たとえ堕ちたとしても
月が綺麗な夜だ。そんな気分じゃないのに見入ってしまう。
昔、月の光には人を狂わせる力があると信じられていたらしい。もしこのまま光を浴び続けていればこの苦しみを感じなくなれるのだろうか。
ベットの上で膝を抱えてアァリは思い耽っていた。
今日は眠れる気がしない。だが実際にはこの土くれの体が睡眠を欲すればアァリの意識は抗いようもなく落ちていってしまう。所詮はそれまでの反抗だ。
あれから晩ごはんは作った。だが食べるのは無理だった。レムゥドはいつものように『おいしい』と言いながら食べていたが、それへの愛想笑いも上手くできなかった。
『あんなもの見たんだから、しょうがないよね』
声に出して自分を慰める。
あれは人間ではなく土人形。それはわかっている。バラバラになってはいたが、血や内臓が飛び出ていた訳ではない。マネキンが床に転がっているのと同じだ。グロテスクな事など何もない。
なのに何故こうも自分の心を抉るように刻み込まれているのか。
考えるまでもない。あの部屋を作り出したのがレムゥドだからだ。
あの場にあったのはただの『土人形』。その認識はアァリもレムゥドも共通している。だが『土人形』そのものへの認識には相違があった。
自らも『土人形』であるアァリにとっては『土人形』も他と同じく一つの生命だ。アァリはレムゥドもそう思っていると信じていた。自分の話を真摯に聞いてくれたあの時からずっと。
だが違った。
レムゥドにとって『土人形』とは、作るのに失敗しても、壊れて動かなくなっても、また作れば解決する『換えのきくオモチャ』でしかない。
その『オモチャ』が意思を持っていて、二度と目覚めなくなったとしてもそれを『死』だと捉える事はない。それはあの無惨な現場が証明していた。
『ボクも死んだらあそこに加えられるのかな……』
あの時、床に崩れ落ちたアァリを気にもせず、レムゥドは嬉々とした調子であの部屋について語っていた。あんなに饒舌で、身振り手振りも加えてはしゃぐ彼をアァリは知らなかった。
『本当に、純粋なだけなんだよなぁ』
彼が自分の研究を自慢している姿はまるで子どもだった。
彼に悪意はない。ただ無垢なだけ。
あの惨状だって長い孤独故に他者を慈しむという事を知らなかったせいで起きた悲劇、ただそれだけだ。
決して自分という世界が総てだと信じ込んでいるサイコパスなんかではない。
決して、違う。
アァリは自分に暗示をかけるように強く目を瞑って何度も、何度も復唱した。
百回は唱えた頃、ようやくアァリの体は眠り始めた。
『おはようございます!』
『おはようアァリ』
『今日は新しいジャムがあるので食べて下さいね!』
翌朝は震えを押し殺して気丈に振る舞った。
昨日との繋がりなんか無視だ。空元気だと見透かされても気にするな。笑顔以外は絶対に見せない。
『昨日はご飯を食べていなかったけど大丈夫かい?』
『大丈夫です! ちょっと味見で食べ過ぎちゃっただけですから!』
レムゥドはいつも通りだ。いつも通りアァリに気をかけてくれる。昨日、何事もなかったかのように。
レムゥドはアァリに隠し事をしていた訳じゃない。アァリが彼のそういう一面を知らなかっただけだ。そしてそれが最悪のシチュエーションで露見した。昨日の出来事は、纏めればただそれだけのことだ。
『レムゥド、薬はできましたか?』
『できてるよ。ただ飲ませるだけでいい』
レムゥドがローブの中から取り出した薬をテーブルの上に置くと、アァリは素早く近寄ってその薬を手に取り、元の位置に戻った。
『ありがとうございます。早く届けたいので今日はもう出ますね』
『もう行くの? ご飯は?』
『パンを食べながら行きます! レムゥドにはわからないでしょうけど急いでる時の様式美です!』
レムゥドが反応に困っている間にアァリは屋敷を出た。
