23:「非日常」
普段からよく想像することがある。
例えばの話だけど。
本来なら廊下につながるはずの部屋の扉を開けたら、なぜか外に繋がっていたとか。
トンネルを抜けると本当に別世界に行ったとか。
空から女の子が降ってきたとか。
とても非現実的で、本の中にしか存在しないような、そういう類のもの。
別に日常から無理して離れたいわけじゃないんだけれど。
それでもなんとなく、想像してしまうのだ。
ぼくをどこか知らないところへ連れて行ってくれるもの。
ぼくの意思とは関係なく、いきなり巻き込まれる。そんな夢のような物語を。
そうそう都合よく現れるものじゃないのはぼくだってもうわかっている。
子供が信じているサンタクロースを実は父親が演じているように、現実というのはそうそう希望通りにいかない。
悲しいけれど、毎年誕生日を迎えるたびに冷たい現実を知っていく。
妄想っていうのは決して現実では起こらないから、妄想なんだ。
だから、もしそんな奇跡みたいな出来事が本当に目の前に現れたのなら、ぼくは諸手を挙げて歓迎するべきなんだろう。
平凡な人生には起こらない、非現実的な、非日常を。
でも、扉を開けたら幽霊が首を吊っているなんて想像もしていなかった。
たまにはこんな結末があってもいい。
期待していたようなものじゃなかったけれど、今はこの非日常を大事にしよう。
さて、来月から新しい学校生活の始まりだ。今度は幽霊じゃない友達も作らなくちゃ。
明日は何をしよう。この騒がしい住人達と触れ合うのもいいかもしれない。
でもまぁとりあえずは、裏の物置にこの首を吊る目的でしか使わないような荒縄を、片付けてこよう。




