0862・両親への説明
余った時間は適当な雑談で使ったら、妾は訓練場のファルに話をし、その後は2人の部屋へと行く。
部屋の前のボードには〇の札が掛かっていたのでノックし、入ったら2人に説明。
終わって出るとソファーの部屋へ移動し、そして2人とファルを召喚。
ファルには夕食の準備を頼み、ソファーに座ると早速アマロが話しかけて来た。
「今日は朝からログインしていませんでしたけど、突発的になんて驚きました。
それでもコトブキさんが復帰して良かったですよ」
「一時的とはいえ復帰は事実じゃ。
童女とも話したが、次からは期間が短くなるとは思う。
ただし思っておるよりも復帰の時間が短かったのが、少々気になるところではある」
「ナミは一度復帰したら一日ぐらい居られるはずだって言ってたものね。
復帰が早かったけど、代わりに3時間ほどしか出ていられなかった。
それは思っているよりも短かったみたいよ」
「一日ほど復帰できるはずが3時間かー……。
確かに短いと言えば、短いね。
それでもコトブキ君が復帰できただけ良かったのは間違いないけど」
「それはの。
そこは間違いなくそうなのじゃが、短かったので時間が掛かるという事じゃの。
次がどうかというところなのだが、同じ程度の時間なのか、それとも長くこちらに居られるのかは分からん。
長くなればいいのだが……」
「短くとも、こっちに戻って来れるのが分かった。
それだけで十分」
「まあねえ。
このままいつまでも復帰しないよりはよっぽど良いわよ。
今回はたまたまかもしれないけど、それでも3年って言われてたのが半月程度だもの。
幸先は良いって感じ」
幸先が良いというより、早かった分だけ完全復活までの時間が掛かる感じじゃな。
とはいえ復帰できるという事は、治る可能性が飛躍的に高まったということ。
復帰が不可能だというよりは遥かにマシじゃ。
後は時間が解決するであろう。
ファルが呼びに来たので移動し、夕食をとったらソファーの部屋へと戻る。
そしてマイルームへと移動して3人を召喚したら、個室に入ってログアウト。
現実へと戻る。
キッチンに移動して夕食の準備をしたり雑事を熟していると帰って来たので、珠の両親にも伝えておいた。
「えっ? 珠が復帰した?」
「そうじゃ。
今日は朝から現代の巫女が来ておっての、バレンタインのチョコレートを持って来ておった。
その後に珠の部屋へと移動したら、ベッドを触ったり臭いを嗅いだりという事を繰り返しておったのだ」
「何回聞いても変質者みたいな行動よね。
ま、珠が帰って来ないからでしょうけど」
「その後に抱き着いてきたので、まあ仕方がないと思った瞬間、珠が出て来たので慌てて妾は引っ込んだというわけじゃ」
「では珠はどこに?」
「球は椿と昼までエッチしてて、疲れたんで引っ込んだんだってさ。
本当に呆れて来るけど、それでも椿の御蔭で復帰したって感じかしら?」
「まあ、色々とアレだけど、とりあえず復帰できたのなら良かった。
これからはどうなんでしょう?」
「残念ながら、次もいつ出てくるかは分からん。
ただ、少なくとも出てくるまでの期間が徐々に短くなっていくであろう事は間違いない。
問題は出て来れる時間じゃ。
3時間から伸びていくかどうかは難しいところじゃの。
心労が問題なのでな」
「なるほど。
今は3時間程度出て来れるぐらいしか、心の体力のようなものが無いわけですね。
何度も出て来て体力をつけるしかないと」
「うむ、その解釈で間違っておらぬ。
それでも意識を取り戻しただけ良かったし、妾の予想よりも遥かに早かったわ。
たまたまか愛のパワーか、それとも性欲か。
ま、何でもいいのではなかろうかの」
「「………」」
愛までは良かったのだが、盛り上がった2人は昼までしておったからのう。
それを考えるとヤりたかったから復活したと言えなくもない。
ま、何であろうと復帰できたという事実に勝るものは無いからの。
後は回数を熟すだけじゃ。
微妙な空気となったものの、完成した夕食を出して食べたら、妾は後片付けをしつつ順番を待つ。
順番が回ってきたら風呂へと入り、あがったら珠の部屋へ。
寝るだけになったらベッドに入り、再びゲームへとログインした。
物作りは既に終わっておるが、妾は久しぶりに木刀を持って訓練場へ。
そしてセナに訓練をつけておると、何故か他の者達も混ざって来て乱戦となった。
それでも一太刀も浴びる事なくボコボコにした妾は、皆に様々な教えを与えていく。
寝る時間が来たのでログアウトし、眠るまでの間に邪悪な思想の仲間どもを仕留めていった。
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2001年 2月15日 木曜日 AM7:41
妾は洗濯が終わるのを待ちつつ、適当につけたテレビ番組を見ておる。
というか朝のニュース番組であるが、未だに連日のように大陸の事を伝えておるの。
こいつら大陸と繋がっとるはずじゃが、ここまで明け透けにやってもよいのか?
