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マンドレイクなソロプレイヤーは目立ちたい  作者: つなまぐろ


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7/12

捻くれ大根

「そ、それで、興味ある?ぼっ……僕の武器」


 興味があるも何もドンピシャだよ。

 

「もちろん、わた、し……!?」


 普通に話していると、急に立っていられなくなるほどの虚脱感に襲われる。私は工房の床に膝をつき、身動きが取れなくなった。

 ロウさんを見ても困惑しているようで、何かしたような様子はない。

 

 そうなると、どこからか攻撃されたかもしれない。そう考えた私は、急いで周りの状況を確認する。私とロウさん以外に人はいないし、変な武器や道具以外は何もない。


 しばらくしてこれ以上何も起きないことが分かると、ステータスを開いてどんな状態異常にかかっているのかを確認する。


 ……?


 ……魔力枯渇?


 なるほど、喋りすぎたのね。


 ……。

  

 ────ああ、私はマンドレイク。土があったら埋まりたい。


「マナポーション、いる?」


 素直に頷くと、ロウさんは棚から青い液体の入った試験管のようなものを持ってきてくれた。

 ありがたく受け取り、一気に飲み干す。ステータスを確認すると、MPが10回復していた。


 私は立ち上がると、インベントリから余白がなくなってきた紙を取りだす。そして、何事もなかったかのように話を続ける。


『私は遠くから相手を攻撃して、ダメージを食らうことなく殺したい。この声と状態異常を与える武器で、相手の嫌がる顔を見たい』

「え、あ、うん。か、可愛らしいのに、ねじ……捻じ曲がっちゃったんだね……」

『ゲーマーの性だよ』

「……ゲーマー?」

『異世界人の性だよ』

「え……こ、怖いね、君たち」


 すまぬ、名も知らぬプレイヤーたち。濡れ衣を着せてしまったよ。


『それで、そんな私に合いそうな武器とかある?もしものために近接武器もあったら嬉しいんだけど』

「も、持ってきてみる……よ。さっきのせ、閃光玉は……目眩しに使えるから……持っていきなよ」

『ちなみに7,000ゴールドくらいしかない』

「す、少ないね……。そ、それに合わせて……もって、持ってくるよ」

『ありがとう』


 もう紙が限界かな。メモ帳でもあれば買っておかないと。一番は固有スキルのオンオフができたらいいんだけどさ。


「はい、だいたい……5,000ゴールドくらいだよ」


 しばらくして、ロウさんが持ってきてくれたのは五本の小さなナイフと吹き矢、そして薄紫色の包帯だった。


 (【鑑定】)


毒羽の投刃(ポイズン・スロー)

耐久値:30/30

追加効果:毒(1)

ロウが作製した武器。毒液に漬け込まれていたため、刃が脆くなっている。この武器で傷を負わせた場合、確率で毒(1)を付与する。


『麻痺毒の吹き矢』

耐久値:50/50

追加効果:麻痺(1)

ロウが作製した武器。矢の先端部に麻痺毒が塗られている。この武器で傷を負わせた場合、確率で麻痺(1)を付与する。装備するとDEX+1。

 

『毒避けの白布』

耐久値:85/85

追加効果:毒耐性(1)

ロウが作製した防具。一部が薄紫色に変色しており、毒に対する耐性を持つ。布を巻いた箇所のみ、毒耐性(1)を得る。


 すごくいいね。

 投げナイフなんて暗殺者みたいでかっこいいし、吹き矢もそれっぽい。包帯は多分、ナイフの毒を食らわないように手に巻いておけってことだよね?


「安いから耐久が少ないけど、君が好きそうだと思って、これ……、これにしたよ。もう……5,000ゴールドくらい持ってきてくれたら、もっと充実させられると思う」


 鍛冶通りの手前の方でナイフを売ってた人は、一本5,000ゴールドだった。同じ5,000ゴールドでこれならお買い得だね。

 残りの手持ちは2,000ゴールドだから、あと3,000ゴールド必要。今持っているコボルトのドロップアイテムだけじゃそんなにいくわけないだろうし、レベル上げも兼ねて外に行かないと。


 ナイフで魔物を切るような動きをして、指でお金を表すジェスチャーをすると、それをロウさんに見せた。


「……?」

 

 ……あ、ダメだ。全然伝わってないや。


「魔物狩りに行ってくるね」

「うん、わ、わかったよ。行ってらっしゃい……」


 買ったばかりの武器をベルトに装着し、工房を出る。おまけでレッグホルスターをくれたから、ナイフはそこにしまって持ち歩くことにした。

 

