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0723・とある女性の狙いと白山の歴史




 2001年 1月27日 土曜日 AM8:19



 そろそろ洗濯機が止まりそうだから、洗濯物を干さなきゃいけないね。

 椿は既に帰ったから居ないけど、昨日は本当に長かった。

 若干だけど寝不足な程だよ。

 何であんなに元気なのか理解できないくらい元気だった。


 それでも朝は機嫌よく帰って行ったから問題ないとは思うけどね。

 とりあえず洗濯物を干せば、後はゆっくりとゲームだからいいけどさ。

 本当に昨日の夜は大変だった。

 何があったんだろうと首を傾げるぐらいだよ。



 「あんた朝から疲れてるわねえ……。椿に相当搾られたみたいだけど、大丈夫なの?」


 「大丈夫。洗濯物を干し終わったら後はゲームだしね。そのうち回復してるでしょ。寝てるだけなんだし」


 「まあ、そうだけどね。それにしても朝から椿は元気というか、あれが艶々な女の顔なんでしょうよ。自分がそうなった事がないから分からないけど、きっとああいう顔なんだと思うわ」


 「そう? ………事が終わったらいつもあの顔だから、僕からは何とも言えないかな? 本当にいつもの顔だし」


 「まあ、そうなんでしょう、タマにとっては。それにしてもアレかしら? 【色欲】と【純潔】にあてられたんだと思うけど、結構遅くまでヤってたみたいね。寝てたら途中で起きちゃったんだけど、まだ動いてる気配がするから驚いたわよ」


 「そりゃあ、シズには気配でバレるよね。昨夜は結構長かったけど、何か狙いがあるというか、何かを考えていた感じだった。それが何なのか分からないけど、変な感じは「ピー! ピー!」しなかったよ。っと、洗濯物干してくる」


 「私はさっさとログインしてくるわ」



 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



 「どこに居るのかと思ったら、コトブキの所の川に居たとはね。見つからなかったから探したじゃない。………それで、どうだったの?」


 「なかなか上手くいかない。今回は普通にしたけど、それは失敗だった。ただ搾って体力が減っただけ。破壊衝動と殺意は引きずり出せなかった」


 「まあ、普通は彼女に対してそんなものを向けたりしないわよ。あんたがおかしいだけで、普通は本人が封印したままなら放っておくでしょ」


 「それはそう。でもこのゲームをしていて、少しほころんできている。それは良い事なんだけど、放出するというか捨てる場所が必要。そうしないと溜まっていって、最後には爆発する」


 「今まではそれが<BUSHIDO>で済んでたんだけどね。エンリエッタさんと戦った辺りから、また加速し始めたのは間違い無いわ。本人は制御出来ていると思ってるんでしょうけど……」


 「稀に気を抜いた時に殺意満面の顔になってたりする。本人が意識していないからこそ、本当にマズい。確実に今までよりも緩んでいる証拠。それ自体は良い事なんだけど、外にそれを見せるのは危険すぎる」


 「あんたがタマの恋人になったタイミングも結構ギリギリよね。あれよりも遅れてたら厳しかったかもしれない。実際にあんたとヤった後のタマは破壊衝動と殺意が薄れているもの。そうでなければマズかったわ」


 「元々の本質がアレである以上は止めようが無いし、止められるものでもない。アレはタマの奥底から溢れてくるモノであって、枯渇するようなモノでもないし塞き止めると危険。なら適度に抜いて薄めるしか方法が無い」


 「曽祖父もタマと同じだったらしいけど、お爺ちゃんいわく大変だったらしいわよ? 曾祖母が傍に居る事が多かったらしいし、傍から見たら結構爛れた夫婦関係だったそうだもの」


 「むしろ望むところ。それは義理のお祖父さんから聞いたし、既にそのつもりで動いてたから問題なし。それよりも破壊衝動と殺意をもっと解消できないといけない。もっと本音で話し合うべき?」


 「どうなのかしらね? あんまりハッキリ言って傷付けるのもアレだけど、この際そこには構わずハッキリと言った方がいいのかもしれないわ。とはいえ、今は落ち着いてるみたいよ。さっき顔を見た限りでは」


