第一章 少年と金属製の箱
冥王小学校に入学して約六年…(2010年)俺は冥王小学校の六年生だ。
この学校に入学して俺はいろいろな事を学んだ。学習面はもちろんの事、俺はもっと大切な事を学んだ。
友達である。この学校に入る前は勉強勉強で、俺は友達というのがいなかった。いつも仲がいいという訳ではないが、やはり俺にとってかけがいのない一生の宝物だった。
卒業を間近に控えたそんなある日、俺は友達の中島浩二と鈴木今日子と一緒に中庭を散歩していた。
「もうすぐこの学校ともお別れか…」
浩二が寂しそうに言った。
「もう少し、この学校にいたかったが…月日が経つのは早いものだな」
「二人はもうどの中学校に行くか決めてるの?」
「もちろん冥王中学校さ、ほとんどのヤツがそこに行く」
俺達が俺達が歩いていると突然、今日子が足を止めた。
「どうした?」
俺達は今日子が見ている方を見た。
一人の少年が大きな金属製の箱を、針金で木にくくりつけていたのだ。
「何なってるんだろ?あの子…」
何だ?俺も少年のその不審な行動が気になったので、俺は本人に近づいて聞いた。
「お前こんな箱を木にくくりつけて何やってんだ?」
少年は俺の方をチラリと向いたが、すぐに作業に戻った。
「無視かよ…」
もういい。俺は二人に行こうと言って、中庭から出た。
「何してたんだろ、あの子…」
今日子が不安そうに少年の後ろ姿を見て言った。
俺達は教室に戻り、授業の準備に取り掛かったが、やはり俺もあの少年が何をしていたのか気になった。
放課後…
俺は一人で中庭へと向かった。
少年の姿こそは見えなかったものの、昼間少年がくくりつけていた金属製の箱が木にくくりつけられていた。
俺はその箱を軽くたたいてみたが、カンカンという金属音がするだけで、何の変哲もない普通の金属製の箱だ。
すると突然肩をトントンと叩かれた。
「誰だ?」
俺はバッと振り向いた。そこには今日子が立っていた。
「なんだ…お前か…何だよ…」
今日子だった。
「三堂君…前から言おうと思ってたんだけど…」
またか…たしか四年生の時からコイツはたまに俺に対してこんなのだったっけ…
たまにこうやって放課後等に人の少ない所に呼び出されて、そして…
しばらく沈黙が流れたのち、今日子は口を開いた。
「ゴメン…やっぱりいいや」
そう言うと、今日子は小走りで走って俺の前から消えた。
いつもいつも…一体何を俺に言いたいんだ?
「俺も…そろそろ帰るか…」
疑問を胸に残しつつも、俺は家に帰るため中庭から出て行った。
そう…あの木にくくりつけられた金属製の箱を残して…