 そうだ、外に行くなら北門から行こっと。差し入れはもう少しお金を稼げてからだけど、いい武器が買えたって報告はしておこう。


 静かな区画から離れるにつれ、再び喧騒が戻ってくる。鍛冶通りに来てから1時間くらいは経ったからか、さっきよりもプレイヤーの姿が見える。

 話しかけられると面倒だし、さっさと鍛冶通りから離れよう。


 そうして北門に着くと、詰所でいろいろ教えてくれた門番さんが表に出ているのが見えた。声をかけようと思ったけど、商人っぽい人の対応をしている。

 邪魔するのも悪いし、離れたところからナイフを買ったアピールをして手を振っておく。一瞬目が合ったから伝わったんじゃないかな。


 そのまま門を抜けると、目の前にある街道を進むことはせず、脇の茂みに入り進んでいく。街道はさすがに人が多すぎた。それで茂みに入ったはいいものの、結局ここにも魔物と戦っているプレイヤーたちの姿がいくつもある。


 そういえば、プレイヤーを鑑定したらどうなるんだろう。ちょうど目の前で戦っているパーティーがいるから、その中の男へ向けて【鑑定】をしてみる。


 (【鑑定】)


──────────────────

<異界からの転移者>

名前:ハル

種族:人 職業:見習い剣士

Lv:2  HP:93/115

──────────────────


 ふーん。こんな感じで見れるのか。ということは、私がマンドレイクだってことを知ったプレイヤーがいる可能性もあるのか。あるだろうな。

 まあ、MPが分からないのは私にとってありがたい仕様だね。

 それより。 

  

 ……今ここで叫んだらどうなるんだろ。


 一旦、近くの茂みに身を隠す。目の前のパーティー以外にも、魔物と戦っているパーティーが三つくらいある。もし彼らが動けなくなっているうちに魔物にやられたら、MPKになるのかな?レッドネームとかになるのかな?


 まあいいや、好奇心には素直に従うべしってね。きっと魔物も動けなくなるだろうし。

 大きく息を吸い込んで、できるだけ遠くまで声が届くように──────


「キャアアアアアアア──────ッ!!」

 

 自分でもびっくりするくらい高音で、ヒステリックな感じの悲鳴になった。割とマンドレイクらしいんじゃないかな。

 悲鳴が短いのは変だと思って3秒くらいにしてみたけど、叫ぶ前に残りMPを確認するのを忘れていた。

 ステータスを見ると、残りMPは2しかない。もう1秒伸ばしていたら詰んでたなぁ。次からは気をつけないと。


 これだけゴリゴリMPが削れるのなら、マナポーションを買わないと。3分でMPが1回復するんじゃ全然間に合わないよ。

 

 <称号『広域デバッファー』を獲得しました>


 なんか称号が手に入ったけど後で確認しよう。


 さて、プレイヤーたちは……っと。


 あーあ、みんな動けなくなってるよ。立って動いている人はいるけど、神官さんっぽいね。どのパーティーも神官しか立っていないってことは、神官の人は精神系の状態異常に耐性があるんだろうな。

 足がゆっくりにしか動かせないからか、太ももを叩く人もいる。太ももは悪くないから許してあげて。


 でも、魔物も動けてないからプラマイゼロってことで。


 ……いや、ごめん。何体か大きめな個体が動けちゃってる。

 あー、剣士の頭に噛み付いて……やられちゃった。【魔根の悲鳴マンドレイク・スクリーム】を食らっても動ける魔物たちが、動けないプレイヤーたちに容赦なく襲いかかっている。

 状態異常は40秒しか続かないし、だんだん効果が弱くなっていくからプレイヤーが全滅することはないと思うけど、動けなくなった原因を探される前に逃げないと。


 倒されていく彼らの姿を眺めながら、私はそそくさとその場を後にした。


 <称号『MPK常習犯』を獲得しました>


 常習犯?なんのことやら。

魔根の悲鳴マンドレイク・スクリーム

 叫び始めにMPを3消費して状態異常を1スタック付与します。その後一秒叫び続ける事に1スタック重ねていきます。

 なので今回の場合は、叫び始めの状態異常(1)+3秒間叫んだことによる状態異常(3)で4スタック、40秒間の状態異常を付与したことになります。また、1スタック重なるごとに効果は大きくなっていきます。


 どこで説明を入れればよいか分からなかったので……。


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