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希望と勇気と夢の合体 1

ディナルドの幹部の一人・アーノルド。彼は今、部下3人とある任務を行っていた。とある場所で目撃された巨大生物の調査である。その巨大生物はその特徴から恐らく次元龍だろうと判断されたが、過去に類をみない大きさの報告であったため、一度、空中から偵察をする事になったのだ。そのため、フライトユニットを装備したヴィアトーラにグリフを3機随伴させ巨大生物が目撃された近辺に向かうこととなったのだ。

「みんな、もう一回作戦を確認するよ。ボクらのやることは巨大生物、次元龍への発信機の打ち込み。ボクが発信機を打ち込むから、それまではミュラーとカットとネルスは次元龍の注意を引いて」

アーノルドのその指示に、各々が返事をする。

「いい、無理はしないで。危なくなったらすぐに逃げてよ」

「坊っちゃん、その言葉そのまま返しますわ」

「そうそう。子供なんだから、危ないことしないでくれよ」

「少なくとも私たちの方がアーノルド様よりもフレームゴーレムの扱いにはなれていますからね」

「もー!みんなしてボクを子供扱いしないでよ!」

「それより坊っちゃん、見えてきましたわ」

アーノルド達の進行方向に平野を動く巨体の姿が確認される。空中から目視で確認できる事からしてそのサイズは相当なもの、恐らくフレームゴーレムが太刀打ちできないほどのサイズであろうと思われるものである。また、今まで確認された次元龍とは違い、翼が無く、四足歩行となっており、岩魔竜に近いと言えるだろう。

「カット、ネルス、行きますわよ」

「みんな、気を付けてね」

ミュラー、カット、ネルスの各々が乗るグリフが先行して急降下をし、次元龍へ近づくと人型へと変形し、ミュラーが頭部、カットが右前足、ネルスが左後ろ足の近くの位置に着く。そして、それぞれがグリフの左腕からワイヤーを射出し次元龍へと巻き付けると、雷の魔法を一斉に放つのだった。

「坊ちゃん、今です!」

ミュラーの合図を聞いたアーノルドは、ヴィアトーラが装備した発信機機能を持った貫通弾を射出し、次元龍の尻尾の付け根付近へ命中させるのであった。

「出来た!みんな、逃げるよ!」

3機のグリフはワイヤーを切り離し、離脱をしようとする。だがその時、次元龍が突如、巨大な角から周囲に強力な電撃を放ち、それがカットのグリフへと直撃してしまう。

「カット!」

その隙が命取りとなる。

カットのグリフに気を取られたミュラーのグリフを次元龍が口で捕獲する。

「ミュラー!」

ネルスは装備されたライフルで攻撃をしようとするが、次元龍の振った尻尾が直撃するのであった。直撃したグリフは全身が複雑に潰れており、ネルスはもう助からない状態だろう。

そして次元龍の右前足がカットのグリフへと向かう。カットは脱出装置で脱出しようとするも、先程の電撃の直撃のせいでグリフの操作系が機能しなくなっており、脱出装置も動かなかったのだ。そして、カットは成すすべもないまま次元龍に踏み潰されてしまうのであった。

「ネルス!カット!」

呆気なく殺された部下達にアーノルドは動揺する。しかしまだミュラーは生きている。まだ救い出せる可能性はあるのだ。

「ミュラー!待ってて、すぐに助けるから!」

「ダメです坊ちゃん!逃げなさい!」

「でも!」

「早く!」

すると、次元龍は加えていたミュラーのグリフをゴリゴリと音を立てながら噛み砕いていく。その時のミュラーの最期の悲鳴は通信にも乗っており、アーノルドの耳にも響くのであった。

「みんな、ごめん・・・」

アーノルドは恐怖でその場から立ち去るしかなかった。



それから一週間、次元龍の動きはなかった。いや、正確に言えば発信機自体は移動しており活動は確認されているが、しかし、地上での目撃証言は無い。そのため、次元龍は地上ではなく地下に潜り移動をしていると推察された。そして30分前から移動の速度が鈍くなっており、地上に出る兆候ではなかとなり討伐部隊が組まれる事となった。巨大次元龍に対し地上戦を仕掛けるのは危険と判断されたため、様々な部隊に居るグリフ乗り達とその部隊長を集めた特別な部隊が編成される事となった。そこで選出されたのがストルツ、ミレーヌ、そしてイェルクが引き継いだチャーモンドの部隊である。そしてもう一人、この作戦の要として選出されたのがアーノルドだ。集まったのはそれぞれの隊長機とグリフが15機の計19機。巨大次元龍に対しこの数で対抗できるのかと言えば怪しい所だろう。

