エンディング
「鉄は熱いうちに打てともいう。すぐに行くぞ!」
その後魔王さまによって王家は攻め込まれた。が、その実魅了の紋でことごとく骨抜きにした上に、魔王さまの顔が新勇者として広まっており、よく知らされていない国民はこの王位交代劇を第二王子のクーデターだととらえ魔王軍侵略の危機感を感じずに過ごしていた。
有名な画家はこの当時の第二王子の姿絵を残している。陽の光に煌めく黒髪を輝かせ、その精悍な麗しい顔はきりりとし、魅惑的な赤の瞳はこちらに流し目を送っている。その引き締まった肉付きのバランスよくついた身体はまるで理想的な彫像のようだ。細身の聖剣は神々しい光を放ち、この厳しい思想統制で国民の自由を奪ってきた悪しき政策を打ち倒し、新しい風を国にもたらした英雄として大いにあがめられた。
実在の第二王子ルーズベルドとは似ても似つかわしくない絵ではあったが、そもそも一般国民からしたら第二王子の顔を近くでまじまじとみる機会などないし、変装で髪の色や目の色など簡単に変えられる。美化されやすい絵画においてその人物の同一性など双方の認識さえあっていればそれでよいのだ!!
こうして魔王さまは堂々と人間の国をのっとった!!
「ふむ、小さな子供など思想統制ができぬものをさらっては牢に放り込んでおったと。実にけしからんな。すべて釈放するように。言論の自由、思想の自由は基本だからな」
魔王ルージュ(女)は王家エルダーシアの政策をぎゅぎゅぎゅっと百八十度変更させた。富も再分配され最果ての村はその名前を変えた。今は勇者が立ち寄った伝説の村として観光業に力を入れているという。邪神(魔王)信仰していたレストランの店主は新陛下(勇者)信仰に鞍替えし大人気新メニューで新陛下を讃えていた。白い仮面をつけた異端審問官たちは部署を解体された。
「な。陛下もそう思うだろう?」
にかっと笑顔を向けられて次期国王ルーズベルドは喉をつまらせた。顔を覆ってはぶんぶんと首を振った。
「ああ、……すきだ!!」
彼は相槌をうちながら叫んだ。
結局彼は愛の呪縛が常時発動してしまうようだった!!
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