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リーングラードの学び舎より  作者: いえこけい
第三章
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臨時教師はかくありき

 対策会議で決定した『補充教師にまさかの試験官と生徒を投入する』という暴挙は、


「発案者なのだから意地でもレギンヒルト試験官に是と言わせてこい」


 とシャルティア先生に認められ、脅されました。

 えぇ、言いだしっぺですしね。

 それに他の誰より自分が言ったほうが成功率は高いでしょう。


 夜分にも関わらず【貴賓館】を訪れると、老メイドさんが応対してくれました。

 迷惑をかけている実感はありますが、一礼だけしてレギィの部屋へ。


 突然の来訪なのでドレスも着れなかったレギィがベッドに腰掛けていました。


 ネグリジェ姿に薄いシルクのケープを肩にかけたレギィは、薄い霧でもまとっているかのように見えました。

 夏の夜の暑さ、うっすらとレギィの肌に浮かぶ珠の汗がお香のように甘い匂いを漂わせていたからでしょう。


 無垢な白肌にうっすらと桃色の頬に流れる白金の髪、細い眉、輪郭の全てが人形のように在りながら色香を通わせ、気品として昇華されていました。


 まるで夢幻にしか咲かないしとどと蒸れる華――のように見えるのですが、今の自分はかなり焦っているのでスルーです。

 色香があってもレギィはレギィですからね。


「ヨシュアン、このような夜分にどうしたのですか?」

「レギィ、お願いがあります」


 掴みかかるように肩に手を置き、まっすぐレギィを見ると落ち着かない様子でした。


「こんなことを頼めるのはレギィしかいません。レギィでないとダメなんです」

「その、ヨシュアン? 求められるのは嬉しいのですが……、いえ、嫌というわけでなく心の準備が……」


 レギィは桃色だった頬を薔薇色に染めながら呟いています。

 肯定的な意見だと判断します。


「私はヨシュアンを拒みはしません。ですが、せめて言葉にしてください」

「そうですね、大事なことですからハッキリと口にします。心して聞いてください」

「……はい」

「教師になってください。二日ほど」

「わかりました……え?」


 パチパチと目を瞬かせているレギィ。

 これはわかっていませんね。


 でも返事しましたよね?

 言質は取ったも同然です。


「あぁ、良かった良かった。これでなんとかなります。ありがとうございますレギィ。それではこれで」

「……ヨシュアン? もう一度、言ってもらえますか?」


 ものすごく静かな顔というべきでしょうか。

 別名、目が笑っていない笑顔。


「だから教師になってください。キャラバンの荷物が大量に搬入するらしく【試練】対策の調整に教師が足りない状態なんですよ。レギィなら術学の座学くらい簡単にできるでしょう? 試練官が教師をしてはいけない規則、そして教師を補充してはいけない規則もなかったはずです。お願いします」


 以前、教師の交代を要求した時、学園長に色々と言われましたが後日、調べてみたら、臨時で教師を交代することは可能でした。


 つまり学園長……、嘘ついてました。

 しかし実際、自分が要求したのは教師役の降板だったので、学園長の言葉は正しかったりします。

 臨時教師との交代は良くて降板はダメなんですよね、何故か。


 たぶん学園規則ではない何かで退職が禁止されているようです。

 臨時教師も期日が決められているようです。


「……そうですか。ところでヨシュアン」

「受けてくれますか?」

「おすわり」


 強烈な加重干渉になすすべもなく顔面から床に叩きつけられました。

 手加減がなかったですね、今の。


 その上からさらに加重……ん?

