スキル番号NO,10 案内
「ピーヒョロヒョロピーガー!!」
そんな音が目覚ましのように感じ、俺は目を開けた。
上半身だけを起こし、その場を見渡す。
鼻をくすぐる甘い香り、空中を漂う大きな岩....大陸か?
そんなことは置いといて、俺は目を空中から地に移す。するとあたりには様々な色の花が咲き乱れていた。
黄色い花があれば 紅い花、 小さい花があれば、牙が鋭く 大きく獰猛な花........ん?
眺めている途中でその獰猛な花を二度見する。
牙を生やした.....牙.......なんで花に牙なんか生えてんの!?それに大きいし!!
《説) 個体名 ガブリルプランク 体長 2~3m 重さ 50kg 花の集まりや甘い香りのする物の近くに繁殖し近付いて来る生き物をその頑丈な顎と大きな口で飲み込み息の根を止めて捕食するモンスター。好物 肉全般。》
そんな声が聞こえ 俺は辺りを見回す。
誰もいない? だけど確かに今 声が...
《告)この声はご主人様のスキルの一部であり、人の声とは違います。 なお この声はご主人様にしか聞こえない物として発生された音波なので心配なさらずに。》
俺が考え事をすると再びそんな言葉が脳内で再生される。
やっぱり聞こえるよな。 ってかスキルってなんだ?
《説) スキルというのは、この世界の生き物に備わっている能力です。》
能力? っていうことはそこのガブリルぷらんく?ってやつもスキルは持ってるのか?
《説)いえ、スキルを習得出来るのは脳の大きい生き物だけで植物などにそのスキルは持ち得ません。》
へぇ。っていうか素直に受け取ったけど。ここってどこ?
《告)ご主人様.........個体名 藤原悠人 貴方は一度死にました。》
その冷酷な声が俺の脳内に深く刺さる。
成る程 俺やっぱり 死んでたのか。 じゃあここは天国?
《告) 否定。 ここは天国という 悠人様の世界の死者が辿り着く場所とはまた別の世界。 いわゆる異世界という物です。》
異世界.......って なんで俺がここにいるの!? 俺って死んだんじゃなかったのかよ!?
《告) 肯定。 悠人様は一度死にました。ですが.....悠人様のある行動から悠人様を輪廻の輪から除外するという命令が下されたのです。》
ある行動.....あっ そういえば あの後、どうなった!?
《説) あの後、悠人様の家族が現場に到着。 喜怒哀楽のいずれかの感情を垂れ流し、後に葬式という 死者を埋葬する方法を執り行うために現場を後にする。悠人様が助けた少女に傷はなく 葬式という物にも家族と共に参加していました。》
そうか。 ごめんな 皆んな。 すぐにいなくなっちまって。 あの子は無事だったのか 良かった。
俺は安心し、胸を撫で下ろそうとした時 違和感を感じた。
ん?.........あれ? まじであれ?
《?) どういたしました?ご主人様》
俺はその違和感に気付き両手を上げる。
............俺ってこんなに手のひら 小さかったっけ?
《告) 言い忘れておりました。》
その声に俺は一旦考察を止める。
《告)先ほど、私は悠人様が輪廻から除外された。と言っておりましたよね?》
あぁ 輪廻ってあのくるくる回る、人生がどうのこうのとかいうあれだろ? それがどうしたんだ?
《告)はい。 その輪廻は魂が古い体から抜け出し、新たな依り代に合成し、そして誕生して......という繰り返しなのですが。 悠人様ような例は初めてのことでつい元の体と違う体の依り代を間違えてしまい..........》
え〜っと........落ち着け俺。 つまり?
《告)男でも女でもない、人間でいう無性類という依り代に悠人様の魂を移してしまいました。》
............ってことは.....一生童貞?
《解)肯定》
............家族も作れない?
《解)肯定》
つまり..............
《............》
詰みじゃねぇかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!俺の人生!!!!!!!
《謝)申し訳ございません。》
あぁ もういいよ分かったよ。 もう今更言ってもしょうがないからこのまま生きていくよ俺は。
そう開き直り俺は自分の体を見る。
なぁ。 所でこの体つきって女の子に似てないか?
《解)肯定。 もともとその依り代は少女を作るために設計されていた物ですが、》
ですが.....なんだよ?
《解)この依り代がキャラクターと見間違えるほどの美人だったのでオーナーにボツにされてしまい、お蔵入りになったのです》
..........ま、まぁ確かにあの世界にキャラクターみたいな美人さんが出てきたら大変なことになるだろうしな
そう思い俺はふと考える。
「そういえば、お前ってどう呼べば言い?」
《?)呼ぶ.......とはどういうこ___》
「あとお前のそれ、やめろよな」
《???)それ? とは?》
「それだよ!!《解) とか《?) とか!! なんか機械みたいで嫌なんだよ!!」
《?) 何故です????》
「いや、どうせ話せるんなら機械じゃなくて人として喋りたいし、何せお前って結構声綺麗だしな」
《!?!?》
「ん?どうした?」
そう聞くとその声は激しく声が荒くなり始めた。
《!?)り、り、理解...ふ、ふ、不能!! き、綺麗....とは、は。 》
「お、お〜い。大丈夫か〜?」
そう聞くが向こうは向こうでどうやら俺の褒め言葉に混乱しているらしい。
俺はそう
考えるとその声に言う
「おい、ナビ。 そろそろいいか?」
《..........なび?》
「お前の名前だよ。ナビ。 いろいろ教えてくれるし助けてもらうかもしれないからな。」
《....ぷっ。 あははははは》
そう言うとナビから笑い声のような声が聞こえてきた。
《ははは。 ふぅ すいません。スキルなんかに名前をつける人なんか初めて見たもので.....》
そう聞くと俺は少し口元を緩め再度口を開く。
「俺の名前はフジワラユウト。 25歳の独身。 ただのサラリーマンだった。 お前は俺をマスターだなんて呼ぶけどユウトって言っても構わないぜ。 よろしくなナビ!!」
《........はい。 スキル番号 NO,10 スキル名 案内 マスターを守り、目的の道へとご案内する者です。ナビとお呼びください。マスター!!》
「これからも宜しくな。」
《はい!!》
こうして俺は初めてのパートナー。ナビと出会った。
そしてこの出会いがこの異世界を大きく回転させる歯車の動力源となる。