急いでいるのは嘘だが、ゆっくりできそうにないのは本当だった。
、、、
まだ薄暗い時間だったが、こんな時間からでも村には働いている人がいた。アァリは物陰に忍びながら村のどこかにいるミリアを探した。まだ家の中に居たのなら為す術がなかったが、運良く見つけることができた。
「ミリアさん、ミリアさん」
「うん? うわっ! あんたなんでいるのよ⁉︎」
「一人で村に入ってすみません。あの、薬持ってきました。仕事の前にペコに飲ませたいんですけど」
「もう用意したの⁉︎ ありがたいけどそんなに急がなくても——」
と、アァリの顔を見たミリアの表情が怪訝そうなものに変わった。
「あんた、なんかあった?」
ミリアに勘づかれ、アァリの体が思わず強ばる。
「別に何もないですよ。何も」
「……そっか、ならいいけど」
ミリアが納得しているとは思えなかったが、食い下がられても今のアァリにははぐらかす事しかできない。無論、彼女もそれがわかっていて会話を切り上げている。
『今は誰もいなくてちょうどいいから』とミリアはアァリをペコの下へと連れて行った。
途中、アァリはつい胸の内をミリアに吐き出したくなったが、彼女は相談相手として不適切だと思い、また胸の奥へとしまい込んだ。そして、『そもそも相談できる人物などこの世界にはいない』と内側から鍵をかけた。
ペコは昨日と同様に項垂れていた。昨日と何も変わらない光景なのに、昨日と比べてえらく冷めている自分がアァリは不思議だった。あれだけミリアの力になりたいと意気込んでいた自分はどこへ行ったのか。
「これを飲ませてください」
アァリは容器に入った半液体状の薬をミリアに手渡した。薬の詳細はアァリも知らないため、『飲めば大丈夫』という説明しかできなかったが、ミリアは躊躇なくペコの口に入れた。
苦いせいか、はたまた薬の副作用か。ペコが悶えながら薬を吐き出そうとしたが、それをミリアが『お願い……!』と懇願しながら妨害した。
緊迫した長い格闘が続いた。その様子をアァリは黙って見つめていた。
、、、
「アァリはさ、自分は別に何もしてないとか思ってるんでしょ?」
喉元を過ぎて落ち着いたペコを眺めながらミリアはぽつりと呟いた。
「そんな事全然ないからね。あんたが来なければ何も始まらなかったんだから。あんたは必要なの」
「……」
「何があったのかはわからないけど、とりあえずあんたが持ってきた薬のおかげでこの子は助かる。その事に私は純粋に感謝してる。——おーいペコー、あんたの為にみんな無理して頑張ってるんだからねー」
「ミリアさん……」
ミリアの励ましには何の誇張もない。ただ感謝と共に事実を伝えただけ。捻くれているアァリにはそれが最も効果的だった。
アァリは『人と魔法使いの中間』である自分は人とレムゥドを繋ぐ架け橋になれると思っていた。しかしミリアと関わり、屋敷であの惨劇を見て、それが甘い考えであると知った。
人間がレムゥドを恐れているのは偏見などではないのかもしれない。
でも架け橋になる事を諦めたわけじゃない。
ただレムゥドと人を繋げるだけでは駄目なのだ。
繋げて、結ばれる為の努力もしなくてはいけない。レムゥドに人の道徳や倫理観の欠如があるのなら教えて直せばいい。そうすれば些細な事だ。
「……悪い所があれば取り除けばいいんですよね。そうすれば良い所しか残らない」
アァリはペコに手を伸ばした。
今からするのは決意表明だ。あれくらいの事で折れそうになった自分への。
(ボクにだって、覚悟ぐらいある……!)
アァリは自分とペコの体を繋いだ。
レムゥドは言っていた。この異常は牛にとって有害な大地のエネルギーが蓄積されているせいだと。さっき飲ませた薬もその有害な大地のエネルギーを散らす為のものだ。
なら、その有害な大地のエネルギーを直接取り除いてしまうのが一番手っ取り早いのではないのか。
(——っ!)
