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冬馬君の夏休み  作者: だかずお
12/50

キャンプから帰る日の巻




『キャンプから帰る日の巻』



陽の光がテントの中に差し込んできた。

昨日の真っ暗な景色からは嘘のような明るさだ。


まだ横にいる大喜も慎司も寝ている


冬馬君は清香達がまだ居るのか心配になり確認の為、勢いよく外にでた。


向こうのテントはちゃんとあった。

ホッとする冬馬君

まだかなりはやい時間のよう、清香達が帰ってしまうんじゃないかと気になっていて、はやく起きたのだろう。

誰も外にいないみたいだ、みんなはまだ寝ている。

外には少し霧がかっていた。


冬馬君は清香が起きてこないかなと少し期待しながら外にいる事にした。


一体今は何時なんだろう?


時計を見ると6時


冬馬君は少し散歩に行こうと決め、川沿いを上流に向かってひとり歩き始める


セミはこんな朝からもう元気に鳴いているんだなぁ


気がつけば、歩きながら清香の事を考えていた。

冬馬君にとってこんな気持ちになったのは人生初めてだったのだ。


こんなに胸がドキドキしてこの子が存在するだけでこの場所が天国の様に感じられるそんな気持ちである。


ハァー、何故だかため息をつく


苦しさではないのだが何かため息をつかせるそんなものが恋にはある


冬馬君は清香が今一緒にこんな身近に居るのが嬉しくてたまらなかったのだが今日の午後にはもう離れ離れ、実際本当にもう次は会えるか分からない


そのへんが不安だった

昨日、今日限りの縁だったのかも

それが何より恐かった


慎司や大喜ならいつでもまた会うのは決まりきってるだが清香達とは実際の所もう会わないかも、と言うより会えないかもそれが心配だったのだ。


恋する者の淡い切なさ。


みんなのテントが見えなくなった辺りで冬馬君は一人川辺に座って川の流れをボケーッと見ていた。


ひとはどうして恋に落ちるんだろうか?

そんなとりとめのない事を考え、フーッまた一つため息をつく。

なんだか嬉しいんだが、胸が切なく苦しいような変な感じ。

川の水は昨日と変わらず元気よく流れている。


さてそろそろ戻るか


戻ってみると清香達のテントの隣の方に新たな人達が来ていた。ちょうど今着いてこれからキャンプを楽しむ人達みたいだ。


冬馬君は心の中で良いなぁと思った。後もう一日でもいたいな


まだ、誰も起きてなかったのでテントに入ってまたひと眠りする事にした。


「ほら起きて、そろそろ片付けるよ」

正子が冬馬君達を起こす声が。


三人は目を覚ましテントの外にでた


大喜「ぐっすり寝れた」


慎司「昨日の夜の山道歩き楽しかった」


清香達の方を見るとなんと、もうテントが片付いているではないか。


ドキッとした冬馬君

冬馬君はそれをみてとても切なくなった 本当にもう帰るんだ、もう帰っちゃうんだ。


楽しい時間は終わってみればあっという間に感じてしまう


冬馬君も色々片付けを始める

向こうだけ片付いて先に帰ってしまうのがいやだったから、なぜか焦って片付けている。


すると清香と弟がサンドイッチを作っていたらしく持って来てくれ

「昨日は楽しかったね、これ食べて」


ありがとう

それは最高に美味しかった


冬馬君にとってはどんな高級料理を食べるよりも嬉しくおいしくかんじた。


片付けしてる最中綺麗な石を冬馬君は発見し、そうだこれをあげよう。

大喜と慎司に見られるのは恥ずかしかったから見られてないのを確認して石を持って行った。


二つ見つけて一つは弟にあげ、そして清香にも持って行く


「これあげる、サンドイッチのお礼」


「綺麗 ありがとう」


「また会おうね、夏休み中また連絡する」冬馬君は最大限の勇気をふりしぼって普段なら絶対に言わないであろうことを言った。



「うん、また遊ぼうね」


二人は約束した


冬馬君は大喜び、少し安心した、またきっと会える


そして

いよいよ お別れの時がやって来た


「本当お世話になりました楽しかったです、またみんなで計画たてて遊びたいですね」と清香の両親。


「こちらこそ、本当にありがとうございました、是非またみんなで遊びに行きましょう」正子と隆もこの家族と過ごせて嬉しかったようだ。

冬馬君はこの会話をきいてとても嬉しかった。

なんだかまたみんなで会える気がしたからだ。


そしていよいよ向こうの家族は車に乗り込み始める


「じゃあねー」清香と弟が大きな声で叫ぶ


「じゃあねー」こちらも大きな声で挨拶した。 慎司も自分になついた清香の弟とのお別れが寂しそうだった。


本当にもう行っちゃうんだ

お別れの時

胸がキュンとする。


プップ~向こうの家族はクラクションを鳴らし、そして窓からみな手を振ってくれていた。


だんだん車が見えなくなっていく

そしてカーブを曲がり視界に清香達の車はもう映らなくなった。


隆「さあこっちも片付け終わらせるぞ」


冬馬君はさっきまで清香達の家族が居た場所を見る

今はもう何もなかった。


清香達がテントを張っていた後などを見ては胸が異様に切なくなる


帰っちゃた


キャンプの跡が何だか胸にしみる


こちらも片付け終わり


「さあ帰るよ」


すると知らない人が来て

「この場所使っていいですか?」


「どうぞ」


さっきまで清香の家族とうちの家族達がキャンプしてた場所。今はもう次の人達が使い始めていた。


冬馬君は山を見つめて


「素敵なひと時をありがとう」


大喜も慎司も山に向かって、ありがとうと叫んでいた


一同車に乗り、家に向かう


冬馬君「面白かったなー」


慎司「良い思い出になったね」


大喜「隣の人達との出会いもあったしね」


また来よう!!!


途中昼食をファミレスで食べ、道が混んでいたのもあって地元に着く頃には19時を過ぎていた。


隆「慎司の家はこっちだっけ?」


慎司「いいですよ、冬馬の家で降ろしてくれたら歩いて帰りますから」


また慎司は気をつかって遠慮している。


「何言ってんだよ」冬馬君と大喜は慎司をくすぐって笑う。


そして慎司の家に着くと、家から慎司のお母さんが出てきた。

「本当にお世話になりました、これ食べて下さい」


「すいません、また遊びにおいでね」


「慎司じゃあねー」


ブウゥーン


「慎司も帰っちゃったね寂しくなったね」と冬馬君


「大喜は今日も泊まって行けば良いじゃん」


「もちろんそのつもり」笑みを浮かべピースをしている大喜。


冬馬君は嬉しかった


さておうちに帰ろう


まだ夏休みは始まったばかり。




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