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0066・石壁迷宮攻略・午前




 2000年 8月11日 金曜日 AM8:28



 今日も元気にログインするんだけど、昨日はダンジョンの10階を攻略し終わった。なら今日は11階からか? というと微妙な気分ではある。理由はアンデッドの階層だからだ。攻略しなきゃいけないのは事実なんだけど、それって<屍人の森>と何が違うんだ? となってしまう。


 それに10階のボスであれだけ苦労したという事は、15階のボスには勝てないだろう。無理しても仕方ないし、行くとしてもレベル上げに行くくらいかな? <屍人の森>の中層だとレベルが上がりにくくなってるし。


 僕はソファーから起き上がり、ファルに朝食の手伝いをお願いしておく。インベントリも片付けないとなーと思いつつ朝食を食べていたら、ラスティアだけが起きてきた。そのラスティアが言うには、師匠はまた温泉に行ったらしい。


 ラスティアはたまに行くぐらいでいいらしく、師匠のように頻繁に行きたくなるものでもないようだ。ま、温泉って人によるからね。1日に何度も入る人もいれば、1回でいいよという人もいる。まあ、師匠は放っておこう。


 昨日の続きと、インベントリの中身の売却に行く事を告げると、ラスティアも同行する事に決めたようだ。何故か命令しない僕に不思議がっているけど、命令したってねえ……僕にヘイトが向かってくるだけじゃん。そんなのはゴメンだね。



 「今は弱いけど、元々強かったし色んな知識も持ってるんだけど?」


 「だーかーらー、それを寄越せって感じの事したって僕に恨みや憎しみが向くだけじゃん。デメリットの方が大きいんだからやらないよ、そんな事。それに来ないなら来ないで、最初から頭数に入れなければ済むし」


 「いや、行かないって言ってないから!」


 「あくまでも来ないならって事さ。来るなら戦力だけど、来ないなら居ないからね。戦力としては数えられないだろう?」


 「まあ……それは、ね」



 そんな話をしつつ歩いて行き、ダンジョン街で昨日のドロップを売ってから迷宮魔法陣へ。11階へと転移し、石壁迷宮の攻略を始める。実は師匠の家のスケルトン・クラフターに話して、紙と書く物を借りてきているので地図を描く。


 流石に石壁迷宮は地図を描かないと攻略は難しい。なので地図を描きつつの攻略となるんだが、アンデッドが多い為に【浄化魔法】も使わなきゃいけなくて忙しい。とはいえ、魔法のスキルレベルを上げるには仕方ないので頑張ろう。



 ―――――――――――――――


 ※スキル:【浄化魔法】のレベルが規定に達しました

 【浄化魔法】に【クリア】が追加されます


 ※スキル:【浄化魔法】がランクアップし、【浄化魔法・下級】となりました


 ―――――――――――――――



 【浄化魔法】のラストは【クリア】という魔法だった。魔法の効果を確認してみると、このような説明となっている。



 ―――――――――――――――


 <浄化> クリア 浄化


 その身に憑いてしまった不浄を祓う魔法。穢れはこまめに落としておこう


 ―――――――――――――――



 うん。おそらく<浄石>と同じ効果の魔法はコレだと思う。それにしても予想以上に高レベルだったと思うんだけど、穢れる事そのものが多くないのだろうか? とりあえず全員を綺麗にしてから出発する。皆は機嫌良さ気にしているので、間違ってないのだろう。



 「ようやく瘴気を浄化できる【クリア】を使えるようになったのね。瘴気アンデッドと戦うと少しずつ瘴気を身に受けるから注意しなさいよ。生きている者は浄化能力を多少は持つけど、召喚モンスターは持たないからね」


 「成る程、それで浄化する事が重要なのか。つまり、知らずに戦い続けてたら最後には召喚不能になってたのか……。危ない、危ない。流石にシャレにならないな」


 「まあ、召喚できなくなるというよりは、正しくは瘴気アンデッドになってしまって戻れなくなるのよ。つまり野良アンデッドとして討伐対象って事。流石にそれはねー」


 「それはネクロマンサーにとって色々とシャレにならないね。一番やっちゃいけない事だろうし、碌でもない奴だと思われちゃうよ」



 ラスティアから聞いておいて良かった。最初から<屍人の森>で戦いまくってたからなぁ、そりゃファルが<浄石>を欲しがるのも当然か。休憩前とかに浄化しておいた方が……もしかして瘴気アンデッドには効く魔法なのかな?。


