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港町での清掃活動!

あと街をいくつ抜けると王都…


つきました、港町キエム!


大きな船が引っ切り無しにやってくる、

セレスティナでも最大級の貿易の拠点。


取り扱っているのは、布や衣類、雑貨からお茶、お菓子まで幅広い。


見学したいという私の申し出もあり、

港に立ち寄ってくれることになった。


あちこちから聞こえる楽しげな声や活気溢れるその様子に笑みがこぼれる。


どこの国から来たかわかる船の側面の国紋を見ると、本当に様々なところからやってきているのがわかる。

この様子だと、財政や国交的に今のところ大きな問題はないのかもしれない。



貿易関連の話をロードさんに教わりながら暫く見て歩く。


その間にポルナレフさんが宿をとってきてくれたけど、今回はきちんと3部屋取ることができたそうだ。

よかったよかった。


見学を終えて宿で夕食を取り、

しばらく部屋でお茶を飲んで外を眺めたあと、私は目的のために動き出した。


ロードさんたちには、今夜は疲れたから早く寝ると言ってある。



そっと宿を抜け出し、海風が頬をなでる夜の町を、港へ向けて歩いていく。


風の魔法をつかって、完璧に気配を消したはずだった。

だから、



「どこ行くの」



すぐ後ろから声をかけられて本気で腰を抜かしそうになった。


再び背後をとられるとは不覚!

慌てて振り返ると、不機嫌そうな目でこちらを見下ろすフィリスさん。



「えーっと、ちょっと夜風に当たって散歩でもしようかなと。」

「こんな時間に一人で?」

「いやぁ、みなさんの手を煩わせるのもと思って…ちょっとだけだし」

「あんなことがあった後なのにそんなことして大丈夫と思う神経がおかしい。君は馬鹿?」

「だっ誰が馬鹿ですか!誰が!

ちゃんと保護の呪文をかけて拉致には対処してます!」


精霊魔法の方が早いから使うというだけで、簡単な攻撃や保護といった通常の魔道師のような魔法もちゃんと学んでいる。


こちらは言霊を紡ぐこと自体が魔法の形成に関わるので

私の使う精霊魔法よりは時間的に不便であまり使わないけれど。


「それで1人で行かせると思う?言っとくけど逃げても追いかけるから。

まだ魔法石の効力は切れてないから。」


ぐぁっ!魔法石を渡していたことを完全に忘れてた。


なんてことだ!

自らを助けるために渡した石が首をしめることになるなんて!



呆れたようなため息のあと、フィリスさんはぽつりとつぶやいた。

「もう、失うかもしれないなんて気持ちになるのは御免だ。

君は嫌かもしれないけど……きちんと護らせて。」



思わず言葉につまる。

フィリスさんがこちらを見る瞳が、とても、辛そうだったから。


「…わかりました。」

頷くしかない。


「っていうか、出歩くのはいいんですね?」

「どうせ言っても聞かないでしょ。言っとくけどロードたちも遠くから姿は確認してるから」

「えぇ!?」


キョロキョロ見回すけど、どこからも気配を感じさせない。

さすがは精鋭!!!


はぁ、とため息が聞こえた。

知ってます?ため息つくと幸せって逃げるらしいですよ。


「騎士を甘くみすぎだよ。

君がやりたいことがあるんだろうから邪魔はしないけど、

何かあったら飛び込んで御守りするって言ってた」


うーん信用されているんだかいないんだか。

でもこれからやろうとしてること話したら大反対しそうだから、

遠くから見守ってくれてるだけよしとするか…


そうとわかれば、さっさと行動に移そう。



「で、何をしたいの?」

「………せっかくだから王都に行くまでにちょっとしたお掃除を…」

「は?」

「…………………海賊退治を….…」

「は!?」


「先日攫われた時に来た男達が『俺達が山に登るなんてと思ったが』と話していたのがひっかかってたんです。

『これはいい値で売れそうだ。』みたいなことも言ってましたし、

おそらく、近くの町の海賊か何かで、人身売買まがいのことをしている輩じゃないかと思ったんです」


怪訝な顔が怒りで満ちるまではすぐだった。


「何言ってるかわかってる?そんな危険なことさせられない」

「何でも屋をやっているときは討伐的な依頼もありましたし、

そこまで派手にやろうとは思ってませんよ」

「そういう問題じゃない。そもそも王族が直接そんなことする必要はない。」


「――――苦しむ人がいるかもしれないのに放っておくのが王族なら、

私にはその地位こそ必要ありません。」


しっかりとフィリスさんを見て、断言する。


「確かに、王族として人の上にたつものは、自分ではなく人を動かすことで治めることができなければならないでしょう。

でも、もし私が今後姫として生きていくことになったのなら、私は私の思う姫になる。

周りがどう思おうが関係ありません。

国王陛下にお会いしたときにも、そうお話するつもりです。私は、私なりに守るだけです。

だから、今も止められても全力で振り切って行きますよ。」


フィリスさんは厳しい顔で黙って聞いていたが、

ふっと表情を和らげて言った。


「とんだ我侭姫だね…」


「ごめんなさい。無茶はしませんから。」

「……わかった。でも俺もついていくからね。」

そっと私の手をとって歩き出す。


「え、来てくれるんですか?」


「当たり前でしょ。」


ギッと睨まれたけど言葉の刺とは裏腹につながれた手があまりにも優しくて。


少し熱くなってしまった頬を海風が冷やしていった。

読んでいただきありがとうございます!


早く別のキャラ達も出したいです…


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