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リーングラードの学び舎より  作者: いえこけい
第三章
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突撃、明日の授業参観

 それは有り得べからざる光景でした。

 この三ヶ月と少し、自分は何度も繰り返し挑戦し、何度ともなく諦めてきたことです。

 いと高くそびえ立つ目標でもありました。


 ですが経験的なことを言わせていただきましょう。


 決してありえないことほど起こる。


 内紛でも良く経験しました。可能性があるのなら世界はソレを可能にする。

 ありえないなどという現象は一側面でしか見られない限定された可能性でしかなかったわけです。


 それを今日ほど、身に染みたことはありません。


「ウォルルムの陣は二つで一つの術韻によって構成させる多重構造陣のもっとも基本的な陣です。帯型の陣を源素の操作ができる限界までを身体に巻きつけることができます。巻きつけた範囲がそのまま強化される場所と考えてもよろしいでしょう。しかし、単純な部位だけを強化したところで意味はありません。例えばですね、拳の威力を上げようとした場合、拳だけにまとわりつかせるのではなく、拳を奮うのに必要な箇所も含めて強化します。すなわち拳、腕、肩、腰、足です。これは体育の授業でも習っていると思いますが、十分な打撃を行う場合、当てるだけでは十分な威力になりません。当てて振り抜く事が必要です。振り抜くためには支えの腕と肩、力を足に伝える腰、そして大地を踏むための足が必要です。作用に対する反作用を抑え込む力が必要になります。作用反作用、これは数学に出ます。一つの運動を向上させるために必要な要素を君たちは全ての教科から学ぶ必要があります。余談ですが『学問』は複数の他の学問と連携し、相互に作用しあうことができるものを指します。つまり、どんなものもたった一つを学んだところでは本当の意味での効率は見込めません。他の学問からのアプローチも重要なのです。君たちも効率的な運用を行うためにも様々な教科から理を学びなさい」


 これだけの言葉を言い切っても、なおも周囲は無言。

 いつもなら、このセリフ中のどこかで誰かが面倒な騒動を起こします。

 しかし、まったく問題が起きません。


 問題がなさすぎて夢かと密かに疑っています。

 生徒たちに見えないように爪で肌を刺しても目が覚めない以上、ここは現実と仮定すべきです。


 つまり、この五人の生徒たちもまた夢ではないのです。


 クリスティーナ君はむっすり押し黙っています。

 マッフル君は警戒しているような険しい顔をしています。

 セロ君は後ろを気にしながらもおずおずとしています。

 エリエス君はいつものように無表情ですが、どこか固い。

 リリーナ君にしたって、まさかの居眠り&暑さにヘタれずに授業を受けています。


 皆、夏の暑さでじわじわと体力が削られているにも関わらず、文句すら言いません。


 ひたすら無言でした。

 真面目で、静かでした。

 チチチ、とどこか遠くの夏鳥の声が聞こえるほどでした本当になんだこれ。


 これが真面目な授業風景だというのなら、今まではなんだったのかと自問自答せずにはいられません。


「………」


 そうです。見ての通り、今はヨシュアンクラスの授業中です。

 座学という知識を得て、実践という知恵を身につける。

 今度もまた今までと同じように自分の授業のやり方は変わっていません。


 では試練前の生徒たちは真剣さを学んだのか。

 そうではありません。


 何一つ変わらない授業の光景。

 たった一つだけ、ありえないものがありました。


「……次の実践の授業では実際にウォルルムをやってみます。その次にウォルルムを効率的に運用するための思考法の授業をします。では、ここまでで質問はありますか?」

「はい」


 静寂を破って挙手したのはエリエス君でした。

 心なしか瞳がちょっと疲れたような色を滲ませていました。珍しい表情ですね。


 というか自分、いつの間にかエリエス君の細かい表情まで読み取れるようになっていましたね。


 この場合、どちらが成長したというかべきでしょうか?