動物の大地のエネルギーを探るのは初めてだが、地中を探っていたのとは訳が違った。臓器や筋肉、骨といった箇所、それぞれから多種多様な大地のエネルギーを感じる。中でも全身を巡る多量かつ流動的な大地のエネルギーが探索中の身としては目障りで仕方なかった。
(あった! これだ!)
輝いている大地のエネルギーの影にそれはあった。
見るからに有害で、体が拒むのが正常な反応だと疑いようもないどす黒いヘドロのような大地のエネルギー。
潤滑に動いていたはずの体内に紛れ込んだ異物。こいつがある限りこの体に平穏は訪れない。
(持ってくれよ、『8番目』ェ!)
勢いのままアァリはヘドロを手の平から吸い込んだ。
手に触れた瞬間、自分にかかる重力が大きくなったような気がした。上からの圧力で喉が絞まる。呼吸なんか必要ないはずなのに意識が朦朧とする。
だがアァリは気にせずに年季の入ったヘドロを取り込んでいく。どうせ最初から意地だけの勝負だ。体のダメージなど折り込み済みだし、ちょうどぶっ倒れるくらいいじめたいと思っていた所だ。
ふと、アァリはペコの目を見た。
そして、あの部屋で重なった視線を思い出した。
かたや動物。かたや土人形。
しかし大差なんてない。どんな命も人の命と同じように向き合う。それで正しいはずだ。
(ボクが助けるんだ……! ボクのこの手で……!)
結局、自分は何が引っかかっていたのか。
真っ先に何をレムゥドに言わなきゃいけないのか。
難しいことばかり考えていて、大事なことがうやむやにしていた。
それが今やっとわかった。
『命を粗末にするなぁぁあああ!』
そんな誰かに教わるまでもない決め事を破っていたのが受け入れられなかった。
食事の前に手を合わせるのは何の為なのか話したはずなのに伝わっていなかった。
信頼していた人があんな事をしていたのが認められなかった。
だけどもう大丈夫だ。
レムゥドの良い所も悪い所も理想も現実もすべて受け入れる。それが信用すると約束した者の責務だ。
ペコに蓄積された有害な大地のエネルギーをすべて飲み込んだ瞬間、糸が切れたようにアァリはその場に崩れ落ちた。
「アァリ⁉︎ あんた何したの⁉︎」
何が起きたのかわからず、呆然としていたミリアは倒れたアァリの体を抱きかかえた。アァリの体はとても少女のものとは思えないほど重く、抱える腕に自然と力が入る。体にまったく力が入っていないようだが、それだけでここまで重く感じるものなのか。
「……ペコは?」
「眠ってるわ。今まで見たことないくらいリラックスしてる。してるけど……」
ペコが元気になったというのにミリアの顔は晴れない。アァリは一瞬、怒られるかもと心配になったが、ミリアにその気はないようだった。
「ボクは……大丈夫、ですから。でも、すみま……せん。今日、はお手伝い……できそうにないです」
「バカ! そんな心配してないわよ! ペコが治っても代わりにあんたがこんな事になっちゃたら意味ないでしょ!」
——大丈夫だって言ってるのになぁ。
さすがに口には出さない。こんな顔をしている彼女に言える訳がない。
「ごめん、なさい」
「どうせ反省なんかしてないんでしょこのバカ!」
「……」
「あんたのそれは死ぬまで治らないわね。……で、ほんとのほんとに大丈夫なの?」
「休めば、たぶん……。どこか、目立たない場所……そこに、置いといてくれれば——」
「できるわけないでしょ!」
ミリアは一気にアァリを持ち上げた。両腕だけでアァリを支えるミリアはとても頼もしかった。
「とりあえず私のベットで休んで。……あと、あんたはちょっとくらい自分の功績に自惚れなさい」
「……はい。じゃあ厚かましく、……報酬を要求します」
、、、
