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パワー・オブ・ザ・ワールド  作者: アカ ハル
亜の地の町
10/23

ルルキレーナにて......

「お、お客様!?」

店主のお爺さんが凄く動揺している。

そりゃそうだ。

今までずっと怒鳴りつけていた男との間に入ってきた人物の最初に言う言葉が「もっとくれ。」だったからな。

「おい、てめぇ!!何入り込んでんだ!!お前みたいなのはすっこんでろ!!!」

男が手のロープを振り回し激怒している。それに対し、

「ん? あぁ、お前さんがおかわり先だったのか、しかしこの世界は弱肉強食じゃ。悪いが儂が先に頂くぞ。」

ルミゲルは空気を読まず爺さんに皿を突き出しおかわりに目をときめかせている。

(うわぁ。なんだろこの状況。なんかルミゲルがやらかしそうだなぁ。)

そう思いつつ、俺は少女の隣で3人を見守る。

少女はその青い瞳で男を睨んでいる。

「何ほざいてやがるてめぇ!!!」

とうとうルミゲルの言葉でキレたのか、男はそのロープをルミゲルに投げつける。

1メートルもない間で男は【拘束】を使ったようだ。

これは当たる。

男もみんなもそう思っていた。しかし


「ん? なんじゃ? お主 どうかしたか?」

聞こえたのは呻き声ではなく、驚いたような声。

「え?」

男がそんな声を漏らす。

ルミゲルに向かったロープは反応せず、ルミゲルに当たると抵抗もなく床に落ちた。

「「「「!?」」」」

みんなが驚愕しぽかんと口を開ける。俺を除いて。

「用がないならもうよいじゃろ? 儂はさっきのがまた食いたいんじゃ。 爺さん。はよくれ。」

よほど美味しかったのか、しつこくお代わりを要求して来るルミゲルに我に帰った男が近付く。

「て、てめぇふざけやがって!!お前なんかぶっ殺してやる!! お前ら!!!」

そう言い男が手を振り上げると、どこからともなく十数人の覆面の者達が現れた。

(あの格好.......俺に襲いかかってきた仮面の奴らと同じだな。しかもどこから湧いて来たんだ?)

「やっちまえ!!!」

その言葉と共に仮面の者達が一斉にルミゲルに襲いかかる。


が、




『やかましいぞ。 この貧弱な人間風情(こしぬけども)が。』



目を見開きそのドス黒い瞳で集団を見据え、一瞬だけルミゲルの後ろに魔王ルミゲルの幻影が現れた。

その声はあの檻に閉じ込められていた時のようにおぞましく重い重低音。

ガラスはヒビ割れ、泣く子は黙り、机はへし折れ、仮面の者達はある者は泡を吹き膝から崩れ、ある者は床に突っ伏し、ある者は立ったまま気絶していた。

唯一、集団の中で意識を保っていた男は腰を抜かし身体中を震わせていた。

その男にルミゲルは近寄りその男の数センチ手前のところで止まると。

『お前は儂を不快にさせた。 じゃから貴様をここで殺す。」

その言葉にびくりと体を震わせる男にルミゲルは手を振り上げる。

するとそのルミゲルの手には炎の塊のようなものが突如出現した。

(あっ、これはまずい。)

そう思い少女の横を通り俺は前に出る。


「オルグ・ザ・スターネイト!! 放出!!焼き殺せ!! グラッ........」

「おい何やってんだ!!!!ここの店 燃やすつもりか!!!!」

「ヘグッ!?」

俺がルミゲルの頭を叩いたお陰でルミゲルは変な声とともにスキルを止めた。

突然のルミゲルへの攻撃にみんなの視線が俺に集まる。が

今はルミゲルのことで手一杯なのでそんな状況は知ったこっちゃない。

「おいユウト!!痛いじゃろうが!!儂はただおかわりが欲しかっただけじゃぞ!?」

「だからって店ごと燃やす必要ねぇだろ!!」

頭をさすりながらルミゲルがそう言うのを俺は切り捨てる。

「そんなのぐらい調整できるわ!!」

まだ引き下がらないルミゲルに俺は言う。

「焼き殺すほどの火炎で店が燃えないわけがないだろう!!それにお前は金は持ってんのかよ!?」

「................」

「おい。目をそらすな。」


「あ、あのう.......」

その声に俺とルミゲルが振り返ると。

頭を下げた店主のお爺さんの姿があった。

「今回は本当にありがとうございました。なんとお礼をすればよいか.......」

「お礼くれるのか!? じゃあこの飯のおかわr.....」

そう言うルミゲルの口を塞ぎ俺は口を開く。

「いえいえ、いいですよお礼なんて。 ただ俺たちは困ってる人を助けただけなんで。」


《マスターは何もしていませんでしたよね?》


いや、その.....ね? ほら頭にきてたルミゲルの攻撃防いだじゃん?