 自分ならわかるほど表情を出すようになったエリエス君か。

 エリエス君の微妙な変化を察知できるようになった自分か。


 どちらも成長したと考えるのが妥当でしょう。


「ではエリエス君」


 エリエス君は静かに立ち上がり、静かに教室の後ろを指差しました。


「あの人は何をしているのですか?」


 言っちゃった……、言っちゃいましたよこの子。

 恐れを知らない勇敢さは蛮勇と教えたにもかかわらず、何一つの恐れも抱かず果敢に攻めていきましたよ無表情系はすごいですね。


 エリエス君が指差した人物は、お淑やかな笑みを浮かべたまま楚々として立っていました。


 レギンヒルト試験官ことレギィです。

 今日の服は青の生地に黒レースのドレスでした。

 しかし、関係ないことですが、最近のレギィのコーディネイトはなんだか青っぽい色ばかりですね。

 ピンクでも似合うような気もしなくもないですが、ちょっと浮ついた感じがしますし、やはり領主という立場がある以上、落ち着いた色を選んでいるのでしょうか?


 とまれ何故かレギィが教室の後ろで自分の授業を見学しているという状況。

 ごくごく自然にドアから入ってきて、ごくごく普通に授業を見学しているので自分も何も言えませんでした。


「えー……、気にしないように。強いて言えば部屋に飾っている華とかそんな感じで見てください感じてください」

「無理です」


 エリエス君の冷静で無理からぬ返答に、自分も言葉に詰まりました。

 だって無理ですよ、懸命に無視してましたけど。


 ものすごい存在感ですからね?

 自分の日常空間に潜む王国一の美人とか、著しく何かが間違いすぎて考えられません。


「あんな存在感のある華なんて教室に飾りませんわ」


 クリスティーナ君も眉を潜めて抗議の声です。


「あれはなんですの? どうして試験官が教室に侵入してきますの」

「そんなもん、聞けばいいじゃん。『もしもし、飾る場所を間違えてませんか?』なんてね。言いだしっぺだろ」

「なら貴方は聞けるというのですの、あの微笑みを崩さない華に」

「無理に決まってんじゃん。なんか等身大の人形に話しかけるみたいでさ」


 クリスティーナ君とマッフル君は頭をくっつけ合って、後ろの華についてヒソヒソと話し合ってます。


「先生、なんとかして欲しいであります。背中がチリチリするので安眠もできないであります」


 四六時中、レギィを背後に立たせてやろうかこの居眠り魔め。


 どうやら生徒の中で一番、圧迫感を覚えているのがリリーナ君のようですね。

 たぶん【吸素原理】の影響を受けやすいのでしょう。


 セロ君もおずおずとしていますが、影響を受けているのではなくあまり見ない顔が近くにいるので居心地が悪いだけでしょう。

 何せ最初の頃、シャルティア先生にすら距離を取っていました……ん?


 そういえばセロ君、初対面の時に自分には人見知りなところを出しませんでしたね。

 一体、どうしてでしょう?

 違いと言えば女性か男性かの違いくらいしか思いつきませんが、なんででしょうね?


「あのぁの……、この授業は特別な授業だったりするのですか?」


 セロ君は言いながらもチラチラとレギィを見ています。

 気になるんでしょうね。でも、ちょっと顔が赤いのは何故です?

 ちょっとセロ君の額に手を当ててみても、いつぞやの時みたいな体温でした。


「ぁぅ……」

「うん、平熱ですね。後、その質問にはいいえです。特にそのような話は聞いていません」


 誰一人、聞くことを憚られていたので真相はわかりません。


「なら、なんですの! 先生なのに知りませんの!」


 ひそひそと大声をあげるとはクリスティーナ君も器用な真似をしますね。


 残念ながら知りません。

 何故、急に授業を見学しようと思ったのでしょうか。


「先生が聞くのが筋だと思います」


 人が懸命に考えないようにしてたことを平気で指摘しますね、エリエス君。

 