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫ですって、もう何度目ですかその質問?」
あれからアァリは半日程眠り、目を覚ました。まだ体にだるさは残っていたが、歩けるくらいには回復したので屋敷に戻ることにした。
森の入り口まで見送りに来たミリアは相変わらず心配そうな顔をしていた。ペコも治り、アァリも元気になったのだから、ハッピーエンドに相応しい顔してほしいのだが。
「いや、やっぱり無理があると思うんだけど……」
「行けますよ。休憩しながらゆっくり行きますって」
「そう、ならもう知らないわよ」
根負けしたようにミリアは腕を組んでため息をついた。やっぱりこちらの方が彼女らしくて落ち着く。
「じゃあそろそろ行きますね」
「気をつけなさいよ」
森の奥へとアァリが歩き始めると、『あっ』とミリアの声が聞こえてきた。
アァリは体を捩ってミリアの方を向いた。
「アァリ、最後に訊きたいんだけどあんたも魔法が使えるの?」
アァリはその質問を聞くと、生意気そうな笑みを浮かべた。
「そりゃあ、魔法使いの弟子ですから」
、、、
『ただいま戻りました!』
屋敷に戻るとレムゥドはリビングにいた。
アァリが部屋に入るなり、レムゥドは座っていた椅子から立ち上がった。作成者だけあってアァリの異変には一目で気付いたようだ。
『どうしたんだいアァリ、これは……』
『今日は早い時間から出て、こんな時間まで出かけてたのでちょっと疲れたんです』
『そんなことでこんな風にはならないよ。アァリ、一体何を——』
『あっ、そうそう! レムゥドの作った薬すごかったですよ! あっという間に具合良くなって——』
捲し立てていたアァリはレムゥドに引き寄せられた。彼の腕に囲われたアァリはもう逃げられない。
『……何ですか? 今日はえらく大胆ですね』
『どうしたんだアァリ、昨日から様子が変だよ?』
レムゥドはもちろん気付いていない。その原因が自分だという事に。
アァリは意地悪な笑みを浮かべた。ここで『あなたの非常識な行動のせい』だと言い放ったら彼はどんな顔をするんだろう。
『アァリ?』
『あっすみません。心配してくれてありがとうございます。でももう大丈夫なんです。もうボクの中でケリがついた事ですから』
『そうなの?』
レムゥドは何か腑に落ちない様子でアァリを見つめた。アァリがその視線に小さい頷きで応えるとレムゥドは『そっか』と呟き、アァリの頭をぐしゃっとなでた。
『もう済んだ事ならそれでいい。でも今度からは何か悩みがあるなら真っ先に私に言うんだ。私達の間に隠し事なんて何の意味もない。アァリが辛そうにしてると私も辛い』
レムゥドは純粋だ。言動のすべてに嘘一つない。マイペースで、自分の欲望に従順で、自慢する時はデリカシーの欠片もない。だから今の言葉だって何の躊躇いもなく受け入れられる。
アァリは一歩踏み込んで、自分の体をレムゥドへと押し付けた。
解決した今となっては悩んでいた事自体が馬鹿らしい。レムゥドが想像とは違う人だったからなんだというのだ。自分には他にすがれるものなんて何も無いのに。
『そういえば何を背負ってるの?』
『そうだ! 忘れてました!』
アァリは縄で体に括り付けた背中の布袋を床に降ろした。静かに降ろそうとして、その重みで転び掛けたがレムゥドがそれを支えた。
『じゃーん! 正真正銘の本物のコーヒー豆です!』
『本物?』
本物という響きに食いついたレムゥドはひょいっと布袋を持ち上げた。
『これが……』
『そうです。レムゥドの作った薬でペコが助かったのでそのお礼にって村の人から貰ったんです』
『人間から?』
『そうです! そのコーヒー豆はレムゥドと人が交流した証なんです! レムゥドはちゃんと人と繋がったんですよ!』
