表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恒星未来伝―Protect Your Eterein―  作者: くろめ
心優しき緑髪
29/64

そのG-3 ゲームで学ぶ、ステータス【後編】

 その後、僕は朝倉さんの手によって歩き続けました。そして、色々なモンスターたちと出会いました。ちょっと怖い外見だけれど、実はとっても臆病な子。不思議な形だけれど、しっかりとした意志を持った子。そして、おっとりとした外見・性格とは裏腹に、とても力強いパワーを持っている子もいました。彼らは傷つけることなく、全員と、手を振って再会を楽しみにするほどの仲になっているのです。お友達が増えているのです!

 何度か戦いを重ねていて分かったのですが、僕は戦いで、誰かを傷つけたいとは思わないのです。だからこそ、沢山お話をして、モンスターの心の内を理解して、その傷を癒してあげたいと思ったのです。戦わずして、むしろ相手に利を与えて勝利するって、お互いに幸せな気持ちになれるからいいと思うのです。


『ほほう……なるほどなるほど』

 歩いている最中、朝倉さんが突然呟きました。

「え、どうしたんですか??」

 僕が言うと同時に、後ろをついて来ている『ミュリン(僕が名付けました)』も「みゅ~?」と言いました。シンクロしているみたいで、なんだか楽しいのです。

『能力値の欄を開いてごらんなさい』

 一体何かあるんでしょうか。僕は、はいと返事をして……。

 目を瞑り……念じて……。

「出ろー!」

「みゅー!」

『君たち仲いいなぁ……』

 確かにこれまで数時間ほど歩いて(走って)きましたが、その間に、僕とミュリンは随分と意気が合うようになりました。言葉なんて無くたって、この子の言葉なら解るのです。

 そして目の前に表示された画面を見て、僕はビックリしたのです……。

 何故なら……。


アルトリア レベル4

 HP       10/35

 DP        0/30

 こうげき     12

 ぼうぎょ     24

 まほう      2

 まほうぼうぎょ  2

 すばやさ     45

 すたみな     8

 せんす      5

 なちゅらる    127


「えーっと……どういうこと、でしょうか……」

 僕には数値の意味が理解できないので、できれば解り易い解説が欲しいと、申し出ました。

『前回、なちゅらるがどのぐらいだったか、覚えているかい?』 

「ええと……前回見たときは、確か85だったと思うのです」

 実は一番高い数値でしたので、良く覚えていたのです。

『そうだねぇ。では、何故上がっていると思う?』

「うーん……。分からないのです……」

「みゅぅー……」

 分からなくて思考が止まりかけていた僕には、ミュリンのねじれた耳がクタクタのよれよれになっていたのが、可愛いなぁと思ったのです。

 ……逆を返せば、それ以外の思考が出来なかったおばかさんなのですが……。

『これはね、自然をどれだけコントロールできるのかってことなんだ』

「……自然。」

 この「自然」という言葉に、何か引っかかるものを感じたのです。ここ最近にあったことではなく、もっと奥深く……。それは、今僕の記憶に無い「なにか」だったのです。

『モンスターだって自然の一部だ。なんせその世界で暮らしている生物なのだから、命であるのだから、当たり前だね』

「そうですね……」

 何故か、いつもなら難しく感じられる朝倉さんの言葉遣いですが、何故か「自然」の話となると、非常に良く入ってきました。

『それを愛する心がある君であるから、このなちゅらるの伸びが良いのだろう』

「……ということは、それ以外のものはあまり得意ではないということなのでしょうか」

『そういうわけではないさ。単純に、今回の戦いの中では使わない能力だったからこそ伸びていないだけだろう……とここまで話してきたわけだが、ここまで理解できたかな?』

 いつにも増して真剣に聞いた僕でしたが、やはり自然が絡むと理解が早いようで、ここまでのことは全て簡単に理解することができました。僕とミュリンが頷くと、朝倉さんは『やっぱり仲がいいな』と何故か切なげな声でおっしゃったのです。

『いやはや、しかし……』

 朝倉さんは僕に考える隙を与えないためか、直ぐに話題の転換を行いました。

『これでようやくゴーグルの説明の続きができる……。今君が見ているこうげき、ぼうぎょ、まほう……といったもの。これが言うなれば、『波長』だ。ここまで分かるかい?』

「あ……!! ようやく、何を仰りたいのか……理解することができたのです」

 少し理解が進めば早いもので、言いたいことや、伝えたいことが、なんとなく解るようになっていました。

『どれ、言ってみてごらんなさい』

「この波長は、段々と努力して力をつければつけるほどに大きな波になって、その波を総合的に判断して、レベルというものが付く……ということでしょうかね?」

『おお、素晴らしい! ほとんど正解だねぇ』

「むひゅ?! んみゅぅう!!」

 僕に代わって、ミュリンが喜んでくれました。なんていい子なのでしょう……。僕はそれ以上に気になっていたことがあったために、あまり喜ぶ事ができませんでした。

 ……それは。

「これ、申し上げている途中で思ったのですが、朝倉さん……。説明回りくどいのですね……」

『そりゃそうさ。言葉で分からなかったなら、身体を使って理解したほうが、物分かりもよくなるだろうし丁度いいからね。あえてだよ』

「そうだったのですね……まさかここまで長い行程を経ることになるとは……」

『はは、すまんすまん』


 こうして、少し回りくどい朝倉さんのゴーグルについての説明が、やっと終わりを迎えたのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