 地図を描きつつ、出てきたスケルトン・ファイターに【クリア】の魔法を使ってみる。すると、急に頭を抱えたらと思ったら腰をクネクネし始めた。スケルトン・ファイターは苦しんでいるんだろうが、傍から見たら滑稽な踊りをしているようにしか見えない。


 そしてファルの狼牙棒であっさりと頭蓋骨を壊されて終了。よく効いた……な?。



 ―――――――――――――――


 <素材・道具> 浄石 品質:3 レア度:2 耐久10


 浄化の力が篭もった石。瘴気アンデッドによく効き、水に入れると水を浄化する


 ―――――――――――――――



 えぇー………<浄石>って瘴気アンデッドからドロップするの? 流石に他にも入手経路があると思いたいけど、何だか微妙な気分になってくるなー。そしてウチの召喚モンスターは誰も欲しがらないね? 浄化されてるからか。


 まあ、簡単に倒せるようになるのは楽でいいから、ここの瘴気アンデッドには出会い頭で喰らわせよう。石壁が多いので、魔物に複数で襲われたりはしない。それとアンデッド系だからか、そこまで強力な個体はいないみたいだ。


 なので、それなりに楽には進めている。かわりに階段がなかなか見つからず、やっと見つける事が出来た。石壁迷宮は攻略するのに相当骨が折れそうだよ。僕達は階段を下って12階へと下りていく。


 再び始まった石壁迷宮をウロウロするも、再び混迷の様相を呈してきた。通路は横幅3メートルほどしかなく天井まで壁が繋がっている。そもそも他の地形とは違い、天井までも3メートルほどしかないんだ。


 そんな狭い中をあっちにウロウロ、こっちにウロウロと時間が掛かってしかたない。おまけに魔物がちょこちょこと現れて、その度に足止めを受ける。思っている以上に攻略に時間がかるが、受けるストレスも思ってた以上だ。


 そんな中、次への階段を探し出したのは良いんだが、一旦戻る事になった。昼食を買ってきていないので、11階から外へ戻らざるを得ないんだ。地図を描いているからマシだが、無かったら地獄の苦行だった事は間違い無い。


 ダンジョンの外に出た僕達は、ダンジョン街に行って昼食を食べる。そこまでお金も掛からない食事をとりつつ、皆を【クリーン】と【クリア】で綺麗にしておく。


 【クリーン】は汚れを綺麗に落とす魔法だが、【クリア】は穢れを落とす魔法。なかなかに厄介ではあるものの、それぞれ別々の魔法となっている。もしかしたら複合系の魔法があるのかもしれないが、まだまだ先だろう。


 そんな事を考えていたら、大きな声で騒いでるのがいた。何かと思って耳を傾けると、どうやら犯罪者がダンジョン街に入ってきていたらしい。食事も終わっていたので捕縛現場にいくと、見た事があるような顔のゾンビが居た。


 不思議に思いつつも見ていると、そいつは僕の顔を見て急に大声で騒ぎ始める。



 「お前!! お前の所為でオレはこんな事になったんだぞ! 配信も切られたし、社長から一方的に解雇もされた! それもこれも全部お前の所為だ!!」


 「は? この人いったい何言って……ああ! 矢を射掛けてきたクズ! アレに顔がそっくりなんだ。確かアホロンだっけ?」


 「アポロンだ! 名前も変えられないし、悪行度とかいうのは2000を超えてやがるし、お前の所為だろうが! 謝罪と賠償をしろ!! このクソガキ!!」


 「………」


 「何とか言えや!!」


 「えっ、なんとか? まぁ、そういう冗談は置いといて、GMコールしておいたからすぐに来るよ」


 「はっ? テメェ! フザケンじゃ「どうかしましたか?」ねえ!!」


 「ああ、このアホロン? とかいう人が難癖を付けてきたのでGMコールしたんです。何故か僕の所為だとか喚いてまして」


 「テメェの所為だろうが!!!」


 「どうやら興奮しているようですので、まずは隔離いたしましょう。後で話を聞く事もあるでしょうが、その時には御協力をお願い致します」


 「ええ、もちろんです」


 「では」



 そういって消えていったGM。顔の無い灰色のマネキンみたいな見た目で、白い翼と黒い翼が背中に生えてたな。ある意味で怖い見た目だ。


 ラスティアは何故か恐怖に引き攣った顔をしてるけど、何かあったのかな?。


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