0041・レア度10
魔物が居る草原を歩きつつ、僕はラスティアに聞く。どんな武器が良いのか、どんな武器を使ってみたいのか。僕としてのオススメは薙刀だ。あれ、女性用の武器というイメージがあるが、元々は武士が使っていた物だからね。
しかも遠心力で叩きつけたり石突を跳ね上げたりと、かなり変幻自在な戦い方が出来る。その分だけ扱うのは難しいのだが、使ってみると面白さが分かる武器だ。僕も長柄を使うが、これは当然勝つ為であり、その為に槍を使っている。
武士っていうとすぐに打刀をイメージするが、あんな物を戦場で振り回しても勝つ事は難しい。そもそも戦場で多く使われたのは長柄の武器であり弓だ。<BUSHIDO>でも矢や石が大量に降ってくるが、敵に近付かずに勝つのは基本となる。
当たり前だけど、敵の武器の殺傷圏内に入るという事は、低い確率でも死亡する恐れがあるって事だ。当然、低い確率でも排除しなければいけない。その為には長柄の武器を使うのが一番だ。敵の攻撃が届かない遠間から殺す、それが戦場では正しい。
「まあ、言ってる事は分かるし、当たり前の事だけどもねえ……それを堂々と言うってどうなの? 卑怯者とか言われるわよ?」
「なら古代の戦士始め、卑怯者だらけになっちゃうね。何より戦争なんて勝つ事が全てだよ。負ける事に何も意味なんて無い、負ければ蹂躙されるだけさ。卑怯だろうと何だろうと勝てばいい。どんな世界だって、どんな星だって、戦いとはそういうものだよ」
「まあ、それはね。とはいえ、若いであろうコトブキがそれを言うっていうのに違和感があるのよ。言いたい事は分かるし、当然の事なんだけどね。それって普通、何度も戦場を経験した奴が言うセリフなんだけど?」
まあ、<BUSHIDO>の世界じゃ、狂気に塗れた奴しかいないからねえ。僕も何度も見てきたし、たぶん狂気に塗れたんだとは思う。
ただ、あのゲームは教えてくれるんだよ。心底、奇麗事など見苦しいって。あそこには人間の本性がある。汚くて醜く、しかし間違いなく純粋なモノが。
あれは命が懸かっている戦場だからこそ、狂気の宴だからこそ出てくるモノだ。………よくよく考えれば、そんなものをゲームで再現してるって凄いな。本当にあのゲームを作り出した人達は頭がおかしい。僕は断言するよ。
そんな事を考えているとダンジョン街に到着した。僕達は早速見て回り、同じ物を購入していく。革鎧4200、指貫グローブ1400、革の剣帯2600、革の脛当て1900、鉄の鋲付きブーツ7800、鋲が付くと高いなぁ。
合計17900デルの買い物を終え、その後はブラブラと見て回る。武器類は僕の練習の為にも作って壊す事は決まってるんだけど、他に何か買う物はあるかな……? と思い、忘れていた水筒を2つに鞄を1つ買う。
更には防具を修理して貰う際に、ファルが解体道具を背負えるように出来ないかと思ったら、革のバンドを付けてくれた。なので採取道具の鞄にも付けてもらい、全部で5400デルを支払う。革のバンドがそれなりにするのかな?。
全て終わり、僕達はダンジョン街を出て<屍人の森>に帰る。またもや盗賊に襲われたが、あそこは盗賊に襲われるイベントが多発する場所なのだろうか?。
「へっへっへっへっへっ。ガキにはちょいともったいない女だな。オレ達に寄越してもらおうか? なぁに、テメェのケツを可愛がってくれる奴もいるぜ?」
「「「「「げへへへへ……」」」」」
「何かもうテンプレだなぁ……。よくいる盗賊ABCDEFって感じ。モブ盗賊なんてどうでもいいし、さっさと始末しようか? それにしても何でこうも盗賊に襲われるんだろう?」
「あー、ゴメン。多分だけど私の所為だわ。魅了を振り撒いてたかもしれない。とはいえ、魅了されただけじゃ盗賊行為なんてしないけどね。だからこいつらは普通に盗賊よ」
「成る程ね。じゃあ、皆。ブチ殺そうかぁ!!」
ボクは先制攻撃で石球を投げ、一番後ろで偉そうにしていた盗賊をブチ殺した。相変わらずだけど、こいつらも赤いドクロマークが付いているので殺して問題無し。今回のはラスティアの所為かもしれないけど、僕達にとったら臨時収入でしかない。
ファルは盾で流して態勢を崩し、脳天に棍棒を振り下ろす。その一撃で頭の上から血を噴き出す盗賊。セナを襲った盗賊は短剣で刺そうとするも、その手をヌンチャクで叩かれて落とした。その後、返す刀で側頭部を打たれ、倒れたところを滅多打ちにされてる。