ディナルドのとある一室。そこではエルピロが次元龍の簡単な図を描いた巨大な紙を広げ、アーノルド以外の作戦に参加をするメンバーへの説明を始めていた。

「相手は生物です。つまり一番重要な神経がある首へ貫通弾を撃ち込めれば動きは止まると思われます。そのため、ヴィアトーラに貫通弾を2つ装備させますので、皆様はヴィアトーラが確実に首に貫通弾を撃ち込める様に支援してください」

「しかしな、それで止まらなかったらどうする?」

「その場合はストルツ様とイェルク様にお願いしたい事があります。グリフォールとフェリックスの機動力を活かして次元龍の眼に近づき、眼を攻撃してください」

「眼を?」

「一番脳に近く攻撃が効きやすい場所だからです。なので、ただ眼を潰すのではなく、その奥にまで届かせる様にしてください」

「難しい事を言うな」

「やってもらわなければ困ります」

「それでもダメだったらどうするの?」

「その場合は失敗です。今の私達に成すすべは無いため撤退してください」

一室に緊張が走る。少しの失敗も許されない戦いが始まろうとしているからだ。

「相手は次元龍です。何が起きるかは分かりません。空裂が起きそうな場合も撤退をお願いします。それと一つ朗報があります」

「朗報?」

「巨大次元龍が潜む地点。その近くの街に勇者達、つまりエスペランザ達が来ている様です」

「おぉ、サクヤ達がか!」

「なので彼らも戦ってくれるでしょう。共に戦うも、囮にするのもあなた達に任せます。上手く利用してください」

「それで、作戦の要のアーノルドはどこに居るんだ?」

「あぁ、それなら」



アーノルドの部屋。そこでアーノルドはあの日から籠ったままであった。その部屋に突如ノックが響く。

「アーノルド、聞いてる?アンタが遭遇した次元龍を叩く作戦が始まるわ」

「そう・・・」

「今回の作戦はヴィアトーラによる貫通弾の打ち込み、つまりアンタが作戦の(かなめ)らしいわ」

「無理だよ、ボクには・・・」

「ミュラー、カット、ネルス、アンタが生まれた頃から世話係をしていたんだっけ。アンタの気持ちは分かるけど、今回の作戦はアンタ抜きだと厳しいの」

「じゃあミレーヌがヴィアトーラに乗ればいいじゃないか!」

ミレーヌは怒鳴りたくなる気持ちをグッと堪え、どうにかアーノルドが出てくれる様説得を続ける。その時、ストルツもその場にやってきたのだ。

「アーノルド、お前行かないつもりか?」

「ストルツまで!そうだよ!」

「そうかそうか。ならば次元龍を野放しにするというのだな?ヤツが暴れて人間が死ぬのを見逃すというわけだ。そうなると、自分が行かなかった、そのせいでヤツの蛮行を許す事をお前は悔いる事になるぞ」

「そんなのストルツ達がどうにかしなよ!ボクのせいにしないで!」

「いいや、お前のせいだ。これから行く私達も、お前のせいで死ぬかもしれないな。ヤツを野放しにしたせいで、いつかこの国に住む者達もそうなるかもな」

「なんだよ!分かったよ!行けばいいんだろ、やるよ!」

アーノルドはストルツの挑発に乗り、部屋を出て格納庫へと駆けていく。その一部始終を見たミレーヌは目を丸くした。

「まさかアンタがアーノルドを説得するなんて、意外なところがあるのね」

「なあに、ガキなんて挑発すればいいだけさ。簡単な事だ」

「まあいいわ。礼を言っとく」

「当たり前だ。ようやく私の良さに気付いたようだな。惚れてもいいんだぞ?」

少しばかりミレーヌが沈黙し、とても真剣に悩み、続ける。

「今のって、笑えばいいところなの?」

「なんだと!」



30分後。術劇準備は粗方終わり、いよいよ出撃の時間となった。

「最後にもう一度確認をします。アーノルド様、ヴィアトーラは空中で待機し、相手の隙を見つけて攻撃をお願いします。貫通弾を二本持たせています。保険として二本持たせていますが、一回で仕留めてください。いいですか?」

「あぁ、分かってるよ」

「現場での作戦指揮はイェルク様に一任します。皆さん、イェルク様の指示で動く様お願いします」

「Mir wurde die Aufgabe anvertraut. 任された!」

「それでは皆さん、幸運を祈ります」


今回の話はそもそもストルツを出す予定はありませんでした。しかし、今までの彼の扱いを考えると流石にこの辺りでキャラを見せておかないと可哀想だと思い、今回出す形にしました。

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