第44話「今までで1番大事な命令であり、お願いです!」
習慣とは怖いもんだ。
邸の朝食のことが気になってしょうがない。クレア1人で大丈夫かな?
マアニャは俺が居なくて淋しくないのか? とか。
考え出すと今すぐにでも向かいたい衝動に駆られる。
「初めてですかね。こうやって朝食を2人で食べるのは……」
ミイニャは俺の並べたトーストにベーコンエッグ、それにサラダとヨーグルトを眺める。飲み物はオレンジジュース。
「そうだな。俺、遅刻はしてもサボることなかったし」
朝食はカフェで向かい合って食べることに。
「いただきましょう。戦をするにはお腹を満たしておかないとです」
「戦うの前提……」
食べ始めながら、俺はまだわからないマアニャの言っていたことについて、ミイニャに解答を求める。
「優斗君を早い時間からお邸には居させたく理由はわかりますよね?」
「いえ、全然」
「……余計な言い訳をしたくないからですよ。前に一度挨拶に出ようとして怒られたと言いましたよね?」
「うん……」
「優斗君がお姉ちゃんと一緒に居ればわかってしまいます。お姉ちゃんが誰を好きなのか、婚姻相手に知れたらまずいでしょ。邸の人ならわかっていると思いますよ。結構わかりやすいですし」
「えっと……それって……あいつが俺を好き……」
嫌いなやつとはキスしない=俺のこと好き……ということか。
「なんで被るんでしょう。その点についてだけは少しむっとします」
ミイニャは小さな口をちょっと尖らせた。
「……なんて言ったらいいのか。それであのメッセージは?」
それが一番重要なんだ。
「焦らないでください。あっ、良い味付けです。美味しい」
「そりゃあどうも」
「お姉ちゃんは私が優斗君を召使いにしたか聞いたんですよね。そして来るなと命令した」
「その通り」
「わかってるんです。私ならお姉ちゃんの命令より、私の命令を優先上書きしろ。と、そう契約するときに約束させるだろうってことが」
「……なんでそんなこと……」
「双子ですからね。困るときもありますよ、わかり過ぎてしまって」
「例のメッセージは?」
「そしくなかつ……ですか。小さいころ、二人だけに伝わる方法を色々考えました。その1つ、最も優しい暗号文です。ずらして読んでください」
「……た・す・け・に・き・て……助けに来て」
「ええ。恥ずかしいから暗号にしたんですよ。特に優斗君に直接頼むのはものすごく恥ずかしいんだと思います……お姉ちゃんは頼っています。妹でうんのよさが振り切れている私を。そして召使いである優斗君を。どうしますか?」
ミイニャは俺の言葉を、想いを口にするのを待った。
「そんなの決まってるだろ。俺は2人の召使いなんだ」
「ありがとうございます。お姉ちゃんのメッセージが命令みたいなものですが……」
ミイニャは食事の手を止めて、今までで一番真剣な顔を俺に向け、
「では、今から言うことは、今までで一番大事な命令であり、お願いです。私と一緒にお姉ちゃんを助けに行ってください! そして守ってください!」
「その命令、俺が命を賭けて全うしてみせるよ。安心しろ、召使いは強いんだぜ」
「はいっ!」
ミイニャは物凄くいいお返事をしてくれた。




