第43話 出発!
「なあケロンチョ、お前リーダー辞めろよ」
「……え?」
転生前夜のNo.2であるガクレンにいきなりそう言われ、ケロンチョは頭が真っ白になった。
「な、なに言ってるんですか白井さん。どうして……」
「いや、ね。たしかにあんたは最古参だし経験もスキルも豊富だけどさ、だからっていつまでもリーダーの座に居座られると後続が育たないって話だよ」
ガクレンは悪びれずにそう言った。彼の後ろには他のパーティーメンバー。皆ガクレンの物言いに口を挟もうとはしない。
「大体あんた、最近はずっと自分のボスばっか狙わせてただろ? パーティーを私物化するのは良くないと思うんだよ。な、皆もそう思うだろ?」
「そうそう」
「こき使われるこっちの身にもなれってんだ」
「あんたのボスはもう倒してスキルも手に入ったし、これ以上手伝う意味は俺らにはねーんだわ」
まさに針の筵。ケロンチョをかばう者は居なかった。
「そんな……」
「今回のイベントであんたの痴態も晒されたしな。あんたがリーダーだと外聞も悪いんだよ。まあさすが古参なだけあってスキルは強いの持ってるから、一戦闘員として手伝ってくれるってんなら籍は残してやってもいいがな」
それはケロンチョには、見返りのない奉仕の要求にしか聞こえなかった。
「なんなんですかさっきから! 私はあなたたちにもちゃんと利益が出るようやって来たでしょう!」
「あんたの意見なんて聞いてないんだよ。お前以外の全員が納得してるんだ。」
ガクレンは大げさにため息をついた。
「っていうか人を前世の名前で呼ぶのやめろよ、マジで。性格悪いにもほどがあるだろ」
「……くっ!」
「文句なんか聞きたくねーし、嫌なら出てってくれもいいんだぞ? そんでお前に協力してくれる奴でも探せば? メリットも無しにボス討伐に協力してくれる奇特な奴が居ると思うならな。あ、転生禁止だったっけ? ご愁傷様」
イベントが終了して半日立たぬ内に、ケロンチョは居場所を失ったのだった。
「どう生きるかは自分で決めろ、か」
「いきなりどうしたん?」
俺の独り言にケムシンが反応した。ちょうどいいし話すか。
「俺さ、本当は転生のモチベなんて無かったんだ。覚えてるか? 初めて会った時の事」
「森で泣いとった時やな」
今となっては懐かしいな。でも俺には大切な思い出だ。
「あれさ、痴漢されて泣いてたんじゃなくて、転生することに希望が無かったから泣いてたんだよ。転生しても中身が同じなら、また同じような人生を歩むだけなんじゃないかってな」
俺が今までダンジョンに挑んで来たのは、ケムシンが居たから。転生したくてもできなかったケムシンの力になりたくて俺は戦ってきた。
でも本当にそれだけでいいのか。
どう生きるか、どんな人生を歩むかは自分で決めればいい。そんな単純な答えを俺は本当は知っていたんだ。
「どう生きるか自分で決めろなんてマオに説教しておいて、その実俺がそれをしてなかったって訳だ」
『あれは見事なブーメランでしたね』
「ちょっ! ひどいな!」
「あはははは。言われとるやん、ミョンチー」
茶化してくる二人。
『何のために生まれたかなんて関係ねえ! 他人が決めた生き方なんかに従うな! どう生きるかはお前が決めろよ!』
「ストップ! ストーップ! 俺の声まで再現しなくていいから! 止めて! マオ!」
ケロンチョの転生が無効になり、マオはダンジョンで復活した。ダンジョンはアップデートされていたらしい。抜け出す事は出来なくなっていた。
今俺たちは町だがマオと話せている。その方法がこれ。
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・多才な奏者(ランク5)
音系能力詰め合わせ。
物理法則から乖離するほど消費魔力上昇。
・心のホットライン(ランク1)
対象1体を登録しテレパシーで通話できる。
対象と5㎞以上離れていないと繋がらない。
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心のホットラインでマオと通信し、多彩な奏者でマオの声を出力しているのだ。
多彩な奏者の制御はマオにお任せだ。テレパシーが言葉でなく思念のやり取りだったから、そしてマオだったから出来た芸当だ。さすがは思考系チート。
閑話休題。
「俺は、生まれ変わりたい。他人に委縮して、他人に流されて生きて来た今までの俺じゃない自分に。自分で人生を切り開いて行ける自分に」
そしたら、来世はもう少しましな人生になるのかな。
「いい目標やん。手伝うで」
『ミョンチー様ならきっと達成できます』
「二人とも……! ありがとな!」
イベントが終わり、マオの分も合わせて5つのスキルが手に入った。
今までの縛りプレイが嘘のように戦術の幅が広がったな。これで転生にまた一歩近づいた。
次はまたノーマルダンジョンの攻略だ。ランク3まで済んでるから次はランク4だな。
辛い事もあるだろう。苦しい事もあるだろう。でも問題ない。3人でなら、きっと乗り越えられる。
「さあ、行こうか。次のダンジョンへ!」
「了解や!」
『サポートは任せてください』
気持ちの良い風を背に感じながら、俺たちは出発した。
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名前 ミョンチー
ステータスロット
・どう見てもE(ランク3)
筋力:☆☆☆
耐久:☆
速度:☆☆☆
魔力:☆
器用:☆☆☆
スキルロット
・多才な奏者(ランク5)
音系能力詰め合わせ。
物理法則から乖離するほど消費魔力上昇。
・心のホットライン(ランク1)
対象一体を登録しテレパシーで通話できる。
対象と5㎞以上離れていないと繋がらない。
余剰ステータス
・不器用貧乏(ランク2)
・窮地のネズミ(ランク1)
余剰スキル
・慈悲深い処刑人(ランク4)
大斧を1つ召喚し扱う事が出来る。
刃が首に命中した場合威力が倍になる。
この斧による攻撃は痛みを与えない。
・嫉妬深い射手(ランク3)
闇魔法「ダークバレット」を放つ事が出来る。
・壇上の校長先生(ランク2)
声を聞いた者に睡眠と貧血を付与する。
・貧乏性な木こり(ランク2)
片手斧を1つ召喚し扱う事が出来る。
投げた斧がブーメランのように戻ってくる。
・独りよがりなパティシエ(ランク1)
対象1体の口の中に任意のケーキを召喚する。
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名前 ケムシン
ステータスロット
・バランス重視(ランク3)
筋力:☆☆
耐久:☆☆
速度:☆☆☆
魔力:☆☆
器用:☆☆
スキルロット
・決死の魔女(ランク4)
全魔力を一点に集めて放つ事が出来る。
・歩く棺桶(ランク4)
致命傷を受けた場合、全身鎧を装着する。
この鎧は追加のダメージや効果を無効化する。
余剰ステータス
・魔法剣士見習い(ランク2)
余剰スキル
・不動のスナイパー(ランク3)
魔力の弾丸で狙撃できる。
狙いをつけている間移動する事が出来なくなる。
器用が☆5になる。
・怒りの農民(ランク2)
クワを1つ召喚し扱う事が出来る。
土属性相手に威力特攻。
・バナナを盗られた猿(ランク2)
器用が☆1になる。
それ以外のステータスが1上がる。
・臨時聖剣(ランク2)
自分の武器に聖属性を付与できる。
・猫の目(ランク1)
動体視力が上がる。
暗闇でも目が見える。
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第一章 だから俺は生まれ変わりたいと思った 完