党の者が復帰したら制裁を喰らう気がするがのう。
「御覧下さい! 遂に人民解放軍が、一般人に向かって発砲しております!
当たってはいないようですが倒れている人もおり、既に収拾がつかなくなっております!」
「………〇〇記者のVTRは以上ですが、このような事が当たり前に起こっている以上、ちょっと旅行などは難しそうですね」
「………いえ、あんな事が起こっている国に旅行なんて行かないでしょ。
普通は行ったりなんてしませんよ。
………えっ? 行きませんよね?」
「まあ、普通は行かないよね?
難しいとか難しくないとかいう以前の問題では?」
「ですが中国観光というのはいいですよ?
日本では見られない景色が沢山見られますし、素晴らしい体験が沢山できるんですよ!」
「「は、はぁ………?」」
なんじゃこの女アナウンサーは?
軍が人民を弾圧しとるような国への観光を勧めておるのか?
頭がおかしいにも程があるであろうよ。
幾らなんでも狂っておるとしか思えんのう。
それか、裏からそう言えと命じられておるか、どちらかじゃの。
「言えって言われてるのか、それともマジで言ってるのか………。
流石にマジっぽい気がするのよねー、このアナウンサー元々どこかおかしいし。
頭のネジが何本か無いって言われてるぐらいだもの」
「ほとんど無いの間違いではないか?
軍が弾圧している国に行って観光とか、理解不能でしかないわ。
人質にとらせたいのか、それとも何も考えておらんのかじゃろ。
普通の感覚を持っておったら、内戦かそれに近い国になど行かぬわ」
「この女アナウンサーって昔からだし、今風に言うと案外<境界知能>なのかも。
暗記さえ出来るなら良い大学にも行けるからね。
ただしその暗記した知識を使う知恵は無いんだけど」
「そうじゃの。この世には古くからそういう者はおる。
教えられた事は簡単に覚える癖に、覚えるだけで何一つ活かせぬ者はの。
そういう者じゃと考えれば、確かにこの頭のおかしさは分かる気がするわ」
妾と童女はテレビのニュース番組を見ながら、呆れたような溜息を吐く。
「中国のですね、観光地には素晴らしい所が沢山あってですね!
私も多くの場所を見て回ったんですけど……」
「そうじゃなくてですね、今軍が暴れている所に行くのを勧めるのはマズいって事を言ってるんですよ。
誰かが巻き込まれたらどうするんですか?」
「そうそう。
平時じゃないんですから、あそこが綺麗だったとか言われても困るんですよ」
うむ。これが普通の人間の発想じゃ。
戦闘が起こる可能性の高い場所へ行く阿呆はおらぬ。
巻き込まれる恐れがあるからの。
「違うんです。凄く綺麗だったんですよ!
こう洞窟の中なんですけど、キラキラ反射しててー……」
童女が更なるアナウンサーの発言に呆れつつ口を開く。
「このアナウンサーここまで頭がおかしかったかしら?
それとも今までは上手く誤魔化してた?」
「周りの者が誤魔化してくれておったんじゃろうの。
結局は女子アナなど人気商売みたいじゃからな、顔が良ければ中身はコレでも問題ないんじゃろ。
呆れるような価値観でしかないうえ、それを全国に晒しとるが……
ま、アナウンサーなど喋れればポンコツでも構わんという事なのだと思うぞ?」
そうとしか思えんからのう。
そして、こういった時に本性というものは出るものなのじゃよ。