 妙に柔らかいんですけど。


「ヨシュアンはどうしてそうやって女性を辱めようとするのです」

「誤解です。ちゃんとお願いしてましたよね?」

「勘違いさせたいとしか思えませんっ」


 えー、現在、何故かレギィに腰掛けられています。

 何故でしょう。しかも背中を撫でてきます。


 その手が心臓の位置で止まりました。

 触れたら違和感があるのでしょう。


 デザインYシャツからは見えない傷。

 しかし、触ればそこだけ違和感があります。

 まるで背中から槍で突かれたような傷ですが、前にはそれより大きな傷跡があります。


 心臓を貫いた傷。

 革命軍医のハイマン曰く、心臓を内源素でカバーしたから生き残れたとされる傷です。

 そして、大事な人を守れなかった証。


 もっとも罪深い傷です。


「……確かに言うとおり、試練官が教師をしてはいけない規則はありません。ですが良いのですか? 私がもしも――貴方が嫌いな貴族の『私』が故意に間違いを教えるとは思わなかったのですか?」

「その時は二度と姿を現さないつもりです。リスリア王国、いえ、大陸を出るでしょうね」


 自分でも意外な言葉でした。

 レギィを殺すでもなく、貴族を滅ぼすでなく、その選択を口にしたことが何より驚きでした。


「ダメです。そんなの……」

「いや、レギィさん? 聞いてきたのは貴女ですからね?」

「そんなことをしたら、ヨシュアンを【未読経典】で監禁します」


 ちょーこえぇです。マジでブルってきました。


「………」


 何故、そこで「それもいいですね」的な沈黙をするんですか。


「持てる全力でそんな未来は排除します」

「……わかっています。ヨシュアンが本気を出したら私の【未読経典】くらいでは止められないことくらい知っています」

「そういう意味じゃありません」


 本気じゃなくても監禁されてたまるか。


「私はもうヨシュアンを裏切りたくないのです。でも……」


 話の途中でドアがノックされました。

 自分は気配で気づいていましたがレギィは武術の素養がないのでわからなかったようですね。


 浸っていたレギィが現実に戻るのとドアが開くのは同時でした。


 老メイドさんは男性に腰掛ける主というシュールなものを見ても動じず、水差しをテーブルに置いて「ごゆっくり」と声をかけてくれました。


「違うのです婆やっ!」

「私は何も言っておりません」


 冷静に一礼する老メイドさんは地味に胆力ありすぎです。

 一方、レギィは立ち上がり、加重干渉も解けました。

 冷静さを欠いてますね、レギィさん。


「ただ、幼少の頃はあんなに人見知りの激しかったお嬢様が、今では男性に腰掛けることも厭わなくなるほど成長したのだと思っただけにございます」

「これはその、ヨシュアンが……」

「そうでございますね。ヨシュアン様はお気遣いのできるお方のようなので、そうそう手を出されるようなことをなされないのでございましょう。意中の殿方が中々手を出さないので心配性のお嬢様の気が逸るのも無理からぬこと」

「婆やっ」


 散々、デリカシーがないと言われ続けたので老メイドさんの言葉が新鮮に聞こえます。

 たぶん、プルミエールのことを気遣ったり聞いてみたりしていたのが老メイドさんの好感度を上げているのでしょう。


 なのにリィティカ先生の好感度が上がらないのは何故でしょう?

 解けない謎です。


「どうして婆やがそのことを……」

「乳児の頃よりお仕えしておりましたら、そのくらいはわかろうものでございます」


 あぁ、この老メイドさん、レギィの乳母だったようですね。

 なら老メイドさんからすればレギィは子供か孫みたいなものです。


「ヨシュアン様。どうかお嬢様をよろしくお願いします」

「えー、それはですね」

「存じております。お嬢様を受け入れがたいのでしょう」


 なんで存じておられるんですか。


「貴族と平民。男性貴族ならばない話ではないのでしょう。しかし、お嬢様が貴族でヨシュアン様は平民。身分の差を感じるのでしょう。そしてお嬢様のご身分を考慮すれば受け入れ難くも当然にございます」


