PR.2 うらない
私、ソプラテス=クライオットは「ネディーヴの民」。
両親からは、そう教えられて生きてきました。幼き頃はローヨ圏に在住しており、そして小学生になる頃には、メルカの国で、友達付き合いを許されることなく、独り寂しく過ごして参りました。
我々、ネディーウの民は占いが得意らしいです。それゆえ世界中を巡り、高額で富裕層の方々を占い、そしてお金を稼いで暮らしてきたんです。あぁ、占いといっても、世間一般に認知されている「タロット」だとか、「星」を用いた占いとは少し異なっていまして……。
我々が行うのは、対象となる相手を見た後に目を瞑り、その「場所」と「時」をイメージする。ただ、これだけのことです。言わば「想像予言」。
使いこなすことが出来ればとても便利なものなのですが、私はまだまだ半人前。なんと「曖昧なもの」が脳裏に入り込んで来ることもあるんです。占いをやっていなくともモヤモヤと現れます。これがまた困り物で……。
モヤモヤと表れたときだけでなく、占ったときは「私自身にすら関わる」ものが数多く存在します。
何故なら、それこそが占うことによる対価だからです。「未来という事象」に触れるのですから、自分も関わることになってしまうんですよ。完全に当たるなんてことはまずありませんが、一回に思い浮かべたもののうち、大体七割当たるのが相場です。私がコントロールできないのがいけないのかもしれませんが……ね。
今日もまた、適当に暇を持て余している時、モヤモヤと何かが思い浮かびまして……。
「……水害……ホログラム……グラタン……星の統治……赤の悪魔……新たな支配者……集いし戦士……夢空の少女……擬態……幻想……」
これらが出てきた後、最後にノイズが軽くなり、よりはっきり分かる文字が表れたのです。
「世界……に……集い……し……星屑……チルドレン……?」
……まるで意味が分かりません。かといって自分が関わるであろうことなのに、指を咥えて何もしないのではたまったものではございません。しかも、しかもです。「支配者」なんて単語が出たんですから。「夢空の少女」といい、「星屑チルドレン」といい、一体何を示しているのか気になって仕方がありません。
……かと言って、どういった行動を起こせばたどり着くのか、それが皆目見当もつかないのですから焦りと苛立ちを覚えます。こんなことは初めてでしたよ。
どうすればこれらの意味を理解できるのか。
どうすればヒントに近づけるのか。
それを考えながら、私は旅に出ました。
父母は既に持病で他界していましたので、特に誰に断りを入れることもなく、メルカの国から出国しました。野を越え山を越え。ある日は川を、ある日は海を渡り……。様々な国を渡り歩いてきまして、その結果やっとこの国、日本へとたどり着いたんですよね。
そうして日本を旅していく内に、偶然出会ったのが、「夢空家」だったというわけですよ。