「そうですわ、先生が聞けばいいのですわ! お知り合いなのでしょう!」

「そうそう、秘密の関係なんでしょ。何を躊躇ってんの? イチャつけばいいじゃん」


 こんな時ばかり仲良く意見を合わせて、どうしてやりましょうか。

 とりあえず二人の頬をぎゅっとつねってあげました。

 どこまでも伸びろ、頬肉め。


 レギィに感謝しておくといいですよ。

 レギィがいなかったらゲンコツでしたから。


「しょうがないですね」


 どちらにしても箱を開けなければ中身はわかりません。

 頬肉を手放してレギィへと視線をやりました。

 

「授業の途中ですがレギンヒルト試験官。聞きたいことがあります」

「なんでしょうヨシュアン? そんな他人行儀な呼び方をしなくても、いつものようにレギィで良いのですよ。私とヨシュアンの仲ではありませんか」


 ざわり、と、空間を撫ぜる奇妙な音が教室に響きました。


 な、何が起きたのでしょう。

 まさかレギィが自分との関係を全面に出すような返しをしてくるとは思いませんでした。


「ではレギィ。どうしてここに?」

「もちろん、ヨシュアンの仕事ぶりを見学しに来ました」


 何時になくレギィが攻撃的に感じるのは気のせいでしょうか?


「生徒ではなく自分のですか?」

「言葉の綾です。少し言い間違っただけです。ちゃんとヨシュアンの生徒たちの様子も見ています」


 いえ、気のせいではありませんね。


 何故なら意味なく、自分の背中が冷や汗が流れています。

 昨日、泣き顔を見たのがそんなに嫌だったんですか?


「試験官として、生徒たちの力量で突破できる、しかし決して容易ではない問題を作るのに現場の空気を知っておくのは良いことでしょう? ちゃんと学園長の許可は得ています。その時、ヨシュアンも聞いていたと思いますが?」

「そ、そうですか。いえ、まぁ、それなら良いのですがなぜに自分の授業を? 他にも授業をしていますよ」

「先日知ったばかりの教師の方々よりも『親しい人』の方が私も気兼ねなく見学できますから」


 露骨な親密感アピールに生徒たちが動揺の声を上げていました。

 

 妙にセロ君が自分を見ている視線が痛いです。ガン見でした。


「先生はもう、白い人とお付き合いしてるのですか?」

「セロ君、違います」


 もう、って、なんですか? もう、て。

 まるで予定より先にくっついたみたいな言い方しないでください。


 しかも、ちょっとセロ君のレギィを見る目に好感が増しましたね。

 何を考えているのでしょうか、この小動物は。


「はい、そこ。まんざらでもないような顔しないでください」


 レギィもレギィでセロ君の言葉を聞いて、小さく頷きながら背景に夏の花々を咲かせています。一気に上機嫌ですねこのアマ。


 すでに質問したいような顔をしている二人と一生物がいるので、早く授業を再開しましょう。


「疑問は解けましたね? では――」

「先生と試験官の関係は!」

「――授業を再開しますよ」


 片手でマッフル君の頭を押さえつけて、もう片手に教科書を持って無理矢理、授業を再開しました。

 えー、レギィの授業参観は予定外でしたが、授業そのものを崩壊させるつもりはないようです。


 そのつもりがないなら自分との関係性くらい伏せとけと言いたいですが、前向きに考えてないと窓から逃げたくなります。


 えー、どこまで進みましたっけ。

 確かウォルルムの概要と注意点、使用方法までは済みましたね。

 となると後は確認です。


「質問は他にありませんか? ないなら次の思考法について――」

「はい」


 白魚のような手が上がりました。

 生徒ではなく、後ろの白い人です。


「……他に質問は」

「はい」

「……レギィ?」

「はい、質問します」


 当てたんじゃありませんよ。

 あんた何やってんだって聞いたんですよ!