 身分以外の問題の方が大きいんです。


「ですがお嬢様が幸せであるのなら。幸福でさえあられるのなら身分の差など。その気になれば抜け道などいくらでもございます」

「申し訳ありませんが貴族になる気はサラサラありません」

「左様でございますか。出過ぎた真似をお許しくださいませ」


 それ以上は踏み込まず、老メイドさんは一礼して部屋から出て行きました。

 少しのやりとりだけで色々と見透かされている感じはベルベールさんに通じるところがありますね。


 ベルベールさんのアレは読心術のせいですが、老メイドさんは経験則なのでしょう。

 老女、侮るべからずです。


「とにかく教師の件は受けてもらえると助かります」

「……はい」


 老メイドさんとのやりとりのせいか顔が真っ赤なままのレギィでした。

 親が子供の交際に口を出してきたのと同じ気分ですかね?


「さすがにこれ以上は残るわけにもいかないのでもう帰ります。詳しいことは明日の放課後ですね。教師をしてもらうのは放課後ですから」

「ヨシュアン。もしも……」


 答えを待たずドアに手をかけた瞬間、後ろからレギィに声をかけられました。


「私が貴族ではなかったらっ」

「貴族の『レギィ』が自分と手を繋げることを信じている、そう言ったじゃないですか」


 一時の感情で捨ててしまえるほどレギィにとって領地は軽くないでしょうに。

 レギィもわかっているからこそ、それ以上の言葉はありませんでした。


 依頼もできたので後はエリエス君とキースレイト君に事情を話すだけです。

 レギィの補佐についてもらうとして後は……、と思ったら何かを忘れていました。

 その忘れ物を思い出したのは自分が社宅に戻った時のことです。


 ドアを開けると二つの小さな並んだ光が凝視していました。


『ごはん……』


 頭に響くモフモフの声に思い出しました。

 あ、そういえばモフモフに晩御飯、作っていませんでした。

 遅くなるとも言ってないです。


「ちょっとくらい我慢するか狩りに行ってください狼でしょうに」

『それはできない』


 森の賢狼が飼い慣らされてしまいました。

 これって自分のせいでしょうか?


 それに、やらない、ではなく、できないとはどういうことでしょうか。

 あまりにハッキリ言うので、つい聞けず仕舞でしたがこれも聞かねばならない匂いがします。

 ここまで考えて、思考を棚上げしました。

 あまり待たせると自分が餌になる可能性もあるので、急いでご飯の支度をしました。


 獲物を狙う狼の目を背中に受けて、ちゃんとご飯、作りましたよ?

