案内されて........
ええっと 状況を整理させてほしい。
まず俺はルミゲルとこの町に来た時に別行動することにした。
まぁ理由は二人で一緒に行動しても効率が悪くなりそう。ということもあるが、ルミゲルがだだをこねたことがおおいにあるだろう。
結果。俺は迷子になった。
仕方ないじゃん!? 昔から方向音痴だって分かってたけどまさかこの世界でも変わらないし!!気付いたら路地裏に来てるとか思わないだろ!?
ナビはこのまま進んでいい。というから仕方なく進んでいると、フードを被った人がいた。
他に頼る者もいないので仕方なくそのフードの人に道を聞こうと声をかけると、「メトロドか!?」と人間違しているのか、何かと警戒されてしまった。
理由が分からず、ナビに聞くとそのメトロドという組織が関係していると言う。
そうこうしていると、何故か俺の目の前にそのフードの人が飛び込み、次の瞬間体にロープをぐるぐる巻きにされていた。戦隊特集かな?と幼稚な考えに浸っていた俺に急に謎の男達が襲いかかって来たので、仕方なくオリジナルスキルで気絶させた。
声が高かったしどこか子供っぽい声質とこの世界での俺より小さい体から女の子ということは分かったが、まさかこれ程の美人さんだとは到底思わないだろう。
にしても綺麗だなぁ。自分の姿と同じくらい可愛いんじゃないか?
そんな妄想のなか、目の前の少女は俺に迫っていた。
「ええっと....とりあえず場所を変えましょう。何かとここは危なそうだし.....何処か良い場所ありませんか?」
そう問う俺に少女は手を握ったかと思うと、俺を引きずるように走り出した。
なんとか足の脚力を上げて少女の速さに追い付くと俺は忙しく動く自分の足を見つめる。
.......本当に便利だな......このオリジナルスキル。
「俺の力を上げる?」
ルミゲルと俺、ナビはこの町に着く前にそんな話をしていた。
《はい。詳しく言うと身体能力の増加です。力で自由を手に入れる者。これを使えるようになれば好きな時にマスターの体の部位の力を増強することが出来ます。》
マジか、ってことは腕に使えば岩とかも持ち上がるのか?
《はい。それどころか、きっと隕石なんかも片手で止めれそうですよ。》
.....この細い腕で?
《はい。 スキルに細い太いなど関係ありませんから!!》
..........この世界何でもありだな。
《そういえば...コツは掴めて来ましたか?》
そのナビの言葉に俺は自分の体を見る。
きっとナビが言っているのはそのスキルを使う時の感覚だろう。
なんというか、スキルを使う時はそれなりのデメリットがある。
疲れる。 いわゆる疲労だ。
ナビから聞く限り、それはスキルを使うためにマナを払っている結果だという。
だがどう考えてもただ疲れたの一言で終われるような疲労だった。
前に要塞を登っていた時にナビから聞いたのだが、マナは命と同じと言って良いほどこの世界の生き物に影響を与えるようだ。まずマナはどの生き物の体にも存在している。生き物はそのマナを呼吸と共に吸収しているようだ。だが吐きはしないらしく、空気中にあるマナは様々な生き物に吸われるらしい。
ではどうしてマナは枯渇しないのか、理由はこの世界のこの星が関係しているらしい。
《この星の名はマナリング。マスターの世界の地球同様に自転をしていますが、その自転によってマナリングの中にあるマナが地上に放出されるらしいのです。》
つまりは、勝手にマナが下から湧いてるのか.....それってなくならないの?
《なくなりません。この世界には宇宙はあるものの、マナリングとアーストという星以外に天体はありません。》
ん? ない?
《はい。この世界の宇宙にはこの2つしか存在していません。しかしこの世界の宇宙は今尚、広がっています。それと同時にマナも増えています.......》
え?なんで宇宙が広がるとマナも増えるんだ?
《実は私でもその部分はよく分かっていません。何故マナというものがあるのか....何故2つの星しかないのか......》
「?」
俺達がそんな話をしていると、宇宙という言葉を聞いたことの無い首を傾げたルミゲルが沈黙し座っていたのでこの話は切り上げた。
そんな事をナビが取り入れているスキル 【瞬時記憶】、【整理】で振り返り、俺は意識を元に戻した。
「ここでならきっと大丈夫です。」
気がつくとまた深いフードを被った少女がある店の前に立っていた。
「ルルキレーナ?」
その店の名前をつぶやく。どうやら飲食店のようだ。
「では行きましょう!!」
そう俺を急かし、少女が俺の手首を掴み引っ張ると、
「早く払え!!!」
そんな罵声が聞こえて来た。
ドアを少しだけ開け、店内の様子を見る少女の隣で俺も覗き込む。
店内ではお客さんが多く、賑わっている........どうやらそういう訳では無いらしい。
カウンターを見ると顔に傷をつけた禿頭の男が向かい側の優しそうなお爺さんを怒鳴りつけていた。
「だから払えって言ってるだろうが!!!!!」
男がカウンターに手を勢いよく叩きつける。
その音で小さい子供が泣いてしまった。
「おい。くそじじい。早く金を払えって言ってるだろうが!!」
「で、ですが.......」
見た限りでは、お爺さんはここの店主のようだ。
少女の話では、長い間ゆっくりと払っていた借金を突然全て返済しろ。と男が言いに来たらしい。しかもこれで3回目だそうだ。なんでこの少女が知っているかは定かでは無いが........
にしても近所迷惑にも程があるだろう。
実質子供と女の子が数人泣いちゃってる訳だし........
「おい。俺は言ったぞ? 返済しろってな。なのになんで言うことをきかねぇんだ!!!!」
そう吐き、椅子をけたぐる男。
「で、ですが。返済は少しずつ払う約束では..........」
そして、慌てる店主のお爺さん。
絶対男が何かと悪い感じの集団に入ってそうだな..........
そう思っていると、ドアの少し前を先ほど男が蹴った椅子が宙を舞った。どんな不幸か、その椅子は食事中のある人の頭にぶつかり跳ねた。
木製だが椅子の役割を果たす物なのだからきっと硬くて重いはずだ。少女も戸惑いを見せている。が
「...............」
気付かないかのようにそのままフォークとナイフを使ってその人物は目の前の料理を食べていた。
痛くなかったのか?
そう思った瞬間だった。
「おいじじい。俺はメトロドと契約を結んでる者だぞ?さっさと出さないとお前のとこのお客さんがひでぇ目に合っても知らないからな?」
男がそう言ったのである。
男の手にはロープが握られていた。あれは俺が少女と会った時に投げられた物とそっくりだ。
少女はそのロープに気付き目を見開く。
「さぁって、俺のスキルでまずはどの女をやるかね〜?」
そう言い、舌をなめずる男。
そして、少女がドアを勢いよく開けたのと お爺さんがカウンターから出るのと同時にそいつは動いた。
「爺さん!!この料理美味かったからもっとくれ!!」
そう左手の皿を店主のお爺さんに突き出してそいつは言う。
灰色の髪にどす黒い目。顔に大きな傷を負い整った顔つきは何かと不気味さを感じさせる。服装は俺と全く同じ服装だった。
俺は見た直後に吹き出す。
あいつは見たことが........というより知ってる。
あの顔の傷が本物だと証明させる。
そうそいつ、灰色の髪の男は......
人間に化けたルミゲルだった。




