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転生特典に雷魔法チートを要求したら最凶最悪のボスが誕生してしまった(詐欺)  作者: 源平氏
第一章 だから俺は生まれ変わりたいと思った
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第40話 マオ②


「あの……何してるんですか?」


 町に潜入し敵勢力の動向を確認していた私は、不覚にも敵の一人に見つかってしまいました。


 最悪の場合顔を合わせただけで襲い掛かってくる可能性も考えていましたが、そうはなりませんでした。とりあえず安堵。


 少しやり取りをして判明したのですが、その人物は私を仲間だと思ったようです。情報収集の絶好の機会でした。


「あの、とりあえず一緒に来てもらえませんか? 今イベントっていうのやってて、詳しい説明は後でしますけど、とりあえず参加しといた方があなたにとっても良いと思うんで」

「……了解」


 私は仲間のふりをしてその人物に同行することにしました。


 その人物は、名をミョンチーといいました。





 それからはいろいろなことがありました。


 敵の集会に紛れ込んだり、偵察作戦なるものに参加することになったり、ミョンチーの友人のケムシンと合流したり。


 敵集団の中に以前森で抹殺した人物を何人も見かけたときはちょっと怖くなりました。バレたら一斉に襲い掛かってくるかもしれません。私はフードを深くかぶりました。


 しかし私の不安とは裏腹に、ミョンチーとケムシンは私に非常に親切にしてくれました。偵察作戦の傍らこの世界について教わったことで、私の疑問はみるみる解消されていきました。


 転生者の事、ダンジョンの事、スキルやステータスの事、イベントの事。


 そして、私は自分がボスと呼ばれる存在であることを知りました。




 夜が明けた頃には、私は知りたかった事を全て知る事が出来ました。情報収集は完了。潜入ももはや必要ありません。後は身を隠せば私の安全は確保されます。


 これ以上潜入を続けていても、正体がバレるリスクしかありません。



 それなのに



「マオさん、おかげで偵察がすごいはかどりました。ありがとうございます!」

「いえ、私はそんな……」



 私はどうしてこんなに



「あーっ!」

「どうかされましたか?」

「町めっちゃ遠い!」


 

 非合理的なことをしてしまったのでしょう。



「サモン」



 これはきっとバグです。主様が居ないという異常事態が引き起こしたバグ。



「これで移動すれば合流時間に間に合います。さあ、行きましょう。ミョンチー様」

「あ、はい」



 私はミョンチー様への同行を続行しました。





 その後私たちはボス3体を討伐。何度か危ない瞬間はありましたが、私は一度も死なずにイベントを終える事が出来ました。そして正体がおおやけになる事もなく。


 私は達成感を感じていました。イベントを無事乗り切った事にではありません。誰かの役に立てたという達成感。


 いえ、誰かではありませんね。ミョンチー様にです。私はきっと、ミョンチー様を主様の代わりにしていたのでしょう。


 そうすることで自分の存在意義を満たせた気になっていたのです。




 ですが、このままという訳には行きません。


 システムのルールが元に戻ったのです。イベントという猶予時間は終わってしまいました。


 主様は姿を変え、今もこの世界に囚われています。そう、私が最初に抹殺した人物。今の名が私のダンジョンの対象者名と一致していることも確認しました。




「俺たちのパーティーに入りませんか?」


 ミョンチー様とケムシン様が私を仲間に誘ってくださいました。私の正体を打ち明けなければならない時が来たのです。


「囲え! 絶対に逃がすな!」

「もう一度ガチャを引くぞー!」

「ボーナスステージだ!」


 転生者たちが攻めてきました。やはりミョンチー様のボス戦でバレていましたか。


 気づいていないふりをして私を泳がし、イベント終了と同時に討伐する。想定通りのやり口です。


 まあいいです。手間が省けました。あとは火ぶたを切るだけ。明確な敵対行動をとって、私が本当にボスであると彼らに確信させてあげましょう。



 ついでに、二人が私の仲間でないという証明もかねて。


「あなたたちは私の敵です」


 私はミョンチー様とケムシン様を殺しました。











「ぷはぁっ!」

「痛ってえ!」


 俺とケムシンは同時に教会で復活した。教会の外からは戦闘音。マオが戦ってるんだ。


 あのバカ……!


「一体何が起こっとるんや!?」

「急いで戻るぞ! 早くしないと手遅れになる!」

「どういうことや?」


 マオの気持ちは分かる。分かってしまった。


「あいつわざと負ける気だ! 自分の主人を転生させるために!」


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