《あまり活躍なされていない気がするのですが......》


.........小さいことは気にしないのが俺のモットーだから!!


《.......》


よし。ナビのパイセンも納得してくれたことだし話を戻そう。


《.........してませんよ》


なんかボソッと聞こえたが俺は気にしない。


「ですが何かお返しさせて下さい。 あなた達のお陰で店とお客様が無事でした。せめて少しでもいいので....」

その言葉にルミゲルが目をときめかせながらわくわくしていることに気付く。

まぁ、今回はルミゲルが活躍したしな。

「じゃあこいつ。 ルミゲルになんか食わせてやって下さい。ここのお店の料理が気に入ったみたいでして。」

それだけいうと 分かりました。とお爺さんが下がり、控えていた定員の人がルミゲルに席を案内し始めた。

俺もついていこうとすると........

「爺。無事だった!?」

さっきのフードの女の子の声が聞こえてきた。

そういえば俺 あの子に話を聞こうとして(ここ)来たんだった。

その子を呼ぼうと口を開き、硬直する。

「お嬢様。 面目ございません。 ここの店も奴らにつけられこのような事態に.....」

「うんうん。爺は悪くないよ。私のせいだって.....」

「お嬢様......」

それを聞き言葉が出てこないのかお爺さんの口からはそれ以上口を開かず女の子を見つめている。

女の子はひたすら(うつむ)き何かを堪えるような仕草をしていた。

俺は予想以上に大変なことに巻き込まれているかもしれないとその時に思い知った。



「ごめんなさい。無理やり連れて来たのにこんなことに巻き込んでしまって.....」

そう言い俺とルミゲルの反対側の席で俯くフードの女の子。

「いやいや、大丈夫。俺たちは困ってる人は助けたいからね。気にしなくていいよ。それよりルミゲルがさっきから恐ろしい量を食ってるんだけど大丈夫?ここの在庫とか。」

俺がそう言う中、ルミゲルは黙々と次から次に来る料理を平らげていた。

「それはきっと大丈夫。ここは結構人気のお店だから在庫も普通の飲食店とは量が全然違うんだよ。」

へぇ。と思いながらルミゲルを見た時だった。

「うむ。 美味かった!! 満足じゃ!!」

そう言いルミゲルが目の前の水を取り、それを一気に飲み干した。

「そういえば名乗ってなかったね。 俺の名前はユウトって言うんだ。この町には今朝来たばっかりで分からないことが多くてな。それで君に道を聞こうとしてたんだよ。あの時はごめんな。」

俺の言葉に少女は首を振る。

「あの時はこちらもすみませんでした。勝手に疑ってしまい、しかもこんなところでまた厄介なことに巻き込んで.......」

「それについてはもういいよ。それに俺はあいつらがあんま好きじゃなかったし。」

そう言い笑うと少女も少しだけその暗い顔を上げる。

「あっちなみに俺の隣にいるのが........」

「ルミゲルじゃ!! 儂の名、かっこええじゃろ!!!」

そう言いポーズをとるルミゲルの姿は明らかにかっこいいのかけらもなかった。

俺と少女は苦笑いを浮かべるしかなかった。


「私の名前はスーリア。ここには昔から住んでるから町のことについては誰よりも詳しい自信があるわ。」

「宜しくなスーリア。 早速話に入るのけど。」

俺はいつになく真剣な表情のまま問う。

「あのメトロドって奴らは一体何なんだ。」

ルミゲルの威圧の後、俺たちは気絶していたメトロドの奴らを拘束し、取り押さえていたのだが。突如

メトロドの奴らはその場から消えたのだ。

ナビの話だとスキルの中に瞬間移動やそのような該当のスキルはないようだった。

それにスキルは気絶など気を失っている状態では必ず使えないと言うことも聞いた。

考えられるのは、スキルを超えるスキル。 オリジナルスキルの存在。

それを聞くとスーリアは顔を上げ、俺たちにその真剣な表情のまま言う。



「彼ら、メトロドは。5年前、突如町に現れ その集団全員が何らかのスキルを持ち人を襲う。人類の反逆者達です。」

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