第54話 レンガの焼き方
なんか襲ってくる家畜だけを倒してたらいつの間にかダンジョンをクリアしていた俺たち。
他のダンジョンと違いモンスターの死体が残っていたのだが、クリアと同時に生き残ってた家畜共々消え去ってしまった。
と言う訳で手に入ったステータスがこちら。
まず俺。
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・何でも屋(ランク4)
筋力:☆☆☆
耐久:☆☆
速度:☆☆☆
魔力:☆☆☆
器用:☆☆
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お、バランス型だな。悪くない。
続いてケムシン。
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・王様の横に立ってるキャラ(ランク4)
筋力:☆☆
耐久:☆☆
速度:☆
魔力:☆☆☆☆☆
器用:☆☆☆
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ついにケムシンにも魔力特化ステ来た!
決死の魔女の威力が気になるな!
ちなみにシリルさんも悪くないのを引けたようでご機嫌だった。勝手に見たりはしてないので詳細は不明だが。
「ふー、木材も積み終わったっスね」
「満載やな」
荷車に廃材を山盛りにするのは大変だった。崩れ落ちないように縄でしばってある。荷車ひくのも結構重いだろうな。
「じゃあ帰るか」
「何気に大変やったな」
「ようやくレンガが焼けるっスね」
終わった感を出すケムシンとシリルさん。いや、ジョルデさん家まで運ぶのも大変だから。家に着くまでがお使いだから。
『荷車4杯分が必要なので、あと3往復必要ですよ』
あ、そうだった。
「おっしゃあ! 4回目終わったー!」
と言う訳で2日かけて廃村のダンジョン4回クリアしたぞ。ジョルデさん家には大量の木材が積みあがっている。結構な達成感。
「地獄やったな」
「もう飽き飽きっス」
俺とは対照的に2人は目が死んでいた。あのモンスターたち、怒ったり泣いたり命乞いしたりと無駄に迫真のリアクションをするからな。それを4周プラス重労働。気持ちは分かる。
「レンガの方も十分乾燥した。早速焼き上げるぞ」
「あ、分かりました」
「休み無いんか……」
「早い事はいい事っス」
俺たちはレンガを焼く準備を始めたのだった。
●レンガの作り方その7:焼き固める
ジョルデさん家には窯がいくつかあるが、今回使うのは穴窯という物らしい。なんというか、でかいかまくらみたいな形の窯だ。材料は雪じゃなくて土だが。
入口から入ると窯の中は小部屋。奥は階段状になっている。ここにレンガを並べて焼くのだそう。
「そんな詰めて置いたら熱が入りにくいからもっと離して。ちゃんと底も浮かして、台使って」
ジョン君に事細かに指示されながら俺たちはバケツリレー方式でレンガを収めていく。ジョルデさんの言う通り、干していたレンガはすっかり固まっていた。焼いたらもっと硬くなるらしい。
窯の奥にレンガを並べた後は薪を入り口側に積んでいく。この時点で俺たちは外に退避だ。出られなくなるからな。
「じゃあ入口塞いで」
でかい石のブロックを入り口に積んで蓋をする。薪を追加投入するための穴だけ残すように積んで、窯は密室と化した。
俺はふと薪を見た。窯の中のじゃない。窯の外にうず高く積まれたまま残った方である。
これ、全部燃やすの結構時間かかりそうじゃね?
「なあ、これどれくらい焼くのかかるんだ?」
「4日」
俺の質問にジョン君はあっけらかんと答えた。
ゴォォォォという音が窯から聞こえてくる。中で勢いよく薪が燃えていることを証明するかのように、窯の斜め上に開けられた小穴からは炎が噴き出していた。
ジョン君は薪の投入口と噴き出した炎を真剣に見比べている。俺たちはその後ろで薪を持って待機。
ちなみに窯の煙突からも炎が出ていた。窯から3mは高いその煙突からも噴き出すとかすごい火力だな。ちょっと怖いくらいだ。ジョン君は平然としているが。
「1本追加して」
「了解」
ジョン君の指示で俺は薪を投入。火加減が素人に分かるはずもないので基本的に指示待ちだ。
「燃えるの早いっスね」
「外もちょっと熱くなってきたしな」
「中って何℃くらいなんスかね?」
火を入れて1時間。現在夕方。ジョルデさんはジョン君に火の番を任せて別の仕事とやらに行った。
薪の投入はこまめに1本ずつなのでジョン君だけでもできる。が、それだと俺たちが置物と化してしまうので出来る範囲で積極的に参加だ。薪の投入以外出来る事無いけど。
「まだ全然だよ。ここから4日かけて少しずつ熱を上げていくから」
俺たちの雑談にジョン君が答えてくれた。教えてくれるならと堰をきった様に質問する俺とシリルさん。
「今何℃くらいっスか?」
「さあ?」
「最終的に何℃まで温度上がるんだ?」
「知らない。測った事無いし。陶器焼くより少し低いくらいの温度」
「なんで測った事無いんスか?」
「熱すぎて気温計壊れるから」
「じゃあどうやって温度確認するんだ?」
「火の勢いと色と、あとは薪の燃える速さとか外の熱さとか何日目かとか。どうしても知りたかったらアルミとか入れて溶けるかどうかである程度確認できるけど」
「なんで4日もかかるんスか? もっとバンバン薪入れたら早くならないっスか?」
「中の温度が偏らないようにするにはそれくらい掛かるんだよ。そうしないと熱すぎてガラスになる所と逆に生焼けになる所が出てくるんだ。あと表面だけ焼けるとヒビ入ったりする」
「「へ~」」
ただ焼けばいいってものでも無いんだな。職人の仕事ってやつか。ジョン君まだ9歳くらいなのに。
「ジョン君は何歳ごろから働いてるんだ?」
「5歳から手伝ってる。見るだけならもっと前から」
早っ!
本編では具体的な数値は言いませんでしたが、4日かけて温度を徐々に上げて行って、最終的に約1100℃でレンガを焼くという設定です。
900~1000℃だと赤っぽいレンガが、それ以上だと黒っぽいレンガが出来るらしいです(材料にもよる)。
また熱すぎるとレンガ表面に付着した灰がガラス化して歪な結晶が育ってしまうのでガラス化よりは低い温度にとどめる必要があります。
参考
アルミ溶解 : 660℃
レンガ :1000℃前後
陶器(本焼き):1200℃(表面ガラス化)
ガラス :1300℃
鉄溶解 :1540℃




