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第47話 神の恵み

 少年を救出したはずが誘拐疑惑をかけられた俺達。最初は一触即発の雰囲気だったが、事情を聞いたクソ神父と親父さんはあっさりとそれを信じた。


「この馬鹿息子!」


 親父さんの拳骨が少年の脳天に直撃した。ゴン! と決して小さくない音が鳴る。


 少年の名前はジョン君、親父さんの名前はジョルデさんだそうだ。クソ神父によるとこの親子、町で唯一の窯業(ようぎょう)を営んでいる家系らしい。


 つまり、町のレンガはすべてこの親子が作っている。ついでに鍛冶師も兼業。


「転生者なんぞに構う暇があったら薪の1つでも割った方がはるかにマシだ。燃料になるだけまだ価値がある」


「だ、だってあいつらのせいで今まで広げてきた石畳が!」


 ジョン君が転生者を目の敵にしていた理由とはそう、自分達が作った石畳が破壊されたことが許せなかったから。だから俺達に石を投げて来たと言う訳である。


 せっかく作ったものが壊されたんだもんな。気持ちは分かる。


「形あるものはいつか壊れる。職人なら何度でも作ってやるという気概くらい持て」


「でも!」


「言い訳ばかりしてると転生者になっちまうぞ」


「それはヤダ!」


「だったら文句言わず働け。働かない役立たずは転生者だけで十分だ」


「う、わかった……」


 転生者ってそんな風に見なされてるのか……。さっきから流れ弾が飛んできて耳が痛い。


「ではジョルデ殿の方は話が済んだという事で、今度は仕事の話をしますぞ」


「仕事?」


「左様。お主らには広場を元に戻すよう言いましたな。ですがそのためにはレンガが足りないのですぞ」


「って事は……」


「その通り。だからジョルデ殿に来ていただいたのですぞ。素人だけでレンガを作るのは心配しかありませぬゆえ」


 そりゃそうだ。というかレンガの作り方なんて知らないし。



(マオは知ってるか?)


『申し訳ありません。私の知識はケロンチョ様が生前持っていた範囲までですので……』


 あ、そうなんだ。



「ジョルデ殿の指導の下必要な量のレンガを作り、そして石畳を修復するのですぞ。それが出来れば剣を1人当たり10本提供いたしますぞ」


 今までなら1回の仕事でもらえるのは1本ずつ。だが今回の仕事は時間がかかるという事なのだろう。クソ神父は破格の報酬を提示したのだった。







 ドドドドド……


 ドドドドドドドドド……!


 ドドドドドドドドドドドドドドド!


 土煙を巻き上げながら走る人影。



「シリルさんストーップ! こっちこっち!」


 町中を爆速移動していたシリルさんに手を振る。どうやら俺達を探して走り回っていたようだ。


「ここに居たんスね」


「無事で良かったです。あの2人組は?」


「もう撒いたっスよ。でもあんま離れてないんですぐ見つかるかもっス」


 狭い町だもんな。注意しながら移動しないとばったり出くわしかねない。


「クソ神父見つかったんスね。そっちのおっさんは? てかどういう状況っスか?」


 ジョルデさんとジョン君を見て困惑するシリルさん。



 かくかくしかじか。俺はレンガ作りについて説明した。




「なるほど、そういうクエストっスね」


「クエスト?」


「達成したら報酬が貰えるイベントっス。掃除もその1つっスよ?」


「初耳なんだけど?」


 俺はクソ神父を見る。


「今まで聞かれなかったですぞ?」


 存在を知らないのに説明を求める訳ないだろ!


「つまり鍛冶師のジョルデさんがレンガ作りに忙しいから、それを手伝う事で剣をまた作ってもらえるようになるというストーリーっスね」


 メタを読むシリルさん。まるでゲームをしているようだ。というかこの世界って結局ゲームと現実どっちなんだ?


 ……現実、だと思うけどなぁ。



 とか考えてたら、


「何を言っているのですかな? ジョルデ殿は剣など作っておりませぬぞ?」


「え?」


「死ぬたびに剣を失うお主らのために作り続ける程ジョルデ殿は暇じゃ無いのですぞ。そもそも鉄がもったいないのですぞ」


「じゃ、じゃあ今まで貰った剣は誰が作ってたんスか?」


「神ですぞ?」


 神……!?


「え、あの剣って神剣だったんか!?」


「神が与えたもうた至って普通のなまくらですぞ?」


「なまくらなのかよ!」


「神の恵みに心から感謝するのですぞ?」


 したくねー!


 っていうかそんなどこからともなく出てくる代物だったかよ! 余計ゲーム感出てきたじゃねーか!



 もうだめだ。これ以上クソ神父と話してたら精神が削れる。仕事の話の方がよっぽどマシだ。


「えっと、ジョルデさん? レンガ作りって何をするんですか?」


「……まずは材料の用意だ。割れたレンガは砕いて再利用する。それから粘土、その他少量。それに焼くための燃料。これらを集める所から始める」


 レンガってそんな単純な材料で作れるのか。


「ジョルデ殿、今回は転生者の不祥事に対する弁償という事で、神の恵みを使用する事を許可しますぞ」


「了解した」


 神の恵み? どういう意味だ? 剣の事か?


 と思ってたら、ジョルデさんの方から説明してくれた。


「普段は川沿いの粘土を使っているが、今回はお前たちに別の場所から粘土を取ってきてもらう。俺では取ってこれない場所だ」


 その場所って……


「お前達には、ダンジョンに潜ってもらう」


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