 「それなら次の金曜か土曜まで保ちそう」


 「そうなんだけど、アンタ絶対に自分の欲もプラスして考えてるわよね? あそこまで艶々な顔をしておきながら、自分の事は後回しなんて言わせないわよ」


 「もちろん私の欲も入ってるに決まってる。私は昔からアレに殺されてもいいと思ってるし、それは今も変わってない。むしろアレをぶつけられるのを心待ちにしている」


 「それは止めなさい。誰もが不幸にしかならないから。それに自分で志願した以上は最後まで諦めるのは無しよ」


 「分かってる。だから性欲に変化させて、私にぶつけてもらおうと頑張って誘導してるんだし、そうやって代々の<山雷やまつち>は鎮められてきた。<黄泉津大神よもつおおかみ>からの滅びの使者と呼ばれた<山雷やまつち>は」


 「本来なら私が<鎮めの巫女>だったんだけどね」


 「近親相姦は駄目、絶対」


 「私だって最悪じゃなければイヤよ。自分の人生を犠牲にするのは流石に勘弁してほしいわ」


 「神主の家系に生まれてくる不思議な双子。常に女と男の双子であり、女は類稀なる才能を持ち、男は<山雷やまつち>という破壊の御子として生まれる。かつて古の時代、黄泉からの使者を巫女が体を使って鎮めた。その直系子孫には必ず生まれる双子」


 「五條家もその血筋だものねえ。というより、白山で不思議な能力を持つ家は全て<山雷やまつち>と<鎮めの巫女>の子孫にあたるから分かりやすいわ。今も十数家、不思議な能力を持つもの」


 「それでも、かつての時代よりは随分と減った。平清盛に仕えたとする者も、源頼朝に仕えた者も<山雷やまつち>と<鎮めの巫女>の子孫。その後は表に出る事は無かったと言われてるけど、傍系になったのなら分からない」


 「そのうち血が薄まって消えるものねえ。ウチは欠片も消える気配が無いけれど……」


 「仕方ない、多分だけど直系はこれからも消えないと思う。そして私のようなのが必ず出てくる。今まで宝家の血が存続しているのが理由。あの破壊衝動と殺意が今も継承されている時点で、アレを好む女が歴代に居たという事」


 「まあ、それはね。でないと血筋が残ったりはしないでしょ。もしかしたら双子の姉が血筋を残していたのかもしれないけど、双子の男の子が殺されたという記録は不思議と残ってないのよねえ」


 「それは義理のお祖父さんからも聞いた。だからおそらくだけど、<山雷やまつち>と同じ時代にそれを受け入れられる女も生まれるんだと思う。それがその代の<鎮めの巫女>になる」


 「普通なら、そんな男を娘の婿に! って怒るところなんだけど……」


 「残念、母は大賛成してる。更に言えば早く孫が見たいと言ってるし、その子に五條家を継がせるとも言って困ってるぐらい。久しぶりの本家の血筋とも言えるからか、物凄くはしゃいでる」


 「まあ、五條家なのは椿のお母さんで、お父さんは入り婿だからでしょうね。とはいえ反対まではしていないみたいだけど」


 「うん、反対はしていない。何故なら私達兄妹の力の源流だって知ってるから。その血が入るという事は、五條家の隆盛に関わる大事な事。白山で知っている家の者はタマを今でも狙ってる」


 「それはね。明らかにおかしな下心で近付いてきたのも居るし、タマも不思議がってたわ。私は意味を知ってたからアレだけど、ちょっとあからさま過ぎるのよ。アイツら」


 「仕方ない。力がかつてあった家、または子孫として力が残っている家は当然取り込みを狙う。白山という地区は、何だかんだといって宝家が中心の町。正しくは<山雷やまつち>と<鎮めの巫女>を中心としている」


 「時の内閣総理大臣が助力を求めて、部下を白山に派遣してくるぐらいだしね。因果な家に生まれたと思うわ、本当」


 「その代わりの才能。それを持つんだから、文句を言うのは無し。持たない者からすれば激怒するような言葉」


 「まあ、それはね。っと、どうやらタマがログインしたみたいね」


 「うん。すぐに行く」



 △△△△△△△△△△△△△△△



 さて、ログインしたし、まずは倉庫の中身から片付けよう。

 ラスティアとキャスティは……セナに行ってもらうか。


別作、「時空の旅人 ~イシスとヌン~」が180話を超えました。宜しければ、御一読ください。


https://ncode.syosetu.com/n1425lv/

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