の中にいる華奢な体を抱きしめた。


「ティア…無事でよかった…」


闇の力をあんな使い方をしたのは初めてだった。切る以外のこともできる力なのか…


そんなことよりうまくいかなければ失っていたかもしれないと気づき、恐怖が後から後から湧き出て震えてくる。


「ふぃる…?」


「!ティア!!大丈夫…ではないみたいだね」



紅い瞳に白銀の髪。

さらには全身細かな傷ができ血だらけだ。手首は赤く爛れていた。


「むりに 抑制そうち、こわ、し、…」


息絶え絶え喋るのもやっと、という感じで。

魔力が枯渇寸前になったこもは何度もあるが、ここまで疲弊するのを見たことがない。


それ程までに無茶をしたということだ。



それでも腕の中に感じる体温をぎゅっと体を抱きしめ、目を細める。


自分の中の怒気がジワジワと上がってきているのがわかる。

いつの間にか震えは止まっていた。



盗賊団だかなんだか知らないが、こんな傷をつける原因になった輩は許さない。

ひとり残らず



「………潰す」




思わずボソリと口をついて出たその言葉に、何でかわからないけど腕の中のティアが「ひっ」と慄いた。




ティアを抱き上げ、その場を離れロードの方へと向かう。

エドに抱きとめられたソフィーヌ姫はすでにウィンスレットのそばにいる。


「ロード、姫様を。」


「いいのか?ついていなくて。」


「俺の力は守るより攻める方が合っているから。でもティアは…一番信頼できるヤツにしか任せたくない。だから…頼む。」


少しの間目を合わせたあと、溜息と共に頷いた。


「わかった。そう言い出したら聞かないからな。私も攻めたい所だが、ここは譲ろう。お守りしてるからーー地獄を見せてやれ」



苛烈な怒気を抑えきれぬようにそう言ってロードはその腕でティアを受け取る。

頭の上でそんな殺気を出されまくって、疲労困憊のせいもありティアは目を回して気絶寸前だ。




後にティアはこの時のことを「あの場が地獄だったよ!」と語っている。



ソフィア姫を支えながらこちらを心配そうに見るエドに気づき、ティアは力を振り絞って笑みを返す。


フィルと頷きあったエドは、腰から剣を抜きかかげる。


「いくぞ!王国の宝に手を出した愚かな盗賊どもを徹底的に蹴散らせ!」


「「おぉッ!!!」」


エドの憤怒声に、呼応するように騎士達からも雄叫びが上がる。



怒れる騎士達による盗賊の討伐の幕が切って下された。

読んでくださりありがとうございます。

早く恋愛ジャンルに相応しい流れに戻りたい。



これより若干ストックあるので何回分かちょこちょこあげれるかと…


誤字脱字あれば、ご指摘くださいませ。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