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0078・ダンジョン16階の魔物




 「もう進化したの? 確かに11階からはモンスターも強いし経験値は多いでしょうけど、それにしたって早過ぎない? さっきのボスの経験値が高かった……んでしょうね」


 「そう言われてもね。進化後の魔物と戦闘を続けた訳だし、ここからが長いんだからこんなものじゃないの? 進化組はレベル11だし、フィーゴはまだ進化したばかりだよ」


 「まあ、そうなんでしょうけどね。それよりハッキリと白い人の形になるって、どんな種族? 私ゴースト系って碌に知らないのよね。そもそも<破滅>に聞いたりなんてしないし」


 「進化してレイスになったんだ。ハイ・ゴーストとファントムも選択肢にあったんだけど、僕としては憑依支援型であるレイスの方が良かったからさ。それに敏捷度が一気に上がったから、個人で動き回れるようになったかも」


 「ああ。今まではあまりに遅すぎて【憑依】してないと一緒に動けなかったものねえ。怖ろしいくらいに遅かったし、何より敏捷が全く上がらなかったんでしょ?」


 「うん。トモエの言う通り全く上がらなかったね。だから最初から憑依支援型に近かったんだと思う。そこから【憑依】しながらの魔法型か、それとも単体で戦闘能力を持つか、支援重視かになる」


 「思っている以上にバラバラね、そして早速コトブキに【憑依】すると。まあ、支援重視で選んだんだから当然でしょうけど、それにしても喋れないままねえ」



 既に【憑依】してるからフィーゴは喋れないけど、喋る気もない感じだろうか? 何だかそんな気がする。まあ、とりあえず16階の魔法陣を登録するんだけど……あれ? そういえばフィーゴは1階から攻略してないのに11階からスタートできたな?。


 【憑依】している間はスルー出来るんだろうか? 何ともな感じだけど、一応居ない事になっていると考えていいのかな? まあ、不具合なら後でもう一度攻略すればいいだけか。


 16階を見てみるが、そこは荒野だった。タンブルウィードとかいう草の塊が転がっている、古い西部劇で見るような赤茶けた荒野。まさに見た目はそれそのものなんだけど、何だか危なそうな牛とかが見える。


 試しに少し入って鑑定すると、何だか嫌な予感がたっぷりの鑑定結果が出た。



 ―――――――――――――――


 <シャープホーンバッファロー> 魔物 Lv18


 頭部の角が非常に鋭い牛。驚くほどに気性が荒く、何かに角を突き立てないと落ち着かない。とにかく角を突き立てる何かを探している


 ―――――――――――――――



 いやいやいやいや。角を突き立てないと落ち着かないって……その何かは精神安定剤ですか? そう言いたくなる程に酷い。そしてこちらに気付いたのか足で地面を掻いている。間違いなく突っ込んで来る気だ。



 「ブルルル………ブルルァーーッ!!!!」



 ドドッ、ドドッ、ドドッ、ドドッ。そんな音が地面を揺らしながら突っ込んで来る。僕は素早くフォグに言い、フォグはタイミングよく【スモールピット】を使った。敵はあっさりと窪んだ地面に引っ掛かり無様に転がる。


 そこへ素早く【セイントバインド】【ダークバインド】【アースバインド】【エアバインド】が飛ぶ。ちなみに【ダークバインド】を使っているのはラスティアだ。【闇魔法】習得の為に使う事にしたらしい。


 残念ながらラスティアとトモエの【ダークバインド】と【エアバインド】は失敗したけど、僕とフォグのバインドは入った。後は継続するのと、その間に滅多打ちにしてもらう事だ。それは良いのだが、思っている以上に敵が堅い。


 もしかしたら第二進化済みなんだろうか? そう思うぐらいに敵の防御が堅く、なかなかダメージを与えられない。ゲージなどは無いが、碌に相手が痛がらないんだ。リナの攻撃は効いているみたいなので、刃物じゃないと駄目なのかもしれない。


