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第48話 渓流のダンジョン


 俺たちは割れたレンガを回収して町を出た。現在町の外にあるというジョルデさんの家に移動中。


 町の外は道がデコボコで、荷車を引くのも一苦労である。こういう時は筋力重視のステータスで良かったとしみじみ思う。


 例の2人組は特に見かけなかった。俺たちを探してどこかに行ったのだろう。ちなみにクソ神父は教会に帰った。



「ダンジョンで手に入る物の事を、俺たちは神の恵みって呼んでるんだ」


 俺の疑問に答えてくれたのはジョン君。


「いつもは必要な物は全部自分たちで採ってくるけどさ、時々神父様の許しが出て、こうして転生者にダンジョンから採ってきてもらうんだよ」


 神が作ったダンジョンから得られる恵み、ゆえに神の恵みか。それが教会からのクエストという形でもたらされると言う訳だ。


「町の人がダンジョンに行ったりしないんスか?」

「転生者じゃなきゃ無理無理」


 そりゃそうだ。普通に危ないだろう。文字通り命がいくつあっても足りないような場所だからな。


「神の恵みはどれも質が良いしいくら採っても無くならないんだ。でもそれに頼りっきりじゃ駄目だって教会が管理してるんだよ」


 へえ、そうなのか。便利でいいと思うけどなあ。



 ゴトゴト。俺たちは川に沿って歩いて行く。川は森の中へと続いていた。


「着いたよ。あれが俺んちだ」


 ジョン君が森の縁を指さす。そこには年季の入った家があった。庭には作業場っぽいスペースもある。そして目立つサイズのかまどがいくつか。あれでレンガや鉄を作るのだろう。


「結構遠かったな」

「薪とか大量に使うやろうし、森の近くが都合が良いんやろな」

「なるほどっス」


 そうして家に到着。俺たちはジョルデさんの指示でレンガを庭におろしていく。


 ちらっ、横目でかまどを見る俺。普通に気になる。なんか縦長のとかかまくらみたいのとか団子みたいなのとかいろんな形のがあるぞ。


「かまど? っていくつかあるんだな」

「ああ、(かま)の事? 何作るかで使い分けるんだよ」

「レンガと鉄意外も作るのか?」

「あたりまえだろ。陶器も木炭も、なんならガラスだって作れるよ」

「あ、そうなんだ」


 町の分全部この家で作ってるのか? 大変そうだな。



 そんなこんなで荷車のレンガを庭に積んだ俺たち。


 ふうっ、一仕事終えたぜ。とか思ってたらジョルデさんの一言。


「では今から仕事に入ってもらう」


 まだ始まってすらいなかったのか……。




●レンガの作り方その1:素材集め




「これが他に必要な物のリストだ」


 そう言ってジョルデさんが紙を渡してきた。俺たちは紙を覗き込む。



=======================

粘土

 必要量:大バケツ4杯分

 場所 :渓流のダンジョン

 難易度 :☆☆☆☆


(まき)

 必要量:荷車満載を4つ分

 場所 :廃村のダンジョン

 難易度 :☆☆☆☆

 ※廃屋を解体して薪に使う

=======================



「材料シンプルっスね」

「石畳用ならこれで十分だ」

「この世界の紙って植物紙なんやな」

「紙は紙だろう?」

「ダンジョンの事詳しいんですか?」

「知らん。場所と難度は神父様が書いた物だ」


 口早に答えていくジョルデさん。ぶっきらぼうと言うか何というか、淡泊な人だなあ。


「先に粘土から採ってきてもらうが……着いて来い。少し教えてやる」

「あ、はい」


 俺たちは普段粘土を採っているという川へ移動。粘土の見分け方や採れる場所について軽く説明を受け、さっそく渓流のダンジョンへと向かったのだった。




~渓流のダンジョン~


区分 :ノーマル

タイプ:渓流

人数 :4名以下

難易度:☆☆☆☆




 と言う訳でここは森の奥。そこに流れている川とその周辺がダンジョン領域となっていた。川に削られたからか結構高低差のある土地だ。


「よっこいしょ」


 担いできた容器を地面に置く。棒の両側から馬鹿でかい木製のバケツがぶら下がったようなやつだ。それが2組。これに目一杯詰め込んで帰ればいいらしい。


「じゃあとっとと掘って帰るっスか」

「俺とシリルさんは護衛で。その間にケムシン頼む」

「了解や!」


 ケムシンはクワを召喚し、さっそく採取を始めたのだった。




~よくわかる粘土講座~


 質のいい粘土というのは地面深くに埋まっている事が多いらしい。粘土層と呼ばれる地層だ。そして川の周辺で地層がむき出しになっている所があれば、そこから直接掘り出す事が出来るのだそうだ。


 粘土かどうかを見分ける方法は簡単。灰色の層の内、触ってみて粒が感じられないほど細かくて粘りがあればそれは粘土らしい。


 他にも細々とした注意点は聞かされたが、おおむねそんな感じだった。




「せいっ!」


 川岸の段差が大きい部分にクワを振るうケムシン。みるみる粘土が掘られていく。これならすぐに終わりそうだな。


 だがここはれっきとしたダンジョン。当然、敵が存在する。



『敵を発見!』


 マオが俺の視界に小さい赤枠を表示した。遠くて小さいそいつの拡大映像が一緒に脳内に表示される。


「敵だ! ……敵か?」

「敵っスか!? え、どれ?」

「あいつ。あそこのちっさいの」


 そいつは川向かいの石の上に座っていた。鮮やかな緑色。手の平サイズ。そして膨らむ喉。


(マオ、あれほんとに敵か? ただの野生動物じゃなくて?)

『ダンジョンに野生動物は居ません。間違いなく敵モンスターです』




「ゲコ」


 そこには1匹のカエルが居た。



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