表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四代トラブルメーカー  作者: かいり
#殻を破ること
30/157

6話―④『犯人』

 授業が終わり、蘭李を保健室へ運んだ白夜は、ため息を吐いた。保健室のドアに寄りかかり腕を組む。秋桜がすーっと彼女に近寄ってきた。



「きっとバッグを奪ったやつが、蘭李に何かしたんだろうなあ……」

「睡眠薬でも飲ませたのか……?」

「わかんない。もしかして本当にただ寝てるだけかもしれないし。でもバッグが無いのは異常だから、どっち道探さないといけないけど」

「……俺の子孫が迷惑かけるな」

「そう思うんならもっと蘭李の傍にいろよ」

「……反省する」



 はあ、と再びため息を吐く白夜。キョロキョロと辺りを見回して、近くの階段を登った。



「まずクラスメイトに訊いてみるか」

「俺も睡蓮達に伝えて探してみる」

「任せた」



 秋桜が壁の中へと消えていった。白夜は自分の教室まで戻り、クラスメイトに尋ねてみる。しかし皆、知らないし特に何も見ていないと答えた。彼女は自分の席につき、ぐったりと机に突っ伏した。

 情報が何も得られない。誰も見てないってこと? そしたら本当に、蘭李はただ眠ってるだけ? でもバッグが無いんだぞ? 少なくともそのことに関しては、誰かが関わってるってことだし……。

 ガバリと顔を上げた白夜。一瞬過ぎった可能性に、彼女は一抹の不安を覚える。



 もしかして―――悪魔の仕業なんじゃ……。



「いやいや……まさかそんな」



 そう言いつつも、不安は拭いきれなかった。

 悪魔なら、姿を見せなくても眠らせることは出来る? そういうことが出来ても不思議じゃない。でも、ならなんで殺さない? 人がたくさんいるから? なら、わざわざここで眠らせなくてもいいと思うけど……。



「………違う」



 ――――――狙いは蘭李じゃない。コノハだ。コノハを確実に殺すために、わざと蘭李を眠らせた?

 可能性としては有り得る。回りくどいような気はするけど。それならやっぱり、早くバッグを探さないとマズいな。でも手がかりが何も無いのにどうやって……。



「あの……冷幻さん」



 不意に呼ばれ、白夜は振り向いた。先程訊き回ったクラスメイトの内の一人『雪路』だ。彼女は、白夜の隣の席をちらちらと見ながら口を開いた。



「思い出したんだけどね、関係あるかわかんないけど……今日、篠塚くんが来てたんだよね」

「え? 篠塚?」



 雪路はコクリと頷く。篠塚は今日は欠席扱いだ。

 それなのに、学校に来ていた―――白夜は険しい表情で雪路の話に耳を傾ける。



「教室で私と入れ違いになったんだ。なんでいるのかなって思ったけど、バッグ持ってたから、あ、帰るんだって思って……」

「バッグって二つ持ってた?」

「いや……? 一つだったと思う」

「そっか……ありがとう」

「ううん」



 白夜は篠塚の席を見た。当然本人はいない、空席状態だ。

 ――――――篠塚が関わってる可能性はかなりある。でももし篠塚が犯人なら、動機は何なんだ? 蘭李に恨みを持ってるようでもないし、そもそもこいつと蘭李が話してるところなんて見たことない。

 篠塚が仮に魔力者なら………いや、それでも分からない。とにかく、本人をとっ捕まえた方が早いな。

 白夜は席を立ち、教室から出た。雷達を見つけ、そのことを伝える。彼らは顔を見合わせた。



「篠塚って……どういう顔だっけ?」

「どういうって言われても……」

「でも、もう外に行ってる可能性高いよな? どうする?」

「どうせ授業はあと一時間だけだし、早退しよう」

「ごめん! うちのクラス次テストなんだ……」

「じゃあ……もしかするとまだここにいるかもしれないし、雷と海斗は学校に残って探してくれる? あと蘭李の様子見も」

「オッケー!」



 彼らは一度解散した。白夜と紫苑は早退する旨を担任に伝え、校舎を飛び出した。一直線に走っていき、正門に手をかける。



 ――――――バチイッ



「えっ⁉」



 手が、弾かれたのだ。二人は顔を見合わせた。再び触れても、同じような反応を示す。彼らは瞬時に理解した。

 これは、結界だ―――。



「やられた……」

「これってまさか……篠塚の……」

「いいや、オレだ」



 背後からの声に、二人は反射的に振り向く。黄緑色の髪をした黒い和装の青年―――蘭李を狙う悪魔が立っていた。自然と戦闘体勢に入る白夜と紫苑。悪魔はニヤリと笑った。



「そういえばお前達に会うのは初めてだったな。オレは華城蘭李を狙う悪魔だ。まあよろしくな」

「なっ……こいつが……⁉」

「疑うってんなら、ほら」



 悪魔が背中から、真っ黒い羽を左右に広げた。漆黒に染まるその羽は、悪魔の体を充分包み込めるくらいの長さと幅があった。



「な? これで信じたか?」

「………何しに来た」

「この流れでそんなこと訊くのは随分馬鹿な気がするが……まあいい。お前ら、篠塚って奴を探してんだろ? そいつは屋上にいるぜ」



 二人は目を見開いた。何故わざわざ敵に、そんなことを教えてくるんだ。絶対裏に何かあるに決まってる―――二人は悪魔を睨みつける。

 一方悪魔は、「あっ」と思いついたように口を開いた。



「ただし、行くのはお前だけな」



 悪魔は紫苑を指差した。指された張本人は目を見開く。



「俺……だけ……?」

「ああ。問題あるか?」



 ありまくりだろ。紫苑はそんな目で悪魔を見た。対照的に、悪魔は余裕の笑みを浮かべる。



「早く行った方がいいぜ? あの魔具と生きて会いたいならな」



 紫苑は白夜を見た。彼女が小さく頷くのを確認すると、彼は校舎へと駆けて行った。足音が聞こえなくなった頃、白夜が静かに口を開く。



「……で? 私に何か用があんの?」

「察しが良くて助かるなあ。そう。オレはお前に用があんの」



 悪魔はクツクツと笑った。白夜は彼を鋭く捉える。



「オレはな、華城家の魔力者を代々狙ってるんだ」

「…………」

「だが、蜜柑も秋桜も睡蓮も、皆殺し損ねた。偶然かと思っていたけど、違った」



 悪魔は急に目を細め、白夜を指差した。



「冷幻家―――お前らがいっつもオレの邪魔をしたんだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