清張ホームと化学の幸福
1月1日 この日は僕、加美天照にとって新しい人生の始まりの日である。
なぜならば、僕の新しい夢、というより野望が決まった日であるのだ。
現在、僕は14歳。つまり中学2年生であり、あと1年もしたら、高校受験である。
だからなのかは知らないが、周囲にいる大人たちは、「こんにちは」より先に
「将来はどうする?」だとか「夢は?」などを聞いてくる。
僕はそういう時、大抵「公務員」と答える。
もし「研究員」だとか「医者」、「弁護士」とでもいうものなら「勉強しなさい」と言われるだけであり、「考えていない」とか「未定」と、思わず口を滑らしてしまうと、何故か「夢を持て」だとか、「志が低いからダメ」だとか、どこの修造さんなんだよっていう話だよ。
あんた達は、俺の何を知っているんだよと聞くと、「生まれてきたときからお前を見てきたといい」と父は言い、「私はお腹にいる時から」と母は偉そうに言う。
すると、横にいる叔父さんは「俺は名付け親だ」とこれまた偉そうに言う。
なら、もっとましな名前を付けろよ、と思う。
叔母さんは「あなたにお乳をあげたこともあるは」なんて抜かしやがる。
こんな事言うなら「あなたがお腹にできたとき近くで見ていたは」的なことを言えよ、と思う。
で、冷静に考えたらそれが1番やばいな、と考え直す。
とにかく、自分の人生だ。まだ、自分で飯も食えないくせに、と正論をきつい口調で言われたりもするが、働ける職場がないんだよと、反論する。俺が間違えているのは内心わかっているが、反論しなくては気がすまないのだ。
そんな時、ふと思いつた、神になればいいんじゃないかと。
第一の理由として、坊主丸儲けという言葉があるように、信者さえ集めれれば、儲ける事は簡単だ。
第二の理由は、俺はマジックがという事だ。もちろん、それだけではダメなこともわかっている。
第三の理由は、俺は話が異常に上手だという事。これと第二の理由である程度目処が立つ。
これを思いついたのが昨日の夜である。
こうなった今、僕はこんな名前をつけてくれた事を感謝している。
なぜなら、この名前が本名なら天照大神の生まれ変わりだと言えるからだ。
後は、友達に手伝ってもらおう、誰か良い奴はいるかなとでも考えていると、名案が浮かんだ。
クラスで5番目ぐらいに仲が良い、荒切八波にするという。
まず大金持ちであり、お小遣いも月5万だし、貯金も30万もある。(貯金に関してはこの目で見たから確かだ。実際は40万だったが)
次に、彼は母の影響で整体について知識を持っていることだ。
後々、そのことは役に立つと思うからだ。
協力者は決まったと思った俺は、即座にメールを打つ。
「あけおめ。実は俺、宗教やろうと思うんだけど一緒にやらない?儲かるよ。絶対。」
即座に消した。こんなのに了解する訳が無い。
「4日会わない?いいなら、時間と場所はお前が決めていいよ」
即座に送信した。
そして、最後の大物、宗教名について考えることにした。
思いつくままにメモ帳に書いていくことにした。
「幸せの人生」いずれ、選挙にでるだろう、という確信がある名前だが、ボツ。理由は述べない。
「清張会」たぶん砂の器に祈りを捧げることになるだろうな。もちろんボツ。
色々考えた末、「アマテラスの会」にすることにした。
俺は本名の天照をそのまま使うことにした。
そして、最後に初詣に行くことにした。まぁ宣戦布告ということだ。
そして、近くの神社に行き、お賽銭として、5円を投げた。
「僕を神にさせてください。」と神に祈る。なんともシュールだ。
冷静に考えれば、こんな願い、神様が聞き入れてくれる訳が無い。
まぁ、5円を宣戦布告代だと考えればよいか。いやどちらかというと登録料だな。神になるための。
そして、家に帰ると、八波からメールが届いていた。
「駅前のマックに午後3時」と短い文章だった。
なので、俺も「了解」と送った。文章ですらなかった。
1月2日 朝目覚めると、美しい空に美しい太陽があった。俺を歓迎しているのだと思った。
午前は暇だったので、箱根駅伝を見て過ごした。
5区にとても速い選手がいて、山の神降臨だと言われていたのが気に食わなかった。
なので家の周りを走ることにした。が。途中からしんどくなり、競歩の神を目指すことにした。
が、ダサすぎて辞めた。俺の2時間を返せと心の中で叫んだ。
家に帰り、しんどくなり、脱水症状になったと思い、すぐ寝た。
が、実は熱だった。こんなことに「実は」と付けるべきではないが自分のプライドにかけて「実は」を付ける。俺は神になるんだ。
1月3日 教団の中で使う暦を考えることにした。
か月 み月 て月 ん月 し月 よ月 う月で52日の月と53日の月がある。
自分でカレンダーを作り、完成したのを見ていると曜日がそのままなことに気づいた。
それを考えるのは後にし、風呂に入り、食事を食べる。
食事中に母がしきりに、「大丈夫」と聞いてくるので、ウザいと思い、半分ぐらい残し、自分の部屋に戻る。すると、カレンダーが破れていた。母が心配する理由もわかった。
今までの、俺なら、母へ怒り出すとこだったが、今回は我慢した。
教祖が些細なことだったら信者はおかしいと思うと思ったからだ。
天照は着々と準備していた。教祖になるためへの。




