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0077・レイス




 やっぱりボス階層の1つ前の階はモンスターが非常に多い。それでも開けた場所でない分だけ楽だとも言える。それに、こちらには敵の弱点である【浄化魔法】を使えるのが3人居るからね。そこも大きいだろう。


 だからそこまで戦闘で苦労する事は無いんだけど、代わりに次の階への階段が見つからない。ひたすらウロウロさせられ続けている。おかげで無駄な戦闘も多いのだが、ゴーストを【クリア】で倒しているからか<浄石>のドロップも多い。


 行き止まりなどが多く、戻っては別の方向に行くという事を繰り返しており、いい加減に皆がイライラしだした頃にようやく見つけた。おそらくだが、この階の8割ほどを歩き回ったと思う。もはや全員が砂漠でオアシスを見つけたような状態だ。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました

 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました

 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 だからこそ僕は階段に向かって【セイントバレット】を叩きつける。



 「ギャーーーッ!!!」



 こういう時ほど危ないというのはよくある事で、気を抜いた瞬間を狙ってくるのは当然の事だ。さすがに【魔力感知】で魔力反応が出てるんだから、唯の階段だとは思っていない。敵だと思ったのか、慌てて【セイントバレット】を撃つトモエとギン。


 割とあっさりと倒せたが、それなりに厄介な相手ではあった。



 ―――――――――――――――


 <シャドウ> 魔物 Lv11


 影として何かに擬態する魔物。不用意に近付いてきた者を容赦なく喰らう為、注意するべし


 ―――――――――――――――



 「まったくもって、ふざけてるでしょ! 階段の上に階段になりすました魔物が居るって何なのよ! ここまで苦労を散々させておいて、ここで足を掬おうとするなんて本当に性格が悪いわね!」


 「トモエ、幾ら言ったって作った人に対する褒め言葉にしかならないよ? 【魔力感知】を切らしてなかったから良かったけど、使ってなかったら僕も騙されてたかもしれない。なかなかに厄介だけど、気を付けていて良かった事は間違い無いね」


 「まあ、そうね。とはいえ<シャドウ>が階段に擬態してるっていうのは初めて見たわ。今までは影からいきなり飛び出てきたり、木とか岩とかに擬態して襲ってくるっていうのはあったけど、流石に今回のは私でも初めてよ」


 「まあ、とにかく階段はここだったんだし、今の内に15階に下りて休憩しよう。MPも結構厳しいし、もう疲れたからね。回復しつつ昼食を食べてリフレッシュしようか」


 「「賛成~」」



 僕達は15階のボス扉前まで行き、サンドイッチやホットドッグのような物を食べている。しかし疲れたなー、まさかここまで入り組んだ迷路だったとは思いもしなかったよ。僕は地図を見ながら溜息を吐く。



 「描いた地図を見ているみたいだけど、そんなに大変だったの? 確かにイライラが限界に達するかと思うぐらい長かったけどさ」


 「大変というか、14階だけ異様なまでに入り組んでるんだよね。それまでが練習だったかのように行き止まりばっかりで、ひたすら進んでは戻るを繰り返してたのが分かるよ」


 「私にも見せて。……ボリボリ………バリバリ……。それにしても酷いわねえ、コレ。ボリッ、ここまで入り組んでるって、バリッ、嫌がらせじゃない」


 「ラスティアって本当に煎餅好きよねー。サクサク、私はクッキー系統の方が好きかな。やっぱり、サクサク、定番のコ○ナッツサブレは美味しい。この飾り気の無い見た目がね、逆に良いのよ」


 「サクサク、サクサク……」



 またもやリナが無表情で貪ってる。セナと違い生きてるから表情がある筈なのに、お菓子食べてる間は無表情なんだよね。何か慣れないなー。ちなみに僕は○ップスターを食べながら、皿におでんを入れて食べさせている。


