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9.あなたは、

お久しぶりでございます。

文体がかなーり違うのでちょいちょい改稿しています。ストーリー進行上の変更はありませんのでご安心ください。

エレアノーラさんの予告どおり、正午を少しまわったころに部屋を訪なう者があった。濃いカーキ色の武官の制服には徽章が多く、昨日より短いマント。アメリバルド・キーシーカーと名乗った武官である。


「やあ。」


やけに胡散臭く、さわやかな笑顔であった。逆に攻撃的にみえたが。

わりと身分が高そうなのに供の一人もなく、気軽な様子である。そこらの護衛より腕のたつことは保障する、と食堂まで二人だけで移動となった。着いてみれば給仕にエレアノーラさんが待機しており、こちらに気づくと一礼する。


供されたのは真昼間からこれかという完全なるフルコースであった。


(ああ、おなかに優しいものが食べたい……!!)


「アメリローザが気に入ったか?」


自分がどうしてもたててしまうカチャカチャという音がわずらわしい。食卓について彼が初めて口を開いたとき、私は昔少しばかり叩き込まれて以来馴染みのないテーブルマナーを、頭の片隅からひっぱりだすのに四苦八苦しているところだった。


それだというのにアメリバルドは美しく洗練された仕草でソースを絡め、口まで運んでいる。その様は嫌味ったらしく感じるくらいに完璧で、昨日の大雑把そうな言動からは想像もつかない。これも計算だろーか。


(いや、素だな)


生粋のお貴族様なのだろう。ゆえに、私の付け焼き刃でものになっていないテーブルマナーにも鷹揚である。眉を顰めたり、怪訝な表情はちらりとも見せず、少しばかり子どもを見守るような気配を感じる。ちらりとこちらを見やって、にこやかに微笑んだ。イケメン滅びろ。


「アメリローザさんとはどなたでしょう?」


にこやかとは言い難い声が出た。十中八九昼間見かけたあのメイドさんだろうが、彼女から名乗られたわけでも無し知ったかぶりたくはない。ただささいな感情を共にし、手を振っただけ。こんなことで仲間ができたとか思ってはダメだ。ていうかアメリローザてちょっと響きがアメリバルドに似てるのがむかつく。可愛がってた野良の子猫が、実はもうご近所の飼い猫だったときの気持ちに似ている。


スープをひとさじ。冷製スープだったため音を立てぬよう飲んでも猫舌で苦しまずに済んだ。正面を伺えばあいもかわらずにこにこと。

底知れない。よほどあの神官の方が分かりやすい性格をしている気がする。


(だめだ。あまり警戒しすぎては、わたしが)


「貴女が午前中窓から見かけただろうメイドだ。」


さすがに武官らしく、ワインはちらりとも見ない。水を呷りながらの言葉に応じる。


「それならば、お一人見かけましたね。金髪の華奢な方でしょう?」


「そうだ。王妃付きの侍女をしている。まだ16ながら良い働きをする」


「・・・・・・確かにそのようにお見受けしましたが、それが」


何か?と問い返し、私も水に口をつけたところで、


「かわいいだろう?」


と本日最大級の笑顔とともに言われ、水を噴きかけた。


―――何とかとどまってごほごほとせきこむ私に、やはりな、とアメリバルド・キーシーカーは言う。やはりなって、やはりなって、何?


「あれはうちの妹なんだが、貴女が見かけた通り意地の悪い者達に苛められているようだ。ーー兄としてとても心配している」


あれ?


「あのこは王城勤めを始めてから、おれを避けていてな、下手に口をきいたりすると怒られそうだ」


なんか、なんか、私の警戒心は、


「おなじ女性である貴女の意見がききたい」


もしかしてものすごく徒労だった可能性が微レ存な感じですかーーーー!!!


※微レ存=微粒子レベルで存在

なんか好きでよく使ってしまう言い回しです。

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