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0067・石壁迷宮攻略・午後




 「ねえ……さっきのアレって神の粛清隊よね? 昔、時の王が神に宣戦布告し、自らを新たな神と言い出した事があるらしいの。その際に顔の無い灰色の者達が天より舞い降りて、驕った時の王と民を滅ぼしたと言われているわ」


 「ああ、うん。あの人達ならあっさりやるだろうね。僕達のような稀人は死んでも復活するじゃない? だからその中にゴミが居たら、あの人達に処理してもらうんだよ。有罪か無罪かもあの人達が決める事で、僕達が決められる訳じゃないからねえ」


 「う、うん……。あー、ビックリした。二度と見たくないわ、あまりにも怖すぎる。神の粛清隊なんて、大悪魔よりも遥かに危険な相手じゃないの。かつての私でさえ、絶対に調子に乗らない相手よ、アレは」


 「だろうね。だってどう考えても勝てない相手だし、戦うとか抗うとか以前の問題だもん。何かあっても粛々と受け入れるしかないよ。何も問題ないなら、そもそも連れて行かれたりしないし」



 まだちょっと顔色が悪いラスティアを連れて、再び迷宮紋へ。11階から再スタートし、12階へと下りる。何度か戦闘をすると立ち直ったようだ。この世界のNPCには運営に対する恐怖が刷り込まれてるんだろうか?。



 「いやー、それにしても伝説とか神話に語られるのが出てきちゃ駄目でしょ。見た瞬間にヤバいのを理解したわよ。何も感じなかったけど、感じなさ過ぎてヤバいとしか思えなかったわね、アレは……。今思い出しても、怖い」


 「そこまでだったんだねえ。ま、変な事してなきゃ大丈夫だよ。昔に色々やらかしてると怖いのかもしれないけどさ。少なくとも今は違うんだから問題ないって。でなきゃ粛清されてる筈だし」


 「そ、そうよね……大丈夫、私は大丈夫………」



 何処まで怖いのさ。本当にGMとか運営に逆らわないように出来てるんだなぁ。とりあえず戦闘はちゃんとしてくれるからいいけど、ブツブツ言うのはそろそろ止めてほしい。脛(すね)に傷を持つから怖いんだろうけどさ。


 ようやく地図を描いた場所まで来たので、そこから地図の作成をスタートする。アンデッドが出てきたら【クリア】を使って倒させていると、だいたい3分の1くらいの確率で<浄石>がドロップする事が分かった。


 そして適当にプレイヤーマーケットに詰め込むと、何故か飛ぶように売れていく。変だなと思って確認すると、どうやら【薬師】をサブ職業に持つ人が買っているらしい事が分かった。どうも薬を作る際の水作りに使うようだ。


 普通の水で作るより<浄水>で作った方が効果が高いらしく、その効果の高さで値段が変わる為に買っているらしい。プレイヤーマーケットでは書き込みも出来るのだが、早速「製法を教えろ」とかいう頭の悪い書き込みもあった。


 こういうのはブラックリストに入れれば済むので、僕は文章内容だけ確認してブラックリストに入れていく。ちなみにブラックリストに入れられると、その人物は該当の人物の商品を購入出来なくなる。つまり、奴等は僕の商品を買えなくなった訳だ。


 11階からは骨とか肉とか<浄石>しかドロップしていないし、骨とか肉は全て仲間にあげている。ラスティアはお菓子さえ渡していれば気にしないので助かるよ。まあ、骨や腐った肉を渡されても困るだろうけど。


 ダンジョンの地図を描きつつ戦闘もしていると、13階への階段を発見。ようやく半分を超えた。ここからも気合い入れて頑張ろう、そう思っていたらラスティアから警告が来た。



 「コトブキ、注意! 壁を超えて進んできている奴が居る。間違いなくゴーストよ! あいつら【闇魔法】以外じゃないと効かないから、出てきたらちゃっちゃと【浄化魔法】で倒しちゃいなさい。奴等の弱点だから」