 何故かメイとギンが食べているが、特に何の問題もないらしい。まあ、ゲームだし魔物だからと言えばそれまでか。メイは大根が、ギンは竹輪が気に入ったらしく、2匹は喜んで食べている。


 2匹にとってはお菓子なんだろう、だから僕は適当に放っている。本人が食べたい物が一番だろう。


 お腹もこなれて全回復したので休息も終わりにし、僕達は作戦を確認してからボス扉の中に入る。いつも通り、数が多ければ僕が範囲魔法を使ってから本格戦闘。1体だけなら盾役を前に出してじっくりと戦う。それを確認して中へ。


 中に入って進むと扉が閉まり、魔法陣が地面に輝いた後、多くの魔物がせり上がってきた。その魔物を見てトモエ達は驚き、動きが止まってしまう。


 何故なら出てきたのは顔が2つある大きな犬だったからだ。大型犬と同じくらいの大きさで顔が2つあり、両方の顔が唸っている。僕はすぐさま前に出ると、インベントリの中にあるオーク玉を投げつけた。



 「「「「「「「「「「ガヴェッ!!?!!??!!?」」」」」」」」」」



 10頭いる敵の中心のヤツに投げつけたんだけど、猛烈な臭いが辺りに撒き散らされた。その激臭は僕達でさえ吐き気が止まらない程に臭い。そんな物を間近で直撃させられた敵は、その臭いで気絶してしまっている。


 僕達も耐え難い激臭と戦いつつ、1頭1頭の首を突き刺したりカチ割って殺害していく。あまりの悪臭ではあるけど、相手に何もさせずに完勝する事が出来た。もちろん全員が僕を睨んでいるけどね。


 悪臭に耐えていると壁が上にスライドし、やっとまともな空気の所に出られた。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました

 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました

 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました

 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました

 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました

 召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました

 おめでとうございます。召喚モンスター:フィーゴは進化が可能です


 ―――――――――――――――



 16階に下りつつ、現在僕は愚痴を聞かされている。それにしても道中のモンスターやボスが強いからか、簡単に進化したね。さっきのボスも相当高レベルなのは間違い無いけど。


 「確かに完封勝利と言っても良いわよ? 相手に何もさせずに勝ったんだものねえ。でもさ、物事には限度というものがある訳。分かる? あれはね、その限度を軽く超えてるのよ。吐かなかったのが奇跡なレベルで臭いって何よ?」


 「本当にね、トモエの言う通り尋常じゃなかったわ。何を考えてあんな物を作ってたのか知らないけど、頭がおかしいんじゃないの!?」


 「流石にそれは言いすぎじゃないかな? 確かにとんでもなく臭かったけどさ。あれは僕が作った物じゃなくて、5階のオーク戦で手に入れた物だよ。何故かオーク玉っていうのがインベントリに入ってたんだ」


 「なにそれ? もしかして私もそんな臭い物をゲットしてた可能性があるって事? えー……絶対ヤダ。もし手に入れたら盗賊にぶつけて逃げようっと。そうすれば嫌われるでしょ。あんな臭いさせてみなさいよ、絶対に町に入る事なんて出来ないわ」



 ―――――――――――――――


 ・ハイゴースト:ゴーストに比べて更に魔法能力に特化し、【憑依】しながら【闇魔法】を操る

 ・ファントム:邪霊。敵に対し恐怖を与える叫び声を上げる。魔法の能力は少し落ちるが、自身で動き回る

 ・レイス:純粋な憑依支援型になるものの、その支援は強力。自分で動いて戦う事も可能ではある


 ―――――――――――――――



 これは間違いなくレイス一択だろう。一応フィーゴに聞いてみたものの、返事は出来ないが顔が上下に動いた気がするのでレイスを選択する。


 すると「ピカッ」と光ると、ゴーストよりもハッキリした白い人の形をしたモノがフワフワしていた。それを見て皆も愚痴を止めてくれたので、僕はそっと安堵する。


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