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遥か遠くの星と月  作者: 夜月唯夏
9/11

星と月はまだ遠い8

結局その日は一日中上の空だった。理由は1つ。愛してやまない弟である。


「(まさか女遊びが激しいとは…)」


そう。隣で行われていた会話で知ってしまった今の弟の生活。それが10年越しに会った姉をショックで凍らせてしまったのだ。


「(そりゃあ、叶月は昔から優しいしカッコイイし、モテるのは当然だよ。でもまさか不特定多数の女の子と遊んでたなんて…。10年って怖いのね)」


その会話を聞いた後、フリーズから復活したのは次の授業のチャイムが鳴った時だった。それまでの数分間の記憶が無い。完全に思考停止していたようだ。


集中していないまま1日が終わってしまった。部活に入っていない星望はすぐに帰宅の準備をする。

そういえば、と冷蔵庫にあまり食材が入っていないことを思い出す。直帰からスーパー経由に決まった。



―――――――――――――――――


晩御飯のメニューを考えながら家から1番近いスーパーに向かう。


「(今日はカレーにしようか……ん?)」


スーパーから出てきたのは叶月だった。

そこまでは何とも思わなかったのだが、横に1人の女子がいた。


「叶月…の彼女…かな…?いや、遊びの子…?」


思い出されるのは朝の会話。弟が不特定多数の女の子と遊んでいるかもしれないことだ。

実際に遭遇してしまったなら次にすることは一つだけ。


「(後をつける!!!)」




弟のことが大好きな姉は勘違いしたまま突き進んだ。




―――――――――――――――――――



その日の夜。


「セイちゃんおかえりー!お腹すいたー…ってどうしたの!?」


星望は泣きながら帰ってきた。


「えーっと…一体何が…?」

「彼女…」

「え?」

「叶月に彼女がいたの!!!」


そう叫んで星望は大号泣し始めた。普段の冷静な印象とは掛け離れている姿を見たことがなかった理央は内心パニックだった。


「ほら、ノエちゃんも高校生だし…いてもおかしくないんじゃないかな…?」

「…………わかってる。わかってるんだけど、やっぱり寂しいよ…。叶月と普通に話せる彼女が羨ましい。殺したいくらいには羨ましい」


何か物騒なことを聞いたような気がしたがあえて無視しておいた。


「セイちゃん、もう少し。もう少しだけ待ってて」


腕の中で泣く星望の耳元に優しくそう囁いた。その言葉には強い思いが込められているようだった。


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