終章 約束の光は、未来へ
交差銀河へ戻った三十一人を、忘れられた物語の村の人々が迎えた。
図書館には、新しい本棚が作られ、その中央には、白紙の本と原初銀河の円環を象徴する小さな紋章が飾られた。
ハジメは白紙の本を開き、最初のページに新しい言葉を書いた。
『すべての物語は、出会いから始まる。』
その隣に、ミナトが一文を書き添えた。
『そして、出会いは新しい約束を生み出す。』
ニジは、二人の文字を見つめて微笑んだ。
「いい言葉だね」
ミナトは少し照れたように笑う。
「ぼくも、これからたくさんの物語を知りたい」
セレスは、交差銀河の空を見上げていた。
「原初の約束は、これからも世界のどこかで結ばれていくでしょう。誰かが誰かを思いやるたびに、誰かが違いを認めるたびに」
その夜、三十一の光は、交差銀河の空に大きな円環を描いた。
春の桜色。
夏の蒼色。
秋の紅色。
冬の銀色。
虹色、透明色、創世の光、永遠の光、白紙の光、そして原初の銀色。
それぞれの輝きが、互いを包み込んでいた。
けれど、夜空のさらに奥には、まだ見たことのない光があった。
それは、三十一の光とは違う、ゆっくりと脈打つような輝きだった。
ハジメが気づく。
「ねえ、あの光……何だろう?」
ミナトは、胸元の円環をそっと押さえた。
「まだ約束を交わしていない、誰かの光かもしれない」
ニジは、遠い空を見つめた。
「いつか、また出会う日が来るんだろうね」
三十一人は、静かにうなずいた。
物語は、ひとつの約束を結び終えた。
しかし、その約束は新しい出会いを呼び、まだ見ぬ世界へと広がっていく。
違うからこそ、出会える。
出会うからこそ、想い合える。
想い合うからこそ、未来は生まれる。
原初銀河の光は、いつまでも消えることなく、宇宙のすみずみを照らし続けた。
第九部・完。




