第10話 「再び色褪せた世界」後編
何故世界には『色』があるのだろうか。そんな事は考えた事すらも無かった。ただ、毎日適当に過ごし適当に動いたりしながら生きていた。この世界に『色』が存在していた理由なんて考える意味を見出す事すらしようとしなかった。
でも彼女に出会った。彼女と一緒に話をした、彼女と一緒に悲しみに浸った。彼女と一緒に喜びを分かち合った。そして彼女を好きになろうと努力しようと思った。
自分は彼女と過ごしている間は何もかも忘れ『色』のある意味すら眼中になかった。ただただ彼女に寄り添っていたい、そう思って生きる事を決めた。
いつしか自分は彼女の『家族』になれた自分が彼女から「家族になって」と言われた瞬間は自分に生きる意味を与えてくれた言葉だった。
いつしか自分に愛衣とだけ話すようになっていた。周りからは「あいつはまるで犬だ」などと言われていた理由は好きな人には懐くくせに他の奴にはすぐ吼えるように冷たい態度を取るからだそうだ。だがそんな事は心底どうでも良かった、いやそう言われる事があまり嫌ではなかったからなのかもしれない。自分には愛衣がいれば本当に他の事などどうでも良かったのだから。
「ねぇ伊織、今日はどんな事をしようか?」
「何でもいいよ、俺は愛衣さんと一緒にいるだけでいいんだけどね。」
「おお〜なかなかキザな事言うね〜お姉さんキュンって来ちゃったよ。」
こんなくだらない会話さえも今の俺には全てが宝石のように感じる事が出来た。
俺が孤児院に来てから半年が経った。最近では愛衣さんの協力のおかげて他にも何人かの話しあう事の出来る相手が数人増えて来ていて、犬と呼ばれる事も無くなって来ていた。
俺が孤児院に来てから10ヶ月後最近親しくなって来た子が引き取られる事になった。悲しい気持ちになったが同時に嬉しい気持ちも湧いて来た。その子は別れる時に涙を目尻に浮かべながら俺に手を振って引き取られていった。
俺が孤児院に来てから1年後何人か新しい子達が入って来た。みんなとても暗い顔をしていた。話し掛けても何も返してくれなかった。それでも諦めずに毎日話し掛けてあげようと思って、他の子達と何回も話し掛けた。
それから2ヶ月後新しく入って来た数人の子達は皆に少しだがちゃんと話すようになっていた。自分は努力が報われたような気がしてとても嬉しかった。
俺が孤児院に来てから1年と4ヶ月後愛衣さんが孤児院での仕事を辞めてしまうそうだ。俺は愛衣さんにどうしてと聞いたが愛衣さんの目に何も聞かないでと言われたような気がし俺は食い下がってしまった。その代わり彼女は俺にこう言ってくれた。
「君はもう一人じゃないよ私やここにいる皆が仲間だからもう落ち込まないでね。」
「落ち込むわけないよ」そう口に出そうと思ったけど声にならずに途絶えてしまった。
その半月ご愛衣さんは孤児院を出て行った。
俺が孤児院に来てから1年半後俺を引き取ってくれる家族が現れた、何でも俺の孤児院での過ごし方に愛着を持ってくれたそうだ。苗字は『河田』俺は今度から『河田 伊織』と言う新しい名前を手に入れた。
その1ヶ月後俺は孤児院を出て行く事になった。今まで仲良くしていた友達との別れはとても悲しかったが。また会えると何処かで確信していた。そして俺は8歳で孤児院を出て行く事になった。これから始まる生活に夢を抱きながら俺は新たな生活の一歩を踏み出した。
超お久しぶりです美羽です。
yeariroiroattetoukouokuretyatayurushitecyo
正直自分でも何を書いていたのか全く覚えていなかったもので全部一回読み返す羽目になっちゃいました。
次は頑張って早く投稿します。(予定