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転生特典に雷魔法チートを要求したら最凶最悪のボスが誕生してしまった(詐欺)  作者: 源平氏
第一章 だから俺は生まれ変わりたいと思った
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第39話 マオ(前編)


 気が付いた時、私は森の中に1人で立っていました。


 私は『孤独な軍師』。主様をサポートするために生み出されたスキルです。主様の内側から頭脳労働を支える事が私の使命。のはず。


 はい、そのはずです。主様の記憶を確認したので間違いありません。軍勢チートを使いこなすためのチートとして、主様は確かに私の存在を神に要求しました。


 にもかかわらず私は今1人。この体は主様の物であるにもかかわらず、主様の精神が宿っていません。混乱です。


「……体は問題なく動きますね」


 手をにぎにぎ。私に内蔵されている解析機能を使い、抜け殻となったこの体を確認します。怪我無し、病気無し、異常無し。ステータスも問題無し。


「これからどうしましょう……」


 私は主様の命令を達成するための存在です。その主様が居ないなら、私に存在する意味はあるのでしょうか。


「私は何のために生きていけば良いのでしょう……」


 教えてくれる人は居ませんでした。



 というかここはどこでしょう? 人は居ないのでしょうか?


 と思っていたら、



「あ! 人居た! 助かったぁ!」


 さっそく人間に遭遇しました。知らない人物です。


「良かったー。気が付いたらこんな所にいるしチート使えないしこんな体になってるし。助けて下さ……え!?」


 私とその人物の目が合います。その人物は私の顔を見たとたん狼狽し始めました。



 突如、私の中に猛烈な殺意が沸き上がりました。



 全てに優先して目の前の人物を殺せという謎の指令がどこからか送られてきます。上位権限を持つその指令に逆らえず、私は使い魔の軍勢を召喚しました。


 一瞬で肉塊となる人物。殺害と同時に殺意は収まりました。驚きで頭が真っ白です。


「今のは一体……」


 これが、私の誕生の顛末でした。






 3か月が経ちました。私はまだ森の中です。


 出られないのです。森から。


 周辺一帯を囲うように見えない壁があり、外に行こうとしても阻まれてしまいます。使い魔も同様。


 幸いこの体は食事などが必要無いらしく、飢えて死ぬことはありませんでした。原理は謎です。


 ですが分かった事もありました。自分を解析し、この地を解析し、たまに襲い来る謎の敵を解析した結果がこちら。



・敵は同時に7人まで森に入る事が出来る

・殺したはずの敵が生き返っている

・この森は結界のようなものに覆われている



 3番目が重要です。ここでいう結界とは、範囲内にルールや効果を付与するというものです。


 この森には様々なルールが敷かれ、ある種のシステムが構築されていました。私や敵もそのシステムの一部です。



 私と敵とで決定的に違うのは適用されるルール。私が森を出られないのは、私に出入り不可というルールが与えられていたからなのです。


 システムの中枢は森で見つけた謎の祭壇。破壊は出来ませんでした。


 何とかシステムに介入出来ないか、現在解析を進めている最中です。





 さらに3か月経過。遅々として進んでいなかったシステムの解析は、この日一気に進展しました。


 何者かがルールを書き換えたのです。


 森の外から送られてきた指令によりルールが変更されました。その中には森の出入りに関するものも。


 具体的には、森に入ってくる敵の人数が変更されました。最大7人だったのが無制限へ。


 ルールが書き換えられる様子を観測したことで私はシステムを把握。そのままルール変更に介入しハッキングすることに成功しました。


「脱出!」


 私は何の抵抗も無く見えない壁を通り抜ける事が出来ました。目標達成です。




 目先の目標を達成し、私の眼前には広い平原が広がっていました。道は無し。


「……これからどうしましょう」


 主様無しにどう生きていけば良いのか分かりません。


 そもそもこの世界がどんな世界なのかも分かりません。


「まずは情報収集ですね」


 敵がやってくる方向は毎回同じ。きっとその方向に何かあるはずです。というかそれ以外にあてがありません。


 私は情報を求めて歩き出しました。





 町を発見。そこには2種類の人間がいました。システムに属する者と属さない者です。属する者は敵の一員ですね。属さない人たちは、なんというか、普通の住民といった雰囲気でした。


 敵を目の当たりにしても、殺意は沸き上がりませんでした。


 その敵達が教会から頻繁に出てきます。顔を合わせたら襲ってくる可能性があるためこっそり観測。敵が何をしているのかはついに判明せぬまま夜になりました。



「あの……、何してるんですか?」


 そして私は、ミョンチー様と出会いました。


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