『私が人間と……?』
『はい。だから——』
さすがに一瞬、言葉に詰まる。自分のエゴを吐露するだけなのに声が震えた。
『土人形なんていらないんです……! レムゥドには必要ない、だからもう、作らないでください……!』
アァリが『人と魔法使いの中間』の危うい存在なら、あの部屋はそれを上回る危険物だ。このままでは必ずレムゥドと人との共存の障害になる。あの部屋は永遠に開かずの部屋であるべきだ。
『わかった、約束するよ』
『え?』
アァリはきょとんとレムゥドの顔を見つめた。
あまりにもあっさりと望んでいた答えが返ってきた事実が信じられない。
『いいん、ですか?』
『君にそんな顔で頼まれちゃあね』
『あ、いや……』
アァリは勇気を振り絞ることに夢中で、自分が今どんな顔しているかなんて忘れていた。どうやら同情されるほどいじらしい顔をしていたらしい。
『そんなつもりじゃ……』
『いいんだ。それが君にとって辛い事だったんだね。言ってくれてありがとう』
——ありがとう、か。
誰とも関わらずに生きてきたくせにそんな言葉は知っている。使うタイミングも完璧だ。
自分は無知なレムゥドに教えてあげる立場だと思っていた。しかしこれではまったくの逆じゃないか。
『——ははっ、あははは!』
『アァリ?』
『——はぁはぁ、すみません。なんか可笑しくて。ミリアさんにも言われたんですけどボクってほんとバカですね』
『アァリは賢いよ。しっかりしてる』
『慰めなくていいです事実ですから。賢いけどバカなんです。バカだからしっかりしようとしてるんです』
『?』
『聞き流してください。それであの、提案があるんですが』
なんだい? とレムゥドは首を傾げた。
『今日は……一緒に寝てもいいですか?』
、、、
レムゥドの部屋は入るどころか見るのも初めてだった。許可は出ているとはいえ、他人のテリトリーに入るのはやはり緊張する。
部屋に入った途端、レムゥドの匂いと森の匂いがした。部屋の中に満たされた神妙な空気は少し冷たく、吸い込むだけで清涼剤のように頭がスッキリとした。
いつの間にか寝巻きに着替えたレムゥドは大きなベットの中央に仰向けで横たわった。近くで見るとまるで切り倒された大木のようだった。
アァリもベットの上を四つん這いで這って、その横に添えるように寝そべった。
『レムゥド、寝返りうつ時は気をつけてくださいね』
『基本的にこの姿勢から動かないよ』
『じゃあもっと近寄ります』
アァリは目と鼻の先にレムゥド、という距離まで密着した。もう抱き枕代わりにしようかと思ったが、足の間に挟むのはさすがに恥ずかしいので、やめた。
灯りが消え、部屋の中に静寂が訪れた。
、、、
急にどうしたの?
それ訊きますか?
うん。
本当に素直すぎますね。眠る前なのであまり真剣に聞かないでください。
わかった。
その、ここ数日でいろいろありまして、距離感とか立ち位置とかがブレブレだったんです。だから基準点というか既成事実を作っちゃおうと思いまして。
難しいね。
自暴自棄ですよ。もう。
ヤケになっちゃいけないよ。それにしてもさっきのアァリの顔はアァリと初めて話した時のことを思い出したよ。
うぅ、恥ずい。やめてください寝れないじゃないですか。
ごめんごめん。今度、あの時みたいにアァリの話を聞かせてよ。ずっと楽しみにしてるんだから。
わかりました。約束します。最近、外に出ている事が多かったので二人の時間が少なくて寂しかったですよね。……レムゥド、そろそろ限界です。もう指一本動かないです……。
うん。おやすみ、アァリ。
おやすみなさい、レムゥド。
、、、
瞼が閉じきる前にアァリは窓の外を見て微笑んだ。
今日も月が綺麗だ。