 ちょーこえぇです。


 そして眠ったら次の日。

 早朝からモフモフを連れて出勤し、途中で生徒たちの寮に寄りました。

 心苦しいのですが、管理人さんにはモフモフのお世話をしてもらいたくて訪れたのです。


 自分が説明すると管理人さんはホヤホヤした顔で快く引き受けてくれました。

 動物好きそうな感じですものね。


 出勤したらしたで放課後用のテスト教材を作っておきます。

 なるべくレギィたちに負担がかからないように、予め問題を作っておけば後はレギィたちは解き方を教えるだけで済みます。

 エリエス君たちもそれなら立派に臨時教師を勤められるでしょう。


 その日、キャラバンはお昼頃に到着しました。

 シェスタさんがすぐに慣れない足で出迎えます。

 商人たちの手を借りれば、シェスタさん一人でもやれる部分はあるでしょう。

 少しでも検品を終わらせておこうとしているのでしょう。


 一方、自分はエリエス君とキースレイト君を職員室に呼びました。

 呼ばれる理由がわからない二人は、応接室を探るような目で見ています。

 滅多に見ないですものね。


 目の前のソファーに座らせ、本題に入りましょう。


「さて、君たちは【模擬試練】で優秀な成績を収めた二人です。エリエス君もキースレイト君もクラスメイトに勉強を教えたことくらいあるんじゃないでしょうか」


 鷹揚に頷くエリエス君。

 エリエス君は参礼日にセロ君の勉強を見てましたからね。

 実績はこの目で確認しています。


 一方、キースレイト君とはあまり接触がないのでこちらは勘です。

 ピットラットクラスが総じて良い点数を取っていたのでもしかしたら、と思ったのです。


「上に立ち、また優れたる者として施しは当然です」


 キースレイト君は学園生徒である立場、そして貴族である立場、両方を矛盾なく心に留めているようです。

 キースレイト君は良い跡取りになれるかもしれませんね。


 願わくば『自分の敵』にならないように教育していきたいですね。


「そんな二人に【試練】前で申し訳ないんですが、不合格者と成績の低かった合格者の面倒を見てもらいたいのです」

「……それはセロにしたようにですか」


 頷くとエリエス君もキースレイト君も少し考えていました。


「それで、我々に利益はあるのでしょうか」


 キースレイト君がまず自分の意図を探ろうと質問をしてきました。

 いいですね。素直に頷くだけでなくて。


「教える範囲はちょうど【試練】範囲ですから復習になります。内容は術学の座学です。それと少し違った見方からの経験は君たちの糧になるでしょう。とはいえ報酬もないのに仕事をするのも嫌でしょう。生徒会ですら報酬が出るのですから、これも一つの生徒会活動だと思ってください。もちろん普通では出ない報酬です」

「普通ではない報酬ですか」

「金銭ではない、ということです。そうですね……」


 少し天井を仰ぎました。

 金銭でも良かったかもしれませんが、それでは少し魅力がありません。


 自分が提示できる報酬は術式具か学習要綱にない術式くらいでしょうか?

