助ける
仕事始めとなり世間も会社も動き出した、そんなある日の帰り道で宗馬は人気無い路地裏の方に強烈なモヤを噴き出しているのに気付いた
(なんだあのモヤ!?悟さんの時みたいだ!)
不審が視えるモヤには勢いがあり強くなるほど危険な状態である事は体感的にわかる
急いで路地に向かうとカラスの鳴き声が複数聞こえてくる
黒い羽ばたきが何かを包むような動きで行ったり来たりと繰り返す
宗馬は黒い塊の中心を見つめた
「――っ!!やめろ!!」
勢いを付けて黒い羽ばたきの中に入り必死に振り払う
開けた瞬間中心にあったものを抱き抱え、その場から急いで離れた
宗馬は息を切らしながらカラスから距離を取れた事を確認し、抱き抱えたものを見つめた
腕の中で力無く、ぐったりしている子猫が居た
記憶がフラッシュバックする
クロを助けられなかったあの日子供だった自分
「死なせないからな」
宗馬は一番近い動物病院へと駆け出した
どれぐらいの時間が経ったかわからないが、待ち続けていた
「桐生さん、お入り下さい」
獣医から声が掛かった
緊張を伴い処置室に入ると…
子猫は横たわっていた
また助けられなかったか…と思った時
「危なかったですが持ち直しました、今は麻酔が効いてますがじきに目覚めるでしょう」
獣医は処置が上手くいった事を告げてくれた
「良かった……」
「弱った所をカラスに突かれたのでしょう、ただ桐生さんどうしますか?」
どうする?と聞かれた事に一瞬考えたが答えはすぐに出た
「私が引き取ります」
「宜しいのですか?大体のパターンとして時間を置いて考えてから決めるか保護猫団体に預ける等もありますが…」
「いえ、迷いは無いです私が面倒見ます」
「そうですか、この子は幸運な子ですね」
宗馬は迷う事無く、家族に迎える事を決めた
子供の頃、様々な力がなくクロとの別れしか出来なかったあの時に比べ自ら選択し守る力もある
宗馬の決意と選択は強く、この子の生涯を共に過ごすと決めたのだ




