表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷上のシヴァ  作者: 天上杏
Bonus Track 第六章 Butterfly 霧崎汐音
147/184

第14話 knock, knock

「あなたとジュンくんは全然ちがう。だってあなたはわたしと同じ。女の子だもの」

 影がわたしに触手を伸ばす。黒い根茎がしゅるしゅると足首に巻き付いた。

 微笑むシオリの背後に黒い靄もやが立ち込める。

 空気がしんと冷えていた。


 ここはリンクじゃない。

 ただ、リンクならいいのにとひたすらわたしは願っていた。

 まるで氷上にいるかのように肺の底から自分が凍っていくのが分かったから。

 このまま透明に。

 そして遠くへ。


 かすかな羽音が聞こえる。

 粉雪のような鱗粉がこぼれ落ちる、その壁を見上げた。


『氷の蝶』 六年三組 霧崎洵

 去年コンクールで優秀賞をもらって、しばらく県庁のホールに飾られていた絵だ。

 戻ってきて、今度は昇降口に飾られている。

 

 暗闇の中、蝶がじっとしている。

 青と水色がモザイク状に敷き詰められた羽根。あれが氷なのだろうか。

 細長い葉が、重みでしなっている。

 脱力しきって見えるから、


 ――これ死んでるの?

 わたしが訊くと、呆れた調子で

 ――死体なんか描くかよ。これは眠ってるんだ。


 わたしは驚いた。


 ――え、蝶って寝るの。

 ――寝るよ。


 こんこん、と洵は幾重にも塗り込めた夜空をノックする。


 でも、まだ自分が蝶になったって気付いてない。

 だから、夢の中では青虫のままかも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