 リィティカ先生なら特殊薬品のレシピ、ヘグマントやピットラット先生なら奥義を教えてくれるかもしれません。


 アレフレットなら秘本の一つや二つ持っているでしょう。

 シャルティア先生は……、予算から物資を出してきそうです。

 キャラバンの商品を無料で何か一つもらえるようなものです。


「報酬を聞く前にそれは強制ですか?」


 エリエス君がじっと見てきます。


「いいえ。あくまで依頼です」


 つまり、臨時教師の仕事は先生に言われたからでなく、エリエス君の自由意思に任せるとちゃんと示しました。

 特殊な生徒会活動だと理解したのでしょう。

 エリエス君とキースレイト君もどこか弛緩した空気を纏わせていました。


 先に警戒するあたり、思考力も順調に育ってきてますね。


「代わりに時間を奪われる、ということですか」


 今、キースレイト君の頭の中ではこの応酬の利益を計算していることでしょう。

 自分たちが勉強する時間を他の生徒の成績アップに繋げる代わりに、何か特殊な報酬をもらえる。

 【試練】に不安を抱える代わりに、他にない経験を持てる。

 そのどれもが通常授業や生徒会活動ではないものです。


 選ぶのは生徒たち。


 そう考えるとやっぱり気になるのが報酬の中身です。


「報酬を聞かせてください」

「先生たちから提示できるのは『技術』と『道具』です。どちらを選ぶかは二人の好きにしなさい」


 ここまで言えば聡い二人はピンと来るでしょう。

 生徒会の月間優秀者と同じ報酬内容だと。


 しかも月間優秀者と違い、どの教師の報酬かを選べる。

 結構、破格な条件ですよ。


「それは術式具の講義で見せていただいたあの『第三のランプ』でも」

「悪用しないのなら、分解するなり技術を得るなりしたら良いと思いますよ。個人的には君が技術を理解してもらいたいですがね」


 キースレイト君が『第三のランプ』を手に入れたら、おそらく実家に送り子飼いの術式具元師に分解させ、同じものを作らせようとするでしょう。


「もっともアレはまだ未完成ですよ」

「……しかし、見逃すにはあまりに惜しい技術です」

「ではキースレイト君は『第三のランプ』で。教材用のものしかありませんが我慢してください」

「本当によろしいのですか? ヨシュアン教師はあの技術で手に入る名誉と栄光を捨てると同じでは」

「技術は受け継がれるものです。本来ならエリエス君が継ぐものを少し形が変わって先に君が手に入れるだけです。それにどちらにしてもエリエス君には教える技術でした」


 自分のあっさりした態度にキースレイト君は口を開けて、目を見開いていました。

 研究者にとって一番の名誉、先駆者の栄光を後進に譲るというのだから欲のない話だと思ったのでしょう。


 ぶっちゃけアレくらいの技術のものなら試作品も含め、王都の自宅にゴロゴロしてたりするのは内緒です。

 ただ一番、時間を使ったのが『第三のランプ』なだけです。


「では私は『第三のランプ』をお願いします」

「わかりました。三日……いえ、二日の間ですがキースレイト君には期待しています」


 さて、後はエリエス君です。

 エリエス君は黙っていましたが、ふと何かを思いつきました。


「先生は先月の模擬戦で色々と奇妙な動きをしていました」

「えぇ、してましたね」


 二段ジャンプしましたからね。

 空中機動もしてましたし、不思議だと思って当然でしょう。


「アレは今月に習った強化術式に類するものだと思います。私たちの知らない、途方もない術式だと推測します」

「エリエス君は【獣の鎧】を教えて欲しい、と」


 これはまた、ちょっと難しいものを選びましたね。


「正直に言いましょう。現段階でエリエス君が使えるものではありません。【獣の鎧】は合計12種の強化術式からなるサートール方式です」


 これにキースレイト君がまた驚きの顔をしていました。

 しかし、エリエス君は元々、難易度が高いと思っていたのでしょう。

 驚きは少なかったようです。


 元より、あまり驚かない子ですけどね。


「何年かかってもいいから教えてください」

「……キャスターのエリエス君にはあまり役に立つ術式ではありませんが、まぁいいでしょう。教本を作っておきます。一応、秘術の類でまとめるのも時間がかかります。少なくとも順当に行って一ヶ月はかかります。また教本を渡したとしても扱いは慎重に」

「はい」


 いわゆる秘本をねだるとは、エリエス君もいい趣味しているというか、目端が効いているというか。

 本格的に自分の一番弟子を狙ってきてますね。


「ではエリエス君も臨時教師の補佐をお願いしますね」

「……補佐?」


 あぁ、そういえば説明してませんでしたね。


「今回の依頼ですがレギンヒルト試験官が急遽、教師を兼任してくれます。しかし不慣れなので君たちが補佐役として付き添う形になります」


 キースレイト君はもう呆然としていました。


「ヨシュアン教師、それは、下手な報酬よりも報酬になるのでは……」


 そういえばキースレイト君からすれば、正式にレギィと面識を持ついい機会ということになりますね。

 うまくすればジークリンデ領とパイプが作れるかもしれません。


 一方、エリエス君はレギィに興味はないようです。

 レギィも【タクティクス・ブロンド】なのにエリエス君はどうして興味を持たないんでしょうか?


「現在、首位と次席へのご褒美ということにしましょう。しかし、酷かもしれませんが君たちはこの仕事をしたから成績が下がったという言い訳をさせるつもりはありません。第一【試練】は君たちだけ難易度が上がったのと同じことです」

「いいえ。ヨシュアン教師の期待以上の成果をご覧いただきます」

「頑張ります」


 変に対照的な返事でしたが、これで教師の穴埋めができたようです。


 若干、不安ではありますが……うまくレギィの手綱を握ってくれるとありがたいですね。

 レギィの方もエリエス君とキースレイト君の手綱を握ってもらえば、下手な暴走はしないでしょう。


「あぁ、それと個人的なことですがキースレイト君」

「はい。なんでしょう」


 話が終わったので立ち上がったキースレイト君に声をかけました。


「くれぐれも短気にならないように」

「? はい」


 なんのことかわからない顔をしました。

 まぁ、わかりますよ、そのうち。


 教師という職業がどんなものか。

 ストレスなんて目じゃないですから。


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