ドースは【疾走】のスキルを使ったのか、一気に加速して体当たり。飛ばした後は頭を踏み潰して始末。フォグは【アースバレット】を連射してぶつけまくり、相手が倒れたら足を噛み千切った。タヌキも顎の力は強いんだなー。
ラスティアはフラフラしながらかわし、魅了したのか相手は棒立ちに。その後、短剣を奪って心臓を一突き。あっと言う間の早業だった。流石は元悪魔だと思える納得の強さだ。それにしても盗賊じゃ相手にならないねえ。
盗賊どもの死体が消え、リーダー格の奴の首と短剣などとお金が残った。赤いドクロマークだった以上、首が残るのは当然か。仕方ない、ゼット町の衛兵事務所に行かないと。賞金首にすらなれない盗賊なら無視出来るんだけどなぁ。
手に入ったのは11900デルと鉄の短剣5本に鉄の剣1本。たったそれだけだった。とりあえず確認は終わったので、さっさと移動しよう。
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僕達はゼット町で賞金を貰い、鉄製の武器は売らずにさっさと師匠の家に戻る。ちなみに賞金は40000でしかなかった。ちょっと凶悪なゴロツキ程度だったようだ。鉄の短剣や鉄の剣を売らなかったのはプレイヤーマーケットを思い出したから。
そこに鉄の短剣3つと鉄の剣を放り込み、知り合いに優先権を設定しておく。どうせ一時間しかない優先権だ、要らないなら買わないだろ。鉄の短剣2本は僕とラスティアの剣帯に付け、予備武器として持っておく。
ピロリン♪
うん? さっきの音なに? ………ああ、もう売れたんだ。ついでに鉄の剣を買ったのはユウヤか。師匠の所で鍛冶をしてるし、修理とかが出来るからかな? 6300で売れたけど、よくお金あったね。
「さっきの何? 鉄の短剣とか鉄の剣が空中に消えたのも変だけど、なんで何も無い所からお金が出てくる訳?」
「あれ? 見えてない? という事は師匠が特別なのかな。まあ、いいや。さっきのは稀人専用のマーケットを使ってて、物の売り買いが出来るんだよ。で、鉄の剣が売れたからお金が出てきた訳だね」
「へー、便利ねー。まあ、稀人専用であって私には使えないみたいだから、どうでもいいけど」
「何か欲しい物があれば、代わりに買ってあげる事は出来るけどね」
そんな話をしつつ石と枝を拾い、ファルに枝を払ってもらう。途中で師匠から貰った黒曜石の鉈が壊れたので、買っておいた鉄の鉈を渡しておいた。僕は木の棒を作りつつ薙刀を作り、刃の部分に石を被覆してラスティアに。
ラスティアは楕円形になっている柄を不思議そうに握っていたが、その後は自分で色々試しつつ振り回している。薙刀での<脇構え>や<霞構え>を教えつつ、適当にアンデッドと戦わせた。ちなみに性能はこうだ。
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<武器> 石と木の薙刀 品質:4 レア度:10 耐久120
石と木で作られた薙刀。この世界には存在しない武器であり、スキルとしては【長柄術】に分類される
攻撃力7 破壊力2
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あれ? このゲームには薙刀無いの? ………まあ、設定はされてるみたいだからいいや。とはいえ、この調子だと刀系も無さそうな気がする。おっと、ダメージが最低値しか出ないからかセナが倒したようだ。
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使い魔:ラスティアが【長柄術】を習得しました
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「あっ、【長柄術】覚えた。これで真面目に振り回せるね。しかし……これ重いけど、ちょっと面白いかも。遠心力で振り回すって爽快だし、叩きつけるのが楽しい」
何か他人の事言えないと思うのは、気のせいじゃないよねえ。……せっかくだから、このまま近接戦闘の道に引きずり込もう。いや、<BUSHIDO>の世界と言うべきかな?。