 打撃に強いのなら、痛がりもしないのはよく分かる。なので皆に指示し、攻撃は足に集中してもらう事に。皮膚が幾ら硬くても、胴体に比べれば足は細い。更に足が折れれば有利に戦える。今はそれぐらいしか思いつかない。


 そもそも【セイントバインド】を連発してるうえに失敗も多く、更には拘束が簡単に外される。思っている以上の大暴れをしてくれてるんだよ、この牛。レベル18は伊達じゃないって事だろうけどさ。


 体をくねらせたりしながら暴れに暴れるシャープホーンバッファロー。ひたすらに攻撃を繰り返していたが、ついにリナが足を切り落とした。



 「ブルルルルルァーーーッ!?!!?」



 流石に足を切り落とされたからか絶叫を上げたが、今まで以上に暴れ出す。流石に一本でも足が切れれば、そこまで厄介な相手じゃない。むしろ絶叫を聞いた他の魔物が来ないかの方が心配だ。


 既に足が切れているので、僕は【ダークヒール】に切り替えて使っている。何度かシャープホーンバッファローに対して使っていると、いきなり「ビクゥ!」ってなった後、泡を吹き始めた。……どういう事?。


 慌てて鑑定すると、そこには<痙攣>という文字が。そんな状態異常があったんだね。何故かトモエがこっちをジト目で見てくるけど、敵を倒すのが先だよ。集中しなって。



 ―――――――――――――――


 使い魔:ラスティアが【闇魔法】を習得しました


 ―――――――――――――――



 その後は泡を吹いた牛をボコるだけで勝利したけど、本当に強かったなぁ。そろそろ石と木の武器じゃ駄目だって事なんだろうけど、青銅製は高いんだよね。それに刃物の武器も用意しておかないといけない。


 ドロップしたのは肉なんだけど……これはどうなんだろう?。



 ―――――――――――――――


 <食材> 鋭角牛のロース 品質:5 レア度:3


 評価の高い鋭角牛のロース肉。貴族も食べる高級食材の一つであり、それなりのお値段がする


 ―――――――――――――――



 高値で売れるならありがたいんだけど、ちょっとプレイヤーマーケットに出してみ、うぇ!? 一個で1700ぅ!? たっか! 何この肉、超たっか!! マジで!?。



 「どうしたのコトブキ、そんなに驚いて……って、たっか!! え、なに? ドロップしたお肉1つで1700もするの!? 尋常じゃないんだけど! そんなに高級なの、さっきの牛!?」


 「シャープホーンバッファローって、それなりの高級肉として知られてる牛の魔物よ? ダンジョンならではの魔物で、普通には居ないからダンジョンで手に入れるしかないの。それなりに深く潜らないといないから高値なのよね」


 「へー……外では出ないというか、いない魔物もダンジョンには居るんだね」


 「一説には既に滅んだ魔物がダンジョンの中だけでは出てくるんじゃないかって、そんな事を言ってる学者も昔は居たのよ。本当かどうかは知らないけどね」


 「あー………まあ、それなら分からなくもないかな? 元の世界で言えば、ダンジョンだけ恐竜が出てくる感じだと思う。それなら納得できるし」


 「言いたい事は分かるんだけど、恐竜の肉って考えると寄生虫とか多そうだよね。それも分かってないって言えば、それまでなんだけどさ」


 「コトブキ……あんた夢の無い事を言うの止めなさいよ。恐竜の肉ならそれでいいじゃないの。確かに野生生物の肉だから寄生虫が多そうだけどさ、いちいち言わなくてもいいでしょ」



 それはそうなんだけど、気になったんだからしょうがないよ。それに現実的に考えるってそういう事だしね。寄生虫が大量で白くなった肉とかは嫌だなぁ……。うん、考えるの止めよう。


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ダンジョンによって作られた存在だから寄生虫どころか排泄物も一切入ってない綺麗な身体してそう
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