「どうしてヨシュアンは私をレギィと呼ぶのでしょう?」

「質問の意味がわかりません」

「前々から気になっていました。でも、いえ、そう呼ばれることが嫌だとか言うわけではありません。むしろ好ましいとすら思っています」


 いちいち爆弾を設置するの止めませんか?

 ほら、生徒たちが色めき立ってます。

 クリスティーナ君が珍しく授業妨害に対して柳眉を逆立てていますよ。普段は妨害する側なのにね。


 このままだとクリスティーナ君がレギィに食ってかかるでしょう。

 クリスティーナ君の実力だとレギィにはまったく敵いませんが、だからといって妨害が目に見えているのに先んじて行動しないわけにも行きません。


「術式の授業ですから術式に関係することで質問してください」

「意味を問うたのはヨシュアンです。すなわちヨシュアンは私の質問に聞き答える義務があります」


 小さな言葉尻を捕まえて、まぁ正当性を主張し始めましたよ。

 黙殺してもいいのですがそうもいきません。


 昨日の約束、アレはレギィの協力がないと実験できません。

 となるとレギィを無碍に扱うと後の協力に響いてきます。


 く……、まさかそこまで計算済みですか。


「それに私に術式を説くということは、祖母に卵の蒸し方を教えることと同義ではありませんか?」


 まぁ、防御特化の術式師とはいえレギィは【タクティクス・ブロンド】です。

 基本的な術式知識にしたって、実は自分以上です。

 しかも自分のまだ知らない白属性の術式を知っています。


 そんなレギィに術式の質問をするならともかく、自分がされることはありません。


「さぁ、質問に答えてくださいヨシュアン」


 絶対、昨日、泣き顔を見られたのを根に持ってますね? そうですよね?

 いちいち仕返しに来ないでください。


「わかりました、わかりましたよ。答えればいいのでしょう」


 ため息しかつけません。


 まぁ、ウォルルムの術陣は試練には関係ないですし、本当に教えたいのは思考法のほうです。

 多少の脱線でレギィの機嫌を治せるのなら、仕方ありません。


「レギンヒルトなんて名前、固いでしょう? 知らない人が聞くと男性名のように聞こえることもあるでしょう。だからレギィのほうが可愛いという理由で呼んでいます」


 フィヨが名付け親です。

 アレは良く、名前を略したり、つけたりするのが好きですからね。

 ちなみに帝国から帰る途中で出会った【神話級】原生生物にモフモフの名前をつけたのも彼女です。


 ネーミングセンスは……、お察しください。


「そんな……、ヨシュアンの口から可愛いだなんて言われるとは思いませんでした」


 顔を真っ赤にしないでくれませんか?

 恥じらいつつ、髪の毛の先をいじらないでくださいませんか?


 自分がなんかものすごい恥ずかしいセリフを言ったみたいじゃないですか。


「確かに容姿に自信がないわけでもありませんし、それでも面と向かってそう直截的に言われるとは……」

「いや、いやいや、ちょっと待ってください。名前の話でしたよね? なんで容姿の話に変わってるんですか?」


 生徒、生徒が見てます。

 気づいてくださいTPOに。


 なのに空気を読まないレギィはムスッとした顔をしました。


「ヨシュアンは自覚が足りませんね」

「なんの自覚ですか。教師としてでしたら現在、醸成中なのでお説教は勘弁ですよ」

「いいえ。婚約者としてのです」


 ……え?


 時間が止まりました。

 そこには誰の区別もありません。


 唯一、発言をしたレギィだけが当たり前みたいな顔をしていました。

 ただ理不尽に対抗するためだけに鍛えられた理性がギチギチと音を立てて、自分は真偽を問いかけました。


「誰が?」

「ヨシュアンが」

「誰の?」

「私のです」


 生徒たちも、耳を疑ったでしょう。

 その内容が脳に侵食するにつれて、自分は黒板に身体を預け、ずりずりと崩れ落ちました。


「聞いてねぇええええ!!!」


 天よ裂けよと声を張り上げました。


 何よりも誰よりも耳を疑ったのは自分です。

 とうとう、生徒全員がレギィに振り返りました。


 え? え? 何? 何の話?

