追撃
川口署におかしな110番通報が入った。
電話に出ても相手が喋らないのだ。
ラッキーデカ長は言った。
「なんだか変だぞこの電話。どこからかけてるか調べてくれ」
逆探知して調べたところ、中古車販売『LUCKY』の敷地内という事が分かった。
ラッキーはボッサンに言った。
「ボッサン、この中古車屋行って見てくれっか」
「了解!」
ボッサンとユオは中古車屋に向かった。
店に着いたが人気がない。
事務所に入る。
ボッサンは、誰かいないか声を出した。
「今晩は~」
誰もいない。
ユオが聞き耳を立てて言った。
「?なんか音がしない?」
部屋の奥で、ガタガタ音がする。
2人が奥へ行ってみると、男がガムテープでグルグル巻きにされ横になっていた。
「大丈夫か!」
ユオと2人でガムテープを取ってあげる。
その男の顔を見てボッサンは
「あれ?ラッキーさん?」
「ん?俺は居伏ってんだ。店はラッキーだけどさ」
ユオが言った。
「ラッキーさんに瓜二つだ」
「そんな事より、早く犯人捕まえてくれる?車盗られちゃったんだから」
「どんな状況だったんスか?」
「どんなもこんなもないよ。車乗ってサーって行っちゃったのさ」
「全然わかんない。もうちょっと詳しく言ってもらっていいスか」
「あんちゃんと子供で店に来たのさ。あんちゃんは、そ~だな~、35~6才。
子供は、うちの下のぼんずと同じ位だから~、12才位」
「それで?どうしたんスか?」
「そんで、車見たいって言うからキーを出したのさ。シルバーのZのやつ。
そしたらジャックナイフ出して来たんだわ!そんで俺をガムテープでグルグル巻きにして、
車持って行きやがった!こんちくしょー!あ~腹立つ!」
「そのあんちゃんは、デッカいバッグ持ってました?」
「あ~持ってたね」
「持って行かれた車の特徴とナンバーを知りたいんだけど、白いZで?」
「シルバーだっつの!」
車の特徴とナンバーを聞いたボッサンは、店を後にしてラッキーデカ長に連絡を入れた。
「タクが車を奪って逃走したようです」
「で、車の特徴は?」
「白いZで‥」
「シルバーだっつの!」
「何で知ってんスか?」
「Zっつったらシルバーでしょ」
「本当っスか?」
「よし。そのZを指名手配だ!」
タクが奪った白い‥いやシルバーのZは指名手配された。
ホヘトとモリモリはパトカーで捜索中
ホヘトは助手席でプリプリ怒っていた。
「タクの野郎、車盗みやがって!どんだけ罪を重ねりゃ~気が済むんだ!」
モリモリは運転しながらホヘトに聞いた。
「指名手配中のZって、前走ってる奴とおんなじ奴?」
「そうそう、この形のZ」
「色は前走ってる奴みたいな色?」
「そうそう、このシルバー」
「ナンバーは前走ってる奴みたいな・240?」
「そうそう、このナンバー、・240‥って、この車だ~!」
Zで逃走中のタクと一馬
「ったく、ガソリンぐらい入れとけってんだよ!まったく!」
車を盗んだはいいが、ガソリンがほとんど入ってなかった。
スタンド探しと給油に手間取って、まだこの辺をウロチョロしていた。
「しかしこの車、ちょっと目立ち過ぎだな」
いきなり後ろの車のヘッドライトがハイビームになった!
そして、サイレンと共に赤い回転灯が回りだす!
「見つかったか!」
パトカーで捜索中のボッサンとユオ
ユオは助手席であくびをしながら言った。
「もう遠くに行っちゃったんじゃな~い?」
無線が入った。
{タクのZめっけた!122号線を北上しとるよ。うわ~、はえ~!}
「よし、先回りしてやる!」
サイレンを鳴らして飛ばすボッサン!
「モリモリ!今どこだ!」
{今、末広の交差点っス}
122号線に出た!南下するボッサン。
「そろそろ来るな」
交差点で待ち伏せする。
Zが来た!
ボッサンは交差点を塞ぐ。
Zはフルブレーキ!
ちょっとした隙間からすり抜けていった!
「クソッ!」
ボッサンは追撃を開始した‥