 「了解、了解」



 ラスティアが指差す方向からは、確かに妙なのが壁を素通りしてきている。敵だけ一方的に素通りしてきて攻撃ねえ。昔のレトロゲームにありがちなパターン。もしくは消えて出てきて攻撃、そして消える、とかのパターンもある。


 ゴーストとやらが現れた瞬間【クリア】を使うと、引き千切られたように消えていく。そしてゴーストの消えた後には<浄石>が落ちていた。ボス戦では自動でインベントリに入るのに、普通の戦闘ではドロップするんだよねー、何か不思議。


 あれかな? ボス戦もドロップさせると奪い合いになるからだろうか? そうすると野良パーティーとか持ち逃げの嵐になるだろう。そうしない為の措置と考えれば分からなくもない。ま、そんな考察は止めて進もう。


 皆を待たせていたので謝罪し、地図を描きながら進む。今のレベルだと、そこまでMP消費が多い訳じゃないので【クリア】の使用は重くない。それよりも地図を描いて魔法を使っての地味な作業の方が厄介だ。中途半端なところで戦闘に入ると、終わった時に一瞬悩む。


 まあ、すぐに理解するから良いんだけど、何処をどう書いていたかを思い出せなくなる事がある。………さっきので4回目のゴーストだが、毎回<浄石>が出てるなら確定だな。ゴーストは【クリア】で倒すと、必ず<浄石>をドロップする。


 発見と言える程でもないのが何とも言えないけど、それでも儲かるだけいいか。



 ―――――――――――――――


 <ゴースト> 霊魂 Lv13


 現世において彷徨う霊魂。生者を襲うものの、打ち倒される事を望んでいる。浄化してやると……


 ―――――――――――――――



 鑑定さんにヒントというか答えが出てるからね。それに霊を浄化とか、よくあるネタだし分かりやすい。誰しもが発想する事だから自分の手柄とは言い辛いね。まあ、売れて儲かるから何でも良いんだけど。


 プレイヤーマーケットも名前を変えられるけど、僕の場合は同じにしてある。いちいち面倒臭いし、粘着されてもブラックリストに放り込めば済むからね。むしろ悪質な奴等を締め出せるので、願ったり叶ったりでもある。


 元々のブラックリストとプレイヤーマーケットのブラックリストは別なんだけど、紐付けする事は可能だ。だから僕は両方を関連付けて1つに纏める設定にしている。通常でもイベントでも、連中は僕に関わってくる事は出来ない。


 まあ、個人をブラックリストに入れるように情報を流したり煽るような奴も出てくるが、それをすると一発でアカウント凍結の事態になる。最近は法を厳格に適用するべきという声も大きく、それで凍結された奴もニュースになっていた。


 大規模に色んなゲームでやらかしていたりすると、VRマシンをネット空間に繋げる事すら停止させられる。よほど馬鹿な事をやらないと流石にそこまで行かないが。



 「何というか、楽ねえ。昔は【火魔法】とか【風魔法】で倒してたけど、本当にこいつら【浄化魔法】に弱いわ。あっさりじゃないの。楽で良いけど、つまらないわね」


 「じゃあ、ゴーストだけ【浄化魔法】で倒すよ。こいつら何故か確定で<浄石>を落とすみたいだからさ。他は確率みたいだし、魔力も結構減ってたんだよね」



 そう言った事で俄然やる気になった2人。もちろんラスティアとセナだ。次に出てきたのはゾンビ虎だったが、哀れにもボコボコにされて終わった。


 可哀想なぐらいフルボッコだドン! って感じだったよ。バチじゃなくてトンファーだったけど。


 そんな2人に前衛を任せつつ進むものの、14階への階段を見つけたところで時間が来た。本当に石壁迷宮は時間がかかるなあ。それでもレベルは上がったからいいけどね。


 ―――――――――――――――


 種族レベルが上がりました

 メイン職業:ネクロマンサー・下級のレベルが上がりました


 使い魔:ラスティアのレベルが上がりました


 召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました


 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました


 召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました


 召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 さて、そろそろタイムリミットだ。さっさと地上へ戻ろう。


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