 どういうことですか? いつの間にそんな大仰な話に。

 というか婚約者って偽物だったんじゃないんですか? あれ? 確かに役をしたのは覚えていますがそれって役割だけでしょう?


 実際に婚約なんてしてないですよね?


「先生、質問です。婚約者がいたのですか?」

「いいえ、知りません。初耳です。え? 居たんですか?」

「聞かれても困ります」


 聞いても困ってます。

 エリエス君も大概、冷静でしたがどこか困惑した瞳をしていますね。

 大丈夫、先生が一番、困惑してますよ? いえ混乱しています。


「わかりました。これは罠です。神が張り巡らせた因果律の支配構造が逆転したことによる何らかの事象の欠陥のせいで自分だけが違った時間線の記憶を覚えているのですね、わかります。となると犯人は【神話級】ですね。レギィ、ちょっと【タクティクス・ブロンド】を全員、招集してください。【神話級】が相手なら全力戦闘も視野に入れないと勝機は薄いでしょう」

「先生がおかしなことを口にし始めた!?」


 自分は正気です。

 ちょっと世界がおかしいだけです。


「大丈夫、君たちの先生はちょっと最強ですよ?」

「こんなに頼りない決め台詞は初めてだし! リリーナ! リリーナ衛生兵!」

「先生の発作はリリーナが止めるであります! セロりん一等兵はすぐにエリリン軍曹から薬を貰いに行ってくるであります! まだ残りがあったはずなのであります」

「はぅあぅ……、せんせぃしっかりなのですっ。死んじゃだめなのですっ」


 ミニコント発動により、世界に混沌度が増しました。

 

「ヨシュアン。何を騒いでいるのですか? 授業中でしょうに」


 心の底から言わせていただきます。

 レギィ、お前が言うな。

 

「レギィ? タチの悪い冗談ですよね? 何かこう、自分に不手際があったのなら謝ります平謝りです。ですからどうか、このふがいない自分を許してもらえませんか」

「不手際があったのなら、貴方のためにその場で説教しています」


 あ、その場で即なんですね。


「驚くようなことはないでしょう? 何せヨシュアンが言い出したことではありませんか」

「言った覚えが欠片もねぇんですよ!! どのヨシュアン・グラムが婚約すると言い出したんですか!」


 自分ではありません。

 なんで色んな階段を踏まずに婚約者にステップアップって……、急すぎますよ、むしろ階段を転げ落ちてるのかもしれません。


「言った覚えがない? 女性から婚約させるなどと聞いたことがありません」

「言ってることは至極当然なんでしょうけど、とりあえず身に覚えがないんですごめんなさい!!」


 なんなんですか、なんなんですか?

 もしかして自分、誰から情報攻撃を受けているんじゃないでしょうか?

 別並行世界のヨシュアン・グラムを疑うより、よっぽどマシな推測でした。


 ダメだ。意味がわからない。

 これはもう、ラチが空かない。


「自習です」


 自分は未だ持ち続けた教科書を教壇の上に置きました。


 教師としてあるまじき行為でしょう。

 社会人としてあるまじき行為です。


「皆さん、自習にします。ちょっと先生、今、人生の岐路に立たされているのでできればちょっとだけ、ホント、時間をください。レギィ、少しお時間、よろしいですよね? よろしいと言ってください!」


 でも自分の人生を秤に賭けて、どちらが重いか考えれば自ずと答えは出るはずです。

 人は社会のために仕事するべからず。

 人は人生のために仕事をするのです。


 急いでレギィの腕をつかんで強制連行しました。


 誰もいない屋上へ。

 この訳のわからない空間を打破するために自分は今、試されています。

 

 何を試されているのかすら定かではありませんが、負ければ本当に結婚する流れです